ブレイクタイム1 [サラマンダー街]
ロブは1人焔の国へと向かっていた。しかし遥かに遠く、2日以上はかかっていた。
「予想もしていた以上にきついなこりゃ。馬車が欲しいぜ。」
移動手段としては徒歩で行くか、動物か、馬車に乗るかだがロブは馬車や動物を買える程の金を持っていなかった。しかしそろそろ長旅で体力の限界もあるため、近くの街で休憩しつつ得意の掏でお金を増やす作戦を考えた。
「よし、今日はこの街にするか。」
今から近い街は[サラマンダー]という街だ。
焔の国に近い国ではあるがそれでもそこから歩いていくとなるとかなりの日がかかるため、この街で休憩することに決めたのだ。
さっそく泊まる宿を決めるために[サラマンダー]の街を歩くロブすると若い女性が駆け寄って来た。
「お兄さん、宿を探しですか?それならいいとこありますよ♪」
そう言いながら胸を押し付けるようにサービス精神旺盛で語り出す少女。これはありがたく彼女に甘えるかと考えたロブは肯定の意を表す。
「せっかくだからお言葉に甘えようかな。お姉さん。宿代の名物とかあるのかい?」
気軽に声をかけると少女は元気よく、そして何度も言うがサービス精神旺盛で答えてくれた。
「もちろんあるわよ!ここでしか味わえない酒とか、お肉もおいしいの!それに綺麗な宿だし安いからきっとお兄さんも気に入ると思うわ♪」
「なるほどね。それは楽しみだ。ところで君の名前は?俺はロブ。偽名で申し訳ないがお世話になるから自己紹介くらいはしとかないとね。」
「あら、ごめんなさい。申し遅れましたわ。私は
フレイヤっていうの。宜しくね、ロブさん。」
「こちらこそよろしく、フレイヤ。」
フレイヤとの明るい会話をしていくとようやくその宿屋にたどり着いた。宿屋の看板には[フレイム]と言う名前の宿があった。フレイヤによると、自分の名前と女将である自分の母親の名前からとったらしい。
さすが彼女が自慢するだけあって綺麗な雰囲気の宿だ。
そして、ドアを開け中に入ると女将らしい女性が受付ロビーに立っていた。
「おや、フレイヤ、遅かったじゃない。どこうろついてたんだい?」
「もうホムさん、せっかくお客さん探してきてあげたのにその言い方はないじゃない。」
「あら、そうだったのごめんなさい。でその後ろの若い殿方がお客さんね。はじめましてここのオーナーのホムよ。この娘は娘のフレイヤ。宜しくしてやってね。で、今日はどんな御用かい?食事?それとも泊まりかい?」
放置されていたロブにようやく気づいてくれたオーナーのホムはロブに今日の予定を聞き出した。
「こちらの宿で1泊したいのですがよろしいでしょうか?こちらはすぐに旅に出る予定なのですがあいにく疲れたので少し休憩したいと思ってフレイヤのお言葉に甘えてこの宿に来ました。」
「あら、そうだったのかい。分かったわ1泊ね。今なら部屋は開いてるから好きなところに泊まって頂戴その前に食事はするかい?今なら準備は出来るわよ。」
「分かりました。じゃぁ食事の方を先にお願いします。」
「じゃぁフレイヤ、食堂へ案内してあげて。」
「了解ー。」
フレイヤに連れられて食堂の椅子に座るロブすると、先程のオススメの肉と酒をフレイヤに注文する。
「お酒とお肉ね?了解ー。お代はいいわ私のサービスってことで♪」
そう言って彼女は厨房へとかけて行った。
「ほんとサービス精神旺盛だよなー彼女。」
心の中で笑いながらロブは食事が来るまで待っていた。
そして20分ほどしてようやく注文の肉と酒をたいらげた後、風呂にはいり、宿代だけ払った後、彼は自分の部屋のベッドで横になった。
「何か特別扱いされてる感あるけどこれはとてもありがたい。今日はゆっくりと寝れそうだ。」
そう独り言を呟いたロブは、明日ひっそりと掏をするための計画をたてながら、旅に備えて深い眠りについた。