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もっと早く!

足に怪我の後遺症を負ってしまった純。少年の純愛と運動会で、父娘の愛を取り戻すことが出来るか…。

少し春めいてきた3月の早朝、横浜のとある住宅街を、父と娘がランニングしていた。


『こら、じゅん、もっと早く走れないのか?』


『はあ、はあ…』


立花誠はこの4月から小学6年生になる一人娘純じゅんの父親である。

純は相変わらず苦しそうに走っている。


『そんなことじゃ、秋の運動会でビリになっちゃうぞ!』


『はあ、はあ…』


ランニングを終えて自宅に戻る父と娘。


『ただいまー、おじいちゃん!

じゅん、パパと走るのもう嫌!

だってパパうるさいんだもん』


リビングで新聞から顔を上げた祖父剛が声をかける。


『おかえりじゅん。

じゅんは女の子なんだから、早く走れなくたっていいんだよ!』


『ほらパパ、おじいちゃんだってああ言ってるじゃん』


と純は味方を得て父誠を振り返った。


『もう、お父さん甘やかさないでくださいよ!

じゅん、苦しいのを我慢して早く走ろうとするから、段々早く走れるようになるんだよ』


『明日からじゅんが゛手を抜かないよう、ランに引っ張って貰うかな』


ランは純が一人っ子で淋しいだろうと母の真由美が誠に相談して飼い始めた4才になるシェットランドシープドッグの牝である。


純の横で尻尾を振りながら見上げているランに向かって


『ランはいいなあ、走るのが得意で』

と呟く純であった!


翌朝、誠と純そして愛犬ランは揃ってランニングに出掛けることになった。


『じゅん、ランのリードを離すんじゃないぞ』


『はーい、ランよろしくね』


ランに引っ張られるように走り出す純。


曲がり角に差し掛かった時に、1匹の猫が飛び出した!

追いかけるラン!


『あ、ラン待って!』


『ダメだじゅん止まれ、危ない!』


けたたましいブレーキの音。

軽トラに純がはねられた!

駆け寄る誠。


『誰か早く早く救急車を!』

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