表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つれづれ野花  作者: あぐりの
らすこい
172/190

らすこい9

カノ彼はヨシ、ハナエちゃんの好みの人はヨウ、スポーツマンの人はキーチと呼ばれていた。私を助けてくれたキーチって人が、この部屋の家主で助けて欲しいって人だった。

キーチさん?くん?は、背が高くてスポーツマンであんまり話さない感じの人な印象だった。あと思ったのは、ちょっと怖そう。見た目がね、切れ長の目がね、ちょっとね。寡黙な感じとかね。でも、優しそう。さっき助けてくれた時の手、優しく感じたもん。

ハナエちゃんがヨウさん狙いだから、私にミッションが託される事になったんだけど、寡黙な人と人見知りな私じゃあ、厳しそう…ヨシくん、期待には応えられそうにありません…

とは言え、お酒が入ればみんな陽気になって来る訳だし、キーチさんだって!話し易く…なる…よね?

って、いや、ミッション関係なく、やっぱり予想通りカノとハナエちゃんの適応力は凄くて、すぐにフレンドリーに話せていた。話題とかさ、本当に凄いよなぁ。私なんて、何話していいか相変わらず分かんないままだけど、2人は話の膨らませ方とかも自然だしスムーズ。私に出来る事は、うん、申し訳ないくらい、無いな。


そんな私が、今、実はキーチさんと2人で買出しに出て来ていた。何話していいか分からず…めちゃくちゃ困ってます。

「あ、道こっち。」

こうキーチさんが言って以来、無言が続いています…

なんでこんな事になったかと言えば、買出しゲームに私が負けたからなんだけど、ヨシくんが、

「キーチも付いて行ってあげなよ。」

と言ったからだ。いや、確かにね、1人は陽も落ちたから嫌だけどさ。…でもヨウさんと2人もな。無理だわ。

「あ、危ないよ。」

腕を引っ張られた。無灯の自転車が前から来ていた。

「ありがとう。」

私が言うと、

「さわちゃんって…ははっ。」

と笑われた。…え?

「ごめん。」

キーチさんは笑いを堪えていた。私は訳が分からなかった。

「何話そうって、ずっと思ってない?」

思わぬ事を言われて驚いた。

「家出てから、ずっと、うーんうーんって言ってる。」

キーチさんは笑いを堪えれず、また笑った。

えっ⁈声出てた⁈恥ずかしー‼︎

「俺もこーゆーの苦手だからどうしようかと思ってたけど、ははっ。和んだ。」

和んだ。って笑って言われて、ドキッとした。見た目はちょっと怖そうだけど、キーチさんは笑うと優しい顔になる。


おかげで場も和んで、

「質問でもし合う?」

とキーチさんが言ってくれて、会話も増えた。

女性不信の原因も分かった。

元カノが、サークルの先輩宅に2人きりで一晩過ごしたのがきっかけだった。何も無いって言ったから信じたけど、その後も何回かあって信じられ無くなったと話していた。

私の過去の経験から言えば、最近はおかしいくらいだから含まないけど、何も無かったな…2人きりでも。ヒマリ達に言われた事があるんだけど、私、警戒心が無さ過ぎるのと鈍感過ぎて、手が出し難いみたい。だから、なかなか彼氏が出来なかったんだなぁ。って思ったよね。

私がその話をすると、

「えー…そっかぁ…分かるよーな分からないよーな。」

とキーチさんは複雑そうな顔をした。

「もしそうなら、より戻す?」

私が聞くと、しばらく考えてから、

「いや、戻さないかな。」

と言った。

「だって、さわちゃんとは違うタイプだったしね。」

そう言われて、ちょっと、ちょっとね、モヤッとした。なんだろ。タイプ違うのかぁ…なんて思った。いや、違っていいのよ。だって私みたいな流される人はダメだから。


買い物から戻ると、4人でゲームをしていた。もちろん、普通のね。テレビゲームなんだけど、みんなでやれるゲームだった。どうやらペアになってやってるみたいで、ヨシ・カノ、ヨウ・ハナエちゃんペアになって、点数制で遊んでいる様だ。

「さわ達もやろー」

そう言われたけど、私はめちゃくちゃゲームが苦手だった。

「私めっちゃ苦手だからごめんね。」

キーチさんに初めに謝ると、

「俺強いから余裕。」

と言って笑ってくれた。

言うだけあって、本当に強かった。けど、私が弱過ぎて負けてしまい、罰ゲームで、デザートの買出しに行く事になってしまった。2度目の買出し…しかも私が弱くて…申し訳ない。

「本当にごめんね。キーチさん、巻き込んでばかりで。」

私が謝ると、

「勝てると思ったんだけどねー惜しかったよね。」

と言ってくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ