ぼくのピピィを知らないかい?
大変です!
村はずれに住んでる男の子、ベックが大切に飼っていた小鳥のピピィが逃げだしてしまいました。
「急いで、追いかけなきゃ!」
ベックはお家から飛びだしました。
べックは道の途中で、ある動物に会いました。
「おや? 君は誰?」
「ぼくかい? ぼくはイヌのワンさ」
ワンは口からベロをだし、ハアハア息をしながらいいました。
「ねぇ、ワン。ぼくのピピィを知らないかい?」
「知ってるよ。お日さまの方へ飛んでったよ」
「ありがとう」
ベックは、お日さまの方へ走っていきました。
ベックは道の途中で、また、動物に会いました。
「おや、おや? 君は誰?」
「わしか? わしはライオンのシシマルじゃ」
シシマルはたてがみを、ふさふさ揺らしていいました。
「ねぇ、シシマル。ぼくのピピィを知らないかい?」
「知っておるとも。あそこの森へ飛んでいったぞ」
「ありがとう」
ベックは、森へ入っていきました。
そこで、また、また、動物に会いました。
「おや、おや、おや? 君は誰?」
「おいらかい? おいらはサルのキッキーだよ」
キッキーは木の枝で、くるくる宙返りでいいました。
「ねぇ、キッキー。ぼくのピピィを知らないかい?」
「知ってるよ。そこの枝にとまってるよ」
キッキーが指さした先には、ピピィがとまっていました。
ずっと飛んできたので疲れて、ちょっと休んでいるのでした。
「ピピィ!」
ベックが捕まえようとすると、ピピィはまた、逃げてしまいました。
「待ってよ!」
ベックは、慌てて追いかけました。
ベックは追いかけます。
一生懸命、追いかけます。
山を越え、谷を越え、ずっと追いかけました。
お日さまが頭の上に昇っても、西の空へと沈みかけても、ずっとずっと追いかけました。
その途中で、また、また、また、動物に会いました。
「おや、おや、おや、おや? 君は誰?」
「おれかい? おれはオオカミのガルだぜ」
ガルは口から、キバをだしつついいました。
「ねぇ、ガル。ぼくのピピィを知らないかい?」
「あぁ。もちろん、知ってるぜ」
「ほんと、ガル!?」
「ピピィを見つけたら、やっぱり捕まえるのかい?」
逆に、ガルが聞いてきました。
「もちろんだよ!」
ベックはそう答えました。
「じゃ、ピピィの居場所は教えられないな」
「えーっ!? どうしてだよ、ガル!?」
でもガルは、キバを見せつけるだけで、何もいってはくれません。
「もういいよ! ガルのいじわる!」
ベックはまた、走りだしました。
「あ、いた!」
ベックは、草原の中にたっている大木の枝に、ピピィがとまっているのを見つけました。
そのとなりに、大きな鳥がいるのにも気づきました。
それは、ピピィのママでした。
「ママに会いたくて、ピピィはここまで飛んできたのさ」
いつのまにか側にいた、ガルがいいました。
「ずっとママと離ればなれで寂しかったんだな。だから、こうして……はるばる飛んできたんだ」
「……」
「もしもお前がピピィだったら、どうしてほしいかな?」
ベックは、ちょっと想像してみました。
ずっと……。
離ればなれだったママと、やっと会えたんだから……。
このままずっと、一緒にいたいだろうなぁ……。
ベックは、ピピィにむかっていいました。
「ごめんね。ぼく、知らなかったんだ」
そして、さよならをいいました。
「いつまでも、ママとなかよくね」
それを聞いたピピィも、ママと一緒にさよならをいいました。
ベックはすこし寂しかったけれど、嬉しそうなピピィを見たら、何だか心がくすぐったいような、あったかいような、そんな気持ちになったのでした。
すると――。
ベックも、ママの顔が見たくなりました。
「――ママ!」
ベックは駆けだしました。
お家にむかって駆けだしました。
それを見て、ガルはにっこり笑ったのでした。
お日さまがゆっくり沈んでいきます。
もうすぐ、晩ごはんの時間です。
今日のおかずは何かなぁ。
大好きなハンバーグだったらいいなぁと、ベックは思うのでした。
おわり




