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10・5 ツキガイ end 紫
落下した森で、立ち上がると見覚えのある男が駆け寄って来ていた。
「どうしたん? 城でいじわるされたんか?」
私は彼なら助けてくれるだろうか、半信半疑ながらさっき起きたことの話をした。
「あの場所に戻りたくないんやろ、ほんなら一緒にくる?」
「いいの?」
商売の経験はないから、いてもお荷物にしかなりそうにない。
「どこの国も同じやね……」
彼が舌の裏を出す。魔族の模様があった。
魔族でも翼や角の有無は個人差があり、見分けがつかないから気がつかなかった。
「ズヴィちゃんにもあるんやろ?」
「うん……首の後ろ」
◆◆
私は彼に高そうな金属でできた腕輪と、ペンダントを渡した。
「連れて行ってくれるお礼……というか必要ないから売ってしまって」
「発信機ついとるやん……愛理苦鴉はほんに、気味悪いなあ」
ワコクの言葉でラブラクアを意味するのだろうか?
「そや、知っとる? あの国は愛楽蛙……ラブラクアやないって」
「え、知らない」
名前と地形が似ている双子のような国で、偽物のラブリクアが成りすましたりするらしい。
「簡単に言うと正直村と嘘つき村や」
「……そうなんだ」
私は偽物の幸せを手にせず済んだ。生きているだけで、幸運……そう思いたい。




