表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春あくありうむ!  作者: 風又秀太
第1章 Episode of 高橋悠太×橘立夏
4/12

2話:歓談ときっかけ ~橘立夏~

【11月17日】

私の名前は橘立夏。中学3年生。絶賛青春満喫中!家から徒歩10分の、練麻(ねりま)区立桜川西中学校に通ってる。最近は部活も引退し、受験勉強頑張ってます!


今は数学の授業中。この間のテストが続々と返されている。


「次、橘立夏さ~ん」

「はーい」


川島先生に呼ばれる。

普段は明るい私だが、今は受験前、しかも得意な数学ということもあってそれなりに緊張している。小走りでいそいそと教卓へ向かう。


ペラッ


「よく頑張りましたね。他の教科もこの調子で頑張って」

「はい!」


良かったぁぁ。ほっと胸を撫で下ろすとともに笑みが込み上げてくるが、外見では至って平常心だ。

ゆっくりとした足取りで自席へと戻る。


「すごーい立夏!また数学1位!?」

「いいなぁ~私なんかとは大違い」

「そんなことないって~」


彼女達は私の友達で、稲葉かなめと西宮碧だ。3年生になってからクラス替えで同じクラスになり、部活動や委員会での接点はないけれどよく一緒にいる、所謂(いわゆる)イツメンだ。

勉強の方はこんな調子で、全教科の合計点は学年 top5 を一年生の頃からキープし続けている。今回もまぁ大丈夫だろう。残り3ヶ月、高校受験に向けて順調そのもの!


…の、はずなんだけど……



「そういえば立夏、高校どこにしたの?」

「え!......ま、まぁ、それなりのところかな」


もう一人のイツメン、親友で幼馴染みの田中明日香だ。彼女とは小学一年生の頃からずっと同じクラスで、家が近いこともあり、よく私の世話を焼いてくれる。


「えぇー勿体ぶらずに教えてよー」


かなめが横から口を挟んでくる。


「まぁ、立夏はどんな高校でも行けるもんねぇ」

「だからそんなことないって!」


3人とも笑っている。良かった、なんとか誤魔化せたようだ。

別に、私だって教えたくない訳ではない。みんなみたいに、志望校を共有し合い、励まし合いながら受験勉強したい。......ただ、無いものはどうしようもなくて……


そう、私はまだ志望校が決まっていないのです!!





【その日の放課後】


「それでさぁ、私、丼草高校目指してるんだけど、もう英語がヤバくってさぁ、」


先程のメンバーで集まって話している。最近は、塾の時間までこうして4人で談笑するのが日課となっている。


「あ、五時だ、私そろそろ帰るね」

「あ、私も帰らないと」


碧が切り出すと、それに合わせてかなめもそう告げた。2人は同じ塾に通っているのだ。


「うん、じゃあね~」

「バイバーイ」

「また明日ね~」

「碧!明日は休みだよ!」

「あぁそっか。じゃあまた月曜日に!」

「うん、バイバーイ」



明日香と二人きりになったが、会話は続く。





最終下校時刻も近づいてきたので、そろそろ帰ろうかというときだった。


「そういえばさ立夏」

「ん?」

「明日って、空いてる?」

「え、空いてるけど、、なんで??」


どこかへ遊びに行こうとしてるのだろうか。……でも、夏休みが明けた頃に、『受験が終わるまでは遊びに行かない』と、明日香の方から約束したはずだ。その約束を明日香が自分で破るとは考えにくい……


などと立夏は思い(あぐ)ねるが、その答えは明日香によってすぐに出された。


「明日さぁ、外山高校の学校説明会があるんだけど、ちょうど塾のテストと被っちゃってさぁ、それで立夏に代わりに行って、説明とか聞いてきてもらえないかなぁって......どう?」


そうだ、明日香は外山高校目指してるんだっけ。いつもお世話になってるんだし、たまには明日香に恩返ししないとね。


「うん、いいよ!」

「ほんと!立夏ありがと~」

「任しといて!ばっちり聞いてくるから!!」


という訳で明日は、自分の志望校もまだ決まってないんだけど、外山高校の学校説明会に行くことになりました!この出来事が、自分の人生を変えることになるとは知らずに……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ