プロローグ
「んっ……うーん……あれ、ここは……?」
私が目を開けるとそこは知らない場所だった。
「あれっ私さっきまで部屋でゲームしてたよね!?ずっとやってたあのゲームがやっとクリアできて、それで最後の問題に答えたらPCが急に光りだして…」
私がすっかり混乱しきって頭を抱えているとふいに男の子の声が聞こえてきた。
「 やぁ。突然呼び出してしまってびっくりしたでしょ?ごめんねなんの説明もなくこんなことしちゃって。」
声の聞こえた方に目を向けるとそこには、顔に悪戯っぽい笑みを浮かべた美少年が立っていた。
黒髪黒目だけど服はなんだかおとぎ話の天使が来ているような服をきていた。
「あのっあなたは誰なんですか!?それにここはどこで私は一体どうしてこんな場所にいるんでしょうか!?」
混乱しきってとりみだす私に男の子は笑みを崩さずにつづける。
「ここは君たちの言うところの神界で、僕は神さ。ここの奴らからは遊戯の神なんてよばれてる。そしてここに君をよんだのは神の試練を突破した君に頼みがあってよんだんだよ、黒田瑞希(くろだみずき)ちゃん。」
男の子が優しい声で荒唐無稽なことを言ってる…
今度はあっけにとられてそんなことを考えていたらふと思い出した、そうだこれって小説でよく出てくる異世界転移の前の説明ってやつじゃあ……!
「そのとおりだよ。理解が早くて嬉しいな。」
「ひゃうっ!えっわたし口に出してました?」
「心くらい読めるよ。だって神様だからね。」
そうだ、神様っていってったっけ…そういえばさっき名前をよばれたような…って神様!?うそっ!?
「アハハッ。君を眺めてると飽きが来なくて楽しいな。そうさ、神様だよ。」
「ほんとに神様なんですか…?」
「ほんとに神様さ、身分証明書なんてものはもってないけどね。さっきだって心を読んでみせたじゃないか。」
そうだった…さっき心を読まれたんだったよ…。
「さて君もやっと落ち着いてきたかな?そろそろ本題にはいろうか。まぁ僕はいつまでも君との会話に興じているのもそれはそれで楽しいからいいんだけどね?」
神様がこちらの様子をみてあらためて切り出してくれた。
「あっご、ごめんなさいとりみだしちゃって…」
「いいよいいよ嫌味とかじゃないし。さてさっきも少し話したと思うけど、おめでとう黒田瑞希ちゃん君は神の試練を突破したんだ。誇っていいことだよ。」
「神の試練…?」
「そう、神の試練。より具体的にいうと君が最近ずっとやっていたゲーム、その最終問題にたどりついて[はい]を押すことが試練の突破条件だったんだよ。」
え、ええー、あのゲームが神の試練だったの!?!?普通のゲームだったのに!?
「アハハッ。普通のゲームって言うけどさ、あのゲームはいろいろ仕掛けがあるんだよ?プレイヤーにストレスをかける仕掛けや、ゲームを続ける気をなくさせる仕掛けなんかがてんこもりさ。あのゲームを本当にクリアして、ましてや[はい]を押す人間がいるなんて実は作った僕もあんまりしんじてなかったんだ。クリアした人間はよほどの変人だよ」
「へ、変人…」
がーんっ私ってそんなに変なこだったの?
「そう落ち込まないでよ、おかげで試練を突破できたんだからさ?」
「そ、そうですね!ところでそんな試練をいったいなんのために?」
「そうだね、あんな試練をなんでつくったのか、それは人間のなかからあの試練をクリアできるような人材をさがして任せたい仕事があったからなんだよ。それで君をここによんだんだ。」
「お仕事ですか?」
そう問いかけた私に神様が告げる。
「君に、神様の辞書になってほしいんだ。」