ながこい 6
ハートのクジをジュンペイが引いて残念がっていたリュウヘイだったが、
「そう言えば、オレ、ジュンペイの好きな人知らないわ」
と言って、乗り気になって来ていた。
「だってリュウヘイ聞いてこないし、いっつも自分の話ばかりしてるじゃん(笑)」
「えっ、じゃあ聞いたら教えてくれるの?」
「ん〜、微妙(笑)」
「なんだよそれ〜‼︎」
リュウヘイのおかげで、何となく緊張していた雰囲気がほぐされていった。
「じゃあ、誰かジュンペイの好きな人を知ってるの?」
と、シイが聞いた。
「えー?うーんと、タツヤと緑川とユーヤかな。」
と、ジュンペイが答えると、リュウヘイが、
「あれ?もしかして、この前遊ぼうって言って、オレが行けなかった時のメンバーじゃん?」
「あー、そうそう。あの時、緑川がみんなで暴露し合おうって言い出して。」
相変わらずの緑川だ。
「うわぁーオレ、タツヤ以外知らねぇ!行きたかったー‼︎」
意外な事実を知らされて悔しがってるリュウヘイはさて置き、
「そういう時って、どうやって教え合うの?」
と、私は聞いてみた。
「あの時は、ジャンケンで負けたやつから言ってった。」
「じゃあ、今もズバッと言っちゃえよ」
と、リュウヘイがけしかけると、
「えー!無理無理!」
と、ジュンペイは焦り出した。気持ちはものすごく分かる。私だって、女子だけだったら言えるもん。でも男子がいたら、それは無理がある。
「どうしよっかー」
と、みんなで相談した。
「 似顔絵を描く」や「その子の真似をする」など案が出たが、「質問にイエスかノーで答える」に落ち着いた。
1人2問ずつ質問して、最後に私達が答えて正解かどうか、ジュンペイが教えてくれるというものだ。
「当たらなかったら教えて貰えないんじゃん!」
と言う、リュウヘイのセリフに、確かに。と思いながらも、まだ複雑な思いでいた私は、1つ目の質問を考え始めた。始めの質問はシイだ。
「姓は珍しいですか?」
「シイ、ナイス質問〜!」
私の地域は、学年の半分近くが同じ姓だった。実は今いるこの4人も、みんな同じ姓なのだ。だから、「ノー」なら、学年の半分、しかも女子だけだから、十数人に絞られるのだ。1問目で、かなり核心に迫った事になる。因みにそのちゃんも、同じ姓だ。
「いきなり絞り過ぎじゃねぇ⁈」
ジュンペイが答えを渋っていると、リュウヘイが、
「ジュンペイ早く!」
と急かした。ジュンペイは仕方なく、
「…ノー」
と言った。
私はドキドキしてきた。次の質問者はリュウヘイだ。
「1組ですかー?」
「えっ、ちょっと待って、それ言ったらかなりバレるじゃん!」
「ジュンペイ、もう諦めろ」
と、リュウヘイは意地悪そうに言った。
ジュンペイと同じ1組には、そのちゃんの他に4人同じ姓の女子がいる。でも、2択で臨んでいた私には、この質問の答えが、かなり大きく左右される事になる。そのちゃんか、私だ。私はドキドキしながら答えを待った。ジュンペイは渋々、
「…ノー」
と答えた。