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つれづれ野花  作者: あぐりの
えんこい
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えんこい11

リラックスモードで来ていた私を、カノが出掛けれる状態にしてくれて、歩いて3分くらい先にあるリュウヘイの家へと出発した。

「緑川居るって。」

カノのニヤケ顔はまだ継続中だった。

「うん。なんか緊張する。」

ニヤケ顔のカノとは対照的に、私は緊張のドキドキが止まらなかった。


リュウヘイの家に到着すると、駐車場から続く庭へとかけてBBQが繰り広げられていた。玄関手前の椅子に、先に到着していたカノ父が、同じくらい酔っ払っていると一瞬で分かるリュウヘイ父と思われる人と騒いでいた。

「おおっ⁇カノちゃんか⁈べっぴんさんになったなぁー!」

酔っ払いのリュウヘイ父に迎えられ、カノの冷たく長い溜め息が漏れた。

「隣はさわちゃんだよ!ほら、あんたんとこの息子がずっと好きだった!」

いつの話をしてんだか、カノ父が私を紹介すると、

「おおっ‼︎噂の!おーい!リュウヘイ‼︎」

と、リュウヘイ父は奥の庭の方に向かって叫んだ。

「うっさいよ!酔っ払い‼︎」

と言って迎えに来てくれたのは、リュウヘイではなく、ジュンペイだった。


「久しぶり。」

ジュンペイは笑顔で私達を迎えてくれ、奥まで誘導してくれた。とっくにジュンペイに対して恋愛感情は持っていない私だったけど、こうやって優しく対応してもらうと、ちょっとドキっとしてしまう。

「あー!カノ!さわちゃん!」

私達に気付いて近寄って来てくれたのは、シイだった。女子はシイとミオ、そしてリュウヘイの家の向かいに住んでるサキと私達2人の5人の様だった。

男子はリュウヘイ、ジュンペイ、緑川、フジ、タツヤとユーヤ、それと何故かコーヤだった。

コーヤは緑川とはリトルリーグ仲間で、6年の夏に1度だけ、プールで偶然会って一緒に遊んだ事があった。その後中学校が同じになったけど、同じクラスになった事が無かったから、話したことはほとんど無かった。カノは同じクラスになった事があるみたいだった。

「久しぶり〜」

フレンドリーなカノは、そう言ってすぐにみんなに溶け込んで行った。が、私はと言うと、人見知りモードになってしまい、カノの側で溶け込んでいる振りをしているのだった。

「ねー、緑川と喋んないのー?」

カノがこっそり聞いて来た。

「うーーーん…」

座ってる席が違い過ぎて、話すタイミングが分からないでいる私の煮え切らない態度に、

「もー!じゃあ、はい!ドリンク補給した帰り道、お肉ちょーだいって話しかけて来い!」

とカノは言って、私を無理矢理立たせた。カノの剣幕に負けた私は仕方なく残りのドリンクを飲み干して、ドリンクが置いてある方へ向かった。

周りを見渡すと、シイとミオは同じ学校のジュンペイとユーヤと、カノはフジとリュウヘイと楽しげに談笑していた。緑川はドリンク置き場近くで、サキとコーヤ、タツヤと楽しげにお肉を焼いていた。はぁ〜。あの中に割って入る自信なんて、私には無いよ…


ミッションコンプリート出来そうになくて重い気持ちのままドリンクを選んでいると、

「どれ飲むのー?」

と、横から声がした。びっくりして見ると、コーヤだった。

「ごめんねー驚かせるつもり無かったんだけど。」

「え、あ。こちらこそごめんなさい…」

ボーっとしてた。

「で?何飲むの?」

コーヤはニッコリと笑って、氷に埋まってるドリンク達を見せてくれた。私がお茶を指差すと、コップに注いでくれた。

「ありがとう。」

私の中のコーヤのイメージと違って優しくしてくれて、私はちょっと戸惑いながらもお礼を言った。コーヤは、どういたしまして。と言ってから、自分のコップにもドリンクを注いだ。

「さわって、あの時のさわちゃんだよな?」

コーヤはドリンクをしまいながら私に聞いた。

「夏休みのプール?」

私が確認気味に聞くと、

「覚えててくれたんだ!」

と、コーヤは嬉しそうに言った。

「さっきシイにも聞いたけど、覚えて無いって言われた。」

そう悲しげに言いながら、コーヤは笑った。シイは覚えて無いっと言うか、面倒なだけだったんじゃ…私はそう思いながらも口にはせず、笑って返した。だって、あの日は私はテンションダウンだったけど、シイはハイテンションな日だったはずだもん。覚えて無いとは思えない。

「中学一緒なのに全然話さなかったよな?」

コーヤにそう言われて、

「人数多いからクラス違うと話す機会が無いよね。」

と私は同意した。私の覚えているコーヤはチャラそうなイメージだったから警戒してたけど、話題を提供してくれるので、私は楽しい時間を過ごすことが出来た。コーヤが話掛けてくれた事をきっかけに、私も場に少しずつ馴染んで行けたのだった。

でも、未だに緑川とは話せて居なかった…


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