8話
一方、ちひろと蓮は放課後、転校生の“白川大樹”と話していた。
「白川くんは、体育が得意なんでしょ。その中で一番得意なスポーツってあるの?」
ちひろはそう言って大樹に向かって訊いた。
すると、大樹は元気のいい声で話した。
「いえ、おれは体が小さくてすばしっこいだけです。強いて言えば、バスケを六年間して来たのでバスケが得意です。」
それを聞いてちひろも話す。
「∧ぇ~。バスケかぁ~。あたしもバスケ、好きだからたまにやるんだよ。おもしろいよね。」
「なあ、白川。今度見せろよ! すげえ見てみてぇ。お前、うまそうだからなあ。」
蓮が言う。
「はい。いいですよ。てゆーか、一緒にやりましょうよ!」
「そーだな。またやろーぜ。」
ちひろと蓮は、大樹とおしゃベりを続けているうちに少しずつ、親しくなっていった。
「おれ、これから買い物行くので、失礼しますね。」
大樹がそう言うとちひろは言った。
「大丈夫? まだ場所とか分かんないんじゃない?」
「大丈夫です。昨日、母につれて行ってもらったし、地図ももらっていますしね。迷っても、どうにかなります。」
「そう。」
「さようなら。ちひろさん、蓮さん。」
大樹は、足速に教室を出て行った。
「バイバーイ。」
ちひろと蓮は手を振った。
「おもしろいヤツだな。」
蓮は、だいぶ大樹を気に入っているようだった。
それは、ちひろも同じだった。その証拠に、楽しかったといわんばかりに、笑顔を見せている。
「ふふっ。」
自然に笑いがこぼれる。
そうしていると、蓮が、「よし、帰るか。」と言ったため、カバンを手に取った。
そして、ちひろは蓮を追いかけ、教室を去った。