最初の一歩始めました
紀樹君は『仕事モード』のときは一人称ですが、通常だと三人称です
≪紀樹視点≫
次の日、別れをガチで惜しむみんなをどうにか振り切って城を出た。城を出る際3つのことを約束させられた。
1、1か月に一度は帰ってくる。
2、怪我をしない。
3、女は10人まで。
1と2はいい。1は転移を使えばばいいし、2は当然だ。だが3はなんだ!?あいつらなめてるのか!?………まあいいや、心配してるだろうから…許す。さてセバスからもらった王国までの最短ルート地図によるとそろそろ街道が見えてくるらしい。ちなみに城は孤島の上にあった。一応大陸に一つ転移陣をセットしてあるらしい。(大陸は一つしかない)
「おっと、そろそろ『仕事モード』解除するか」
彼がそう言うと、彼の周りを覆っていた『圧』が消え去り、にこにこしたのんきな顔が現れる。
「さていこっかな」
紀樹はそういうと地図で確認した方角へと足を進める。すると、堅いものがぶつかり合う音が聞こえてくる。確実なまでの戦闘音だった。
「あはは、なんか面白そう」
そう言うと紀樹は走り出した、自身の暇つぶしのために。
「裏切ったのか?お前ら!」
今叫んだ女性の名前はノーネ、今、彼女は13人の男たちに囲まれていた。そのうちの二人には見覚えがある。ダークエルフである自分とパーティーを組んでくれた男達だ。すごい久しぶりに他の人と依頼を受けたので少しうれしかった。しかし、こいつらの目的は私だった。この辺りは差別が厳しいためダークエルフはものすごく珍しい、だから売れるのだ、それも高値で。
「ぎゃははは!当たり前だろお前を捕まえて売っても罪にならないうえに金がたんまり入る。どっちがいいかなんて子供でも分かるぜ!」
(くそ!やっぱりこうなる運命なのか…ダークエルフは)
「なら最後まで、足掻いて見せる!」
「ぎゃははは!そういう女は嫌いじゃないぜ!」
「先に俺達で味見しちまうか?」
(この!屑どもめ!)
「おお!いい胸してやがる」
「ああ、けつもいい感じだな」
「僕は足かな~」
「!?」
突然男達の後ろからのんきな声が聞こえた。男達は驚愕し武器を構えたまま後ろを振り返る。
「誰だてめえ!!」
「僕?僕紀樹」
少年、いや紀樹はにこにこ笑っている。男達は戸惑う、目の前にいるのがなぜこちらに笑顔を向けてるのかわからないのだから当然だ。
「何しに来たんだ坊主?この女のためか?」
「ん?別にそのダークエルフと知り合いじゃないけど…おじさんたち盗賊?」
何をばかなことを、服装を見れば一発でわかる。
「そうだぜ。ぎゃはは!どうする倒してみるか?」
男がそう聞くと紀樹は心底不思議そうに首をかしげる。
「?倒すんじゃなくて、殺すんだよ?」
「あ?」
紀樹が少しかがんで頭の右側から武器をとりだす。
「ばいば~い」
そして思いっきり…横に振りぬいた。