3話:衝撃 ~高橋悠太~
【11月18日】
学校説明会当日、外山高校から徒歩15分のところにある鷹田馬場駅に悠太はいた。
「外山高校ってどんなところだろうなぁ」
実を言うと俺は、外山高校には一度も行ったことがない。医学系大学進学プログラム、TLMが日本で唯一存在するということだけで決めたからだ。正直それ以外のことはどうでもよかったし、今もどうでもいいと思っている。
もしそれ以外に魅力があればそれにも参加して......
「まぁ、そんなこと起きるわけないよな」
◇
「ここが外山高校か……」
門の前の開けたスペースに、校舎へと続く緩やかな坂道。奥にはシンプルだが美しい、白い要塞が見える。
初めて見た外山高校の印象は、『端麗』だった。
坂道を進む俺を、各所に配置された生徒が挨拶しながら誘導してくれた。玄関の受付で、冊子のようなものを2種類受け取り、それから体育館へと、誘導されるがままに進んでいく。
体育館には既に、たくさんの中学生やその保護者、それによく見ると、外山以外の高校生もいた。外山高校は人気校だが、これほどまでとは思わなかった。受検を前に、一抹の不安を抱く。
「こんにちは、1名様でしょうか」
コクリ
突然のことに声が出せず、頷くだけとなってしまった。ったく、コミュ障かよ俺は。
「そうしましたら、こちらまっすぐお進み頂いて、奥から詰めてお座りください」
「は、はい」
辺りを見渡して、記憶を振り返って、ある1つの真実に辿り着く。もしかしてこの説明会……
ドンッ
席の前まで来たときだった。自分が急に立ち止まってしまったせいか、後ろを歩いていた女の子にぶつかられてしまった。自分は身長が高い方だが、それにしてもその女の子は小さい。小学校高学年くらいだろうか。
「ご、ごめんなさい」
「あ、全然大丈夫ですよ」
一見幼そうな見た目だが、礼儀はしっかりとしているようだ。近くに親は見当たらない。迷子だろうか。
そんなことを考えながら、自席につく。パイプ椅子の下に荷物を置き、受付で貰った冊子を開く。1つはよくある学校案内の冊子だった。そしてもう1つは……
◇
俺は、衝撃を受けた。
校舎が綺麗で
明るい校風で
クラブ活動が盛んで
委員会活動が盛んで
自主性があって
面白そうで
楽しそうで
そして何よりこの説明会
全部生徒だけで作ってる!!