表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二十二歳の勇者と天然女神達の異世界創造譚  作者: そらまちたかし
第一章:フリーターと痴女女神
6/28

女神フレイヤ ― 2

 

 

「――だ、大丈夫か?」

「……はい。――少し痛かったですけど、大丈夫です……」


 静まり返ったアパートの一室。

いや――少し前までは静かだったのだが、その静寂は一組の男女によって破られていたのだ。


 今でも体が火照り、その素肌を肌寒い夜の空気が撫でる。


 それが妙に心地よく――さっきとは別の快楽を感じさせてくれる。

それは落ち着きを取り戻している少女もきっと感じているだろう。


 今の現状はいわゆるあれだ。

一組の男女がベットの中で事を終えて添い寝している――。


 これが噂に聞く事後じごというネットスラングなのだろうか。

そうであれば、22歳まで童貞だった俺は脱童貞。


 別にその忌まわしい称号が外れたからと言って、何か俺の世界が変わるわけでもないのだ。

まぁ――、それなりの体験をしたという意味では勝ち組なのかもしれない。

 

 それだけ、俺の体も少女の体に歓喜を上げていたのだ。

本能しょうじきというのは実に困ったやつだ。


「……そうか、あまりにも叫ぶから心配してたんだ……」

「す、すみません。――そ、想像より大きかったので……」


「……恥ずかしいから、あまりそういうことは言わないでほしい……」

「あ、すみません。……でも、気持ち良かったですよ」


 腕の中でまどろむ少女は悪戯に微笑む。

なんとも余裕な笑みだ。


 初めての体験が多すぎて、戸惑いだらけだった俺と大違い。

少女はなにも躊躇うことなく俺にその身を捧げていたのだ。


 ――既に、(アレ)も何者かが突破済みだった。


 痴女だけにそれなりにやっているのだろうか。

その割にはあまり慣れてない感じがした。


 俺の体を舐め回した時も、初めて見るかのような仕草をしていた。


 気になるからといって、間違っても「経験はあるのか?」なんて聞けたものではない。


 痴女と言っても年頃の少女なのだ。

そんな言葉を言わせるほど、俺は鬼畜じゃない。


「――ところで、なにか思い出せたか?」


 あまりの快楽に忘れかけていたこと。

俺たちは互いの欲求を満たす目的でやったのではない。


「……そう、ですね。……貴方に指を入れられ始めた時に――」

「――そこは思い出さなくて良い」


「あ、はい――」


 俺の素早い突っ込みに口を閉じる少女。

俺は言葉を切った少女に安堵する。


 そんな恥ずかしい詳細を女子の口からは聞きたくはないのだ。


「……あまり鮮明ではないですが、誰かを探しにこの世界に私は来た気がして――」


 誰かを探しに……?


「――それって、エスティリアの世界を救うために、勇者である俺を探しに来たんじゃないのか?」


 あれだけ散々言っておいて、来た理由(それ)を忘れるわけはない。

そう思っていてもつい、ツッコミをいれてしまう。


「そ、そうじゃなくて――!……鮮明ではないのですが、別の目的だったような気がして……」


 別の目的――。

それが少女の消えてしまった記憶の1つとでも言うのだろうか。


 ここに来た目的と転移の方法。

そんな大切な物を忘れて、この少女はこれからどうしようと言うのだ。


「……気のせいじゃないか?」


 何か忘れているかもという衝動に駆られる――。

それは俺でもよくあることだ。


 少女が妙に発情していた時は動揺して、思わず言うことを信じてしまっていた。

だが、俺とやれば思い出すなんて考えれば変な話だ。


 相手は痴女だ。

もっともな理由をつけて、性欲を満たしたかっただけなんじゃないだろうか。


「い、いえ!確かに変化を感じたんです!こう――頭に訴えかけてくるみたいに……!」


 両手を頭に当て、必死にジェスチャーをする少女。


 ――な、わけないか……。


 そんな無邪気な少女を見ていれば、企みなど何もないように感じるのだ。


 いや、考えられそうな頭をしていない。


「……つまり、もっとやれば明確に思い出すんだろう?」


 早い話は論より証拠だ。

少女が何か思い出すまでやればいい。


 どうせ、真実なんてわかりっこないのだ。


 それに、一度味わってしまった少女の体――。

ふんわりと暖かく、滑らかで柔らかく。

所によってはトロリと生々しい……。


 思い返すだけで下半身が熱くなる。


 記憶を思い出すかなんてどうでもいい。

もっと、少女を知りたい――。


 俺の本能はそんな下心さえ隠せないぐらいに、どうしようもなく膨れ上がっていた。


「はい。……毎晩めちゃくちゃにしてくだされば、進歩良く思い出していくと思います」


 そんな俺に便乗したのか、少女は強請るようにこちらを見つめてくる。


 毎晩、少女とこんな……。

想像するだけで興奮してしまうのは男のさがだろうか。


 ――次は何をしようか。

その、体型に見合わないたわわな膨らみを、満足するまで……。


「――つ、次はその……!」


 ふと俺は、少女へと伸ばしていた手を宙で止めた。


 ――何してんだ俺は……。


 理由は――曇りない少女の眼を見てしまったからだろうか。

己のやろうとしてることに気づいてしまったのだ。


 愛もなければ理由もない。

ただ、「やりたい」の言葉が俺を洗脳していた。


 駄目だ――。

こんなの、俺の美学でもなんでもない。

 

 きっと、やった後に後悔する……。


「……どうしたのですか?」


 そんな俺を心配そうに見つめる少女。


 すまない――。

俺が優柔不断なあまりに君を振り回しそうだ……。


 不安と動揺に駆られたこの心は、今は安静にするべきだと判断した。


「悪い――今日はもう、疲れたからこのまま寝るよ。……シャワーは適当に使っておいてくれ……」

「……あ、はい。おやすみです」


 そんな俺に、少女はただ明るい笑顔を送るのだ。

実に愛らしく愛おしい天使の笑み……。


 喘ぐ姿は興奮物だったが、こっちも悪くはない――。


「おやすみ……」


 きっと明日は激務だ。

しっかり寝ないと――。


 気づけば俺は、深い眠りへとついていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ