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4話

「もっと、親しく呼び合おうよ。ま、まあ人にもイメージがあるから変わんない人もいるかもしんないけど……。」

 蓮がその提案に乗った。

「いいな! ソレ。やろうぜ。じゃあ……ちひろと、ルナさんと、ミントは呼び捨てな。麗香さんはれーかって呼ぶよ。」

「なんでオレは最初から呼び捨てなんだ……。」

 ミントがつぶやく。

「じゃあ、あたしもそーしよっかな。麗香さんはれーちゃんって呼ぶからっ! カナさんは……えーっと……そのままで。」

 ちひろが言った。

「あ、私はそのままなのね……。」

 カナもつぶやく。

 カナが意外に落ち込んだため蓮は小さい声で「お、俺もさん付けするので……」と付け加えておいた。

 しかし、麗香は違った反応を示した。

「う、うれしいですっ! 私、今とっても感激しています!」

「え、なんで?」

「ニックネームつけてくれるような友達いなくて……えへ。」

 意外とシリアスな事実なのに麗香はとても明るい表情をしていた。

 しかし、沈黙の時間はできてしまった。

「じゃ、じゃあ、ちひろと似てるな。」

「そ、そーいわれれば……友達って葉月だけかも……。」

 蓮のフォローに、ちひろはうなずいた。

「じゃあ仲間っぽいから今日から友達ってことで!」

「はい!!」

 そう言って二人はあくしゅを交わした。

「ねえ~二人共、わたしも考えたんだけど。」

 ルナが言った。

「えっ! なになにっ、教えてよ!」

「私も知りたいです。」

 ちひろと麗香がルナを見た。

「えっとね……まずちひろさんはちひろっち、麗香さんはれいかっち、蓮さんはれんくん、あとはいつも通りっていう……。」

「いいじゃん! あたし、そーゆーの好きだよ。」

「そお? じゃあこれからそう呼ぶから!」

 ルナが言い終えるとカナがみんなの目を見つめた。

「ふふ。次は私の番ね。」

 みんなの目が興味深々と言っているかのように輝いた。

「まず、ルナのことはるなちんって呼ぶわ。」

「え、なにその売れないアイドルみたいなやつ。」

「似合うわ、るなちん。」

「さっきのわたしの返しからそれを言われるとすごく嫌だよっ。」

(カナさん、優しそうに見えて、Sだったりして……)

 ちひろはカナの様子を見てそう感じた。

 ルナはうなだれている。

「つ、ぎ、に、麗香さん!」

「は、はい!」

 カナの言葉に麗香が反応する。

「麗香さんは、れーたんって呼ぶわ。」

「なんか、ルナさんの気持ちがわかるような気がします……。」

 麗香がルナに同情していた。

「れいかっちぃ~。」

 ルナが麗香のそばに寄る。

「被害者が増えたな。」

 ミントがぼそりと言う。

「まあ、あとはめんどいから一気にいっちゃうけど。ちひろは、ちいりん。蓮はれーくんにしようかしら。ミントは……ちょこ? はい、決まり~」

「う、うーん。ちょっとマシ?」

「まあ、マシといえばマシだな。」

「オレはくいもんかよ。」

 ロ々に言う。

「あ、オレはそのままで呼ぶことにする」

 ミントはそう言って座りなおした。

「れーたんは、全員のことをどう呼ぶのかしら?」

 ふいに、カナが麗香に訊いた。

「えーっと……男子のみなさんは、くん付けにして、女子のみなさんは、さん付けにしますね。」

「いいんじゃないかしら。」

 麗香の言葉にカナが笑って答えた。

 麗香も「よかったぁ~」と笑った。

 それを見終わった蓮は、自分が疑問に思っていたことを口にした。

「なぁ、気になることがあるんだが。」

「ん? 何?」

 ルナが反応した。

 蓮は続けた。

「あんたら悪魔さんたちは、これからどうするんだ?」

 すると、ルナが申し訳なさそうな顔で言った。

「えっと……パートナーと一緒に毎日を過ごしたいと思っているの。」

「オレもだ。ちなみに、悪魔が人間界にいる間は、だいたい寝れば体カが戻る。それと、緊急の知らせるためにもいつでも近くにいた方がいいと思っている。」

「私もお願いするわ。」

 ルナに続いてミントやカナも言った。

「あたしはいいよ。」

「俺もだ。」

「私もかまいませんよ。」

三人全員がOKを出した。

『ありがとう(な)』

 蓮は、オレンジジュースに手をのばし、一ロすすった。


 ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン


 時計の針七時を指していた。

「あ……門限に間に合わないかも……」

 ちひろが時計を見てそう言った。

それを聞いた麗香はにっこりと笑ってこう言った。

「ちひろさんは、三十分でおうちに着きますか?」

 ちひろはなにがなんだか分からなかったが、十五分で家に着くため、「うん、着くけど」と言っておいた。

 すると麗香が少しはにかんでいるような申し訳ないと思っているような顔をしてこう言った。

「私の家の時計は、祖父の方針で三十分ほど早く進んでるんですよ。だからまだ間に合うと思いますよ。」

「えっ、そうなの!」

 ちひろはそれを聞いて驚きの声をもらす。

 そのすぐあとに安心の笑みを浮かベて言った。

「良かったぁ。前、少し遅れたときの罰がひどかったからなぁ。」

 ちひろは帰り仕度を始めた。

「あ、ちひろが帰るんなら俺も帰んなきゃな。ずっといてもれーかんちもメイワクだろうし。」

 蓮もそう言って帰帰り仕度を始めた。

 すると、メモとペンを机から取り出し、さささっと何かを書いてちひろと蓮に渡した。

「私のケータイ番号とメールアドレスです。何かあれば連絡をくださいね。あと、二人もケータイを持ってるんでしたら、また教えてくださいね。」

「うん。ありがと。れーちゃん!」

「また、俺のも教えるよ。」

 横からルナが出て来て、ちひろの肩に飛び乗った。ミントも同じように蓮の肩に。

「今日、ここで話したここは私たちだけの秘密よ。分かってはいると思うけど……。」

 そのことを強調するためか、人間のサイズになって全員に忠告した。

「じゃあね。バイバイ。」

 そう言ってちひろ、ルナ、蓮、ミントの四名は、それぞれの家へと向かった。


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