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つれづれ野花  作者: あぐりの
ながこい
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ながこい 10

それからしばらくして、お盆を迎えた。親戚が集まってお墓参りしたり、家族で旅行に行ったりした。

お盆が過ぎると、夏休みも残りわずかだ。私は宿題をお盆前に全部終わらせていたが、兄は溜め込むタイプだった。

当時中3だった兄は、部活も引退し、受験生としての夏休みだった。塾は性に合わないらしく、通信教育中心で勉強をしていた。

その日は、午前に私に手伝わせながらポスターを完成させ、午後は中学校の近くにある図書館で勉強すると言って出掛けて行った。私はシイと家で遊ぶ約束していた。旅行のお土産を渡す予定だったのだ。ミオとそのちゃんも誘ったが、出掛ける予定があると断られていた。母はシイが来てから買い物に出掛けて行った。

シイとお互いの旅行の話などして過ごしていたら、電話が鳴った。当時は黒電話しかなかったので、電話に出るまで誰からの電話か分からない時代だ。


「もしもし。」

私が電話に出ると、

「…パンツ何色?」

と、尋ねてきて、その声の後ろで、バカじゃねーの!と言う声と、笑い声が聞こえてきた。電話の相手が分からない、当時流行っていたイタズラだ。この手の電話は、私は初めてだったが、相手の声に聞き覚えがあった。

「…緑川でしょ?」

緑川と言うワードを聞いて、シイが気にし始めたのが分かった。黒電話にハンズフリー機能なんて物は無いので、私はシイにも聞こえる様に受話器を傾けた。受話器の向こうから、バレたー!と言う声が聞こえてきた。

「そんな事言う人、緑川くらいしかいないじゃん。」

と、私が言うと、シイが声を出さないように笑っていた。

「イタズラなら切っていい?」

私が意地悪く言うと、

「わー!ちょっと待って!ごめんごめん、ごめんなさい。」

と、謝ってきた。

「実はさ、今、タツヤんちにジュンペイといるんだけど、おまえ遊びに来ない?」

「タツヤんち?」

私はシイと顔を合わせた。私達は緑川が電話して来るのも、3人で遊んでいるのにも驚いていた。今日は練習や試合は無かったのだろうか。そして、もちろん、遊びに誘われた事に、1番驚いていた。私はドキドキしてきた。

「誰か誘える?ミオとか、シイとか。」

私はなるほど、と思った。タツヤはミオで、多分緑川はシイなんだなと。

「シイは今一緒にいるけど、ミオは出掛けるって言ってたから無理だと思う。」

と、私は伝えた。しばらく後ろでコソコソ会話がされた様子だったが、

「じゃあ、2人で来て。タツヤんち分かるよね?」

「うん。」

と言って、電話を切った。

私とシイはドキドキ、バクバクし始めた。


私達は、外に遊びに行ってくる、と言う置き手紙を残し、おやつのお菓子を持ってタツヤの家に向かった。

タツヤの家までは、自転車だと5分くらいだが、私達は歩いて行く事にした。歩くと15分くらいだ。早く行きたい気持ちはもちろんあったのだけど、ドキドキバクバクし過ぎて、5分くらいでは落ち着か無かったからだ。結局、15分でも落ち着か無かったけど。

シイから、緑川が好きだと聞いたのはこの道中だった。この時にはプールの事もあったから、私も分かっていた。私は、

「緑川はシイが好きだよね。」

と、シイに言ってみた。するとシイは、

「私もちょっと、そう思ってる(笑)」

と言った。こういう、素直に認めちゃえるところ、シイは本当に可愛い。

「ジュンペイもいるんだよね?」

シイは、大丈夫?って顔で私を見た。

さすが、シイ。私の気持ち、よく分かってる。

私はプールの事があったから、複雑な思いを持っていた。ジュンペイに会えるのは本当に嬉しいんだけど、なんだか気まずくて仕方がなかった。

「私、聞ける時あったら、ジュンペイに好きな人聞いてみよっか?」

シイは楽しそうに言った。シイのこうゆうノリ、私は好きだった。

「じゃあ、私は緑川の、聞いてみる。」

私がそう言うと、シイは、

「よろしく!」

と言って、私達は笑い合った。

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