冒険へ
ロブが冒険に出る決意をしてからかれこれ2年が経っていた。 無理もない。先の、魔女の下僕の魔物達の襲撃によりいくつもの建物が崩壊したり亡くなった人達も多かったりと被害が大きく、復興するのに時間がかかってしまったからだ。
それに旅に出るために魔女や宝石についての情報を集めたり、武器の調達もしたりする時間も必要だったのだ。
そしてようやく街の復興が落ち着いた頃、彼にはこんな情報を得ることが出来た。
[宝石は4つあり、それぞれ違う属性を持つ。1つ目は火の能力を持つ石。2つ目は水の能力を持つ石。3つ目は地の能力を持つ石。4つ目は風の能力を持つ石。それぞれの石は4人の魔女が所持しており、それぞれの国の長を務めている。]
この情報を得た後、彼はさらに地図も必要だと思い、復興した城の図書館で1枚の地図を広げていた。
「これが地図だな。彼らの犠牲のおかげで出来た地図なんだから、大事にしないと。」
噂通りだと魔女達から宝石を盗みに行った人たちは皆死んだか、行方不明となって自分の国に帰れなくなったとなっている。
この地図は、そんな危険な旅に出た彼らが、瀕死の状態になりながらも、紙に書いて連絡鶏の足に巻き付け城に送っていたのだ。
それが繋がり、ようやく完成した地図が今、城の図書館のロビーの机の上で、ロブの手元に広げられている。
この地図にはこう記されていた。
[北に焔の国、西に水際の国、東に大地の国、南に疾風の国]
「よし、まずは北の焔の国に向かうとするか。」
そう、決心したロブはさっそく冒険の支度をするために地図を城の図書館で購入した後、自分の屋敷に戻り旅支度を始めた。
武器は自分の屋敷の倉庫から取り出したもので短剣2本に、長剣1本のみの冒険家らしい至ってシンプルな装備だ。
銃も考えたが、長旅になりそうなので玉切れになった時のことを考えて剣のみにしたのだ。
さらに服装もシンプルで、上は黒のマントに服はこげ茶のトレーナーと滑り止めの黒い手袋。下は黒い長ズボンで、靴はこげ茶の長靴だ。
「さて、行くか!」
彼は気合を入れて屋敷から飛び出し、第一関門の焔の国へと向かうのだった。