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6話

 朝。

 ちひろと蓮のクラスでは、いつもと変わらずさわがしかった。

 キーンコーンカーンコーン

 チャイ厶が鳴り、さっきまで友達の席の前でしゃベっていた生徒逹、クラスⅩイトとおにごっこをしていた生徒達、友達に宿題を見せてもらっていた生徒達などクラスの生徒達はいすに座る。

 そしてまもなく、担任の先生が入って来た。男の先生である。

「起立。気をつけ、礼。」

 日直の号礼がかかった。

『おはようございまーす。』

「着席。」

「おはよう、みんな。」

 朝のホームルームが始まった。

「さっそくだが、転校生を紹介する。……こいっ。」

 教室のドアが開いて、小柄な男子生徒が入ってきた。

 彼はていねいにドアを閉めると、黒板の前に立ち、キュッキュッキュッと男の子らしい大胆な字で自分の名前を書いた。


 “白川大樹”


「白川、自己紹介をしろ。」

「はい。」

 すると、彼は背すじをのばして言った。

「おれの名前は白川大樹(しらかわだいき)。隣町の中学校、浜西中学校から来ました。得意なことは運動全般。よろしくな」

 白川は、標準的な自己紹介をした。

「白川は、えーっと……奥村の隣だ。この間、席替えをしちまったから出席順じゃないからな。一番後ろだ。あとで奥村にいろいろ教えてもらえ。」


 キーンコーンカーンコーン

「連絡事項も得にないから、これでホームルームを終わる。白川と仲良くしてやれよ。」

「起立。気をつけ、礼。」

『ありがとうございました。』

 まだ四月でグループができていなかったり、まだクラスができ上がってなかったりしているためか、大樹は、あまり質問政めにあわなかった。

「次は美術か……。」

 大樹は担任の先生に言われたとおり奥村に声をかけた。

「奥村さんだよね。美術室を教えてもらいたいんだけど……。」

「……うん。するのは、あたり前のこと。」

 静かだが、とても通る声。

 奥村は、さっさっと歩いていく。

 白川がその声に気圧されて立ち止まっていると、奥村は振り返って言った。

「……なにしてるの。遅れちゃうんだけど。」

「ご、ごめん……。」

 そのとき、近くの女子がひそひそと話していた。

「転校生にアレはないわよねぇ。」

「きっつ~い。」

「白川くんかわいそ~。」

 しかし、奥村は、何事もなかったかのように歩いていった。



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