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運動会…いよいよ

運動会当日の日曜日、朝早くに盛大な花火が秋晴れの空に打ち上げられ、間違いなく運動会は開催されますと宣言しているかのようであった。


会場となる小学校の校庭の応援席には、町にこんなに沢山の人がいたのかと思うほどの、人で溢れかえっていた。


校長の挨拶、来賓の挨拶から始まったプログラムも、どんどん進み、あと少しで最後のリレーとなっていた。


会場のアナウンスが親子リレーに出場の方は入場口にお集まりくださいと告げている。


出場する生徒と親達がぞろぞろ入場口に集まってきた。


自信満々の木崎の父もいた。


1組の親たちは健一を見つけると皆歩み寄ってきた。


1組においては、走ることに関しては健一が1番で、リーダーであることを知っていたからである。


『よう健ちゃん、頑張ろうな』


『健ちゃん、任せとけ、やるときはやるよ』


『健、一世一代の走りをみせてやるよ』


『健ちゃん、私こう見えても、中学の時陸上部だからね』


『浮気がかみさんに見つかって逃げた時以上の早さで走るよ。あはは』


『なあに、みんなで力を合わせれば1人位歩いたって大丈夫さ』


健一はみんなの気持ちが嬉しかった。


『ありがとう。

おじさん、おばさんありがとう。』


健一はこの時漠然と


『僕はこの町で父ちゃんの跡を継いで八百屋になる!』

と思った。

真由美も皆に


『ご迷惑をおかけします』


と挨拶して回った。


健一は最後に純の手を握って


『大丈夫だから』


と言った。

自然と手を握っていた。

自分の気持ちが純に伝わるように。


純が頷いた。

初めて純が健一に意思表示をしてくれたようで嬉しかった。

純もあまりの人の多さと応援の凄さに心細かったのであろう。


健一は希望してリレーでは、純の前を走ることにしていた。


勿論クラスで一番早かったから、健一を1組1番のスタートにして、2組をリードして、チームに勢いをつけるという考え方もあったが、なるべく純のそばにいてあげたかったのと自分の力で木崎の父が走る前に、2組にとどめを刺したかったからである。

子ども心に、それが結果的には純を助けることになると考えていた。


いよいよ整列して入場となった。


応援席からの声援が凄まじい。

1組2組どちらの応援が多いとも言えなかった。


予定では先導する松本先生に続いて全員が小走りでの入場であったが、入場する直前、1組先頭の学級委員山本が松本先生に


『先生、歩いての入場でいいですよね!』


と言っていた。


松本は山本の言っている意味がすぐに理解出来た。


健一は思った。


『山本ありがとう。

やはりお前は俺達の学級委員だ!

山本をスタートにして良かった』

と。

健一がクラスの仲間に純の前を走りたいと言った時、併せて山本のスタートを提案した。

山本は勉強も出来たが、スポーツもそこそここなしその上、どんな時も冷静であった。


だから学級委員なのだろうが、健一はそんな山本に一目置いていた。

だから健一は自分がスタートを走らないなら、スタートは山本しかいないと思っていた。


山本のおかげで歩いての入場になったから、応援に来ている人の顔がよく見えた。


健一の母あや子がいた。

純の祖父剛もいた。

飲み屋あかりの夫婦もいた。


…しかし純の父、誠の姿は見つからなかった。

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