6話:心友 ~橘立夏~
【11月20日】
「ねぇねぇ聞いて聞いて明日香!」
週が明けても学校説明会での興奮が冷めることはなかった。
「あー立夏、学校説明会どうだった」
「それがもう凄かったんだよ!自由な校風とか自主自立の精神とか生徒もキレイで校舎も優しくてそれから○※△$▽∝&°%ゲホッゲホッ」
「立夏落ち着いて!言ってることめちゃくちゃだよ!?」
言われて、大きく深呼吸をする。
スー ハー
「ほっ、ごめんごめん。……それで、なんの話だっけ」
「ハァ、学校説明会ね」
「そうだ!学校説明会ほんとにすゲホッゲホッ」
「だから落ち着いてって!」
◇
その後も冷静になることはできなかったが、明日香に一通り自分の感動を伝えた。
「あ、そうだ明日香、はいこれ」
そう言って学校説明会の冊子と外山のパンフレットを明日香に手渡す。もともと明日香に頼まれて行った説明会だ。当然だろう。……が、明日香から返ってきたのは予想外の反応だった。
「あぁいいよ。私もう持ってるから」
「え、そんなはずないじゃん。さっきも言ったように、この冊子はあの説明会のためだけに作られたものだし……」
「まぁね。でも……立夏の方が必要でしょ?」
ギクッ
「な、なんで!なんで分かったの!?」
いつから気付かれていたのだろうか。自分ですら昨日までこの気持ちに気付くことはできなかったのに。
「立夏の輝いた顔見たらすぐ分かったよ。長い付き合いだもんね」
「明日香ぁ。ありがとう」
明日香のお蔭で無事、志望校を決めることができました!一般入試まであと3ヶ月、外山高校合格目指して頑張ります!
「い、痛いって立夏、嬉しいのは分かったから肩振り回すのはやめて~」