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パーティーを追放された俺は勇者学院の教師になったのだが、教え子達が一向に俺を離そうとしない件  作者: しに


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8/8

第8話 勝つ為に

 次の日からは、俺も遠慮なくやろうと、心に誓った。


「さて、今日はもう端的に言おう。まずはラナ、お前は...校庭20周だ! さあ、早く行け!」


「......嘘、でしょ? だって、三週間後に、戦うんだよ? もう魔術禁止とか言ってる場合じゃーー」


「いや、俺は一回言ったことはやめない。あと、前も言ったけどこれから一週間、いや伸ばしたから三週間は俺の言ったことは聞くってこと、忘れんなよ! さあ、早く行きなさい!」


 前のを見た感じ、足りないのは感覚じゃない。これまでたくさん撃ち続けてきたっぽいし、まずは基礎体力を上げる。魔術は、体への負担が凄いからな。


 決して、嫌がらせではないっ。


「もうっ、もうもうっ!! いいわよ、さっさと終わらせて、絶対に魔術の練習してやるんだから!」


「あ、やっぱ50周に変えるわ」


 訓練場を出ようとしていたラナの動きが、ピクッと止まった。

 すごくぎこちない動きで、こっちに振り向く。


「...50周って、しっ、正気? 私、死んじゃうと思うんだけど」


「安心しろ。お前には、ハイナの支援魔術を受けてもらう。だいぶ楽に走れると思うぞ」


「そっ、それなら、まあ...」


「ああ、ちなみに校庭は魔術禁止だからな。ハイナは、ここから遠隔で魔法を使うことになる」


「......へっ?」


「あと、ハイナは数十秒おきに魔術を解除しては再展開するのを繰り返してもらう。お前が勝つためだ、頑張れよ!」


「......鬼畜。そんなの、私の脳が、死ぬ」


「かけられる私だって、体がもたないわよ!」


「大丈夫だって。魔術を使う・使われるだけじゃ、人は死なないから! さあ、怖がってないで早く行きなっ!」


 なっ、なんだその目は...。まるで、なんか俺が犯罪者みたいじゃないか。


 いや、しょうがないじゃん。俺だって、色々考えてるんだよ...。


「そんな目で見ないで...。だって、ハイナは教科書レベルはきっちりできるし。必要なのは、展開を早くするためにもっとたくさん使うことだ。いいか、雑にやれってんじゃないぞ!」


「......そこまで考えてるなら、まあ、よい」


「私はよくないわよ! なんで私が的として犠牲にならなきゃいけないわけ?!」


「お前が早く走り終わればいいだけのことだ。早く行かないと、終わらないぞ!」


「分かった、わよぅ...」


 そう言い残して、ラナは外へと駆け出していった。全力で。


「じゃあ、エーレは、なんかやりたいことはあるか?」


「なんでも、やりますっ!」


「そうだなぁ...」


 エーレは無適性者だった。それなら、この五人でパーティーを組む時、できるだけ被らずに足りないところを補えるように...


「あっ、それなら、聖騎士(セイバー)ってのはどうだ?」


「せっ、聖騎士(セイバー)?」


「ああ。このパーティーには、いわゆるタンク、そして予備戦力が足りない。誰かが封じられたら、もう変えがいない。...そこで、エーレはタンクをしつつ、手が回らない魔術師に変わって魔術を使うみたいな、小回りのきく役割を担ってほしい。どうだ?」


 エーレは、なんだか難しい顔になった。なんか、悩んでるみたいな。


「うっ、嬉しい、ですけど...。そっ、それって、一番難しいって聞くし、わわっ、私には荷が重い、かなって」


「いやいやいや、これはエーレにこそ最適なんだぞ」


「へっ?」


「前も言ったけど、無適性者(アンフィット)は全部の適性が同じってことだ。つまり、全てをこなす聖騎士には、お前みたいな奴が一番向いてるんだよ」


「えっ...そっ、そう、なんですか?」


 まあ、厳密にはちょっと違うけど...でも、間違ってはいない。


 聖騎士は、オールラウンダーとして有名な役職。今回に関してはタンク寄りではあるが、エーレは勉強熱心だし、最適だと考える。


「ああ。とりあえず、第一にタンクだ。結界魔法は貼れるか?」


「そっ、それは、まあ」


「じゃあ、結界を維持、強化できるように練習しよう。まあとりあえず、結界魔術ってのはどれだけその強度を維持できるか、だ。だから......今から一時間くらい、ずっっっと結界を維持しとけっ」


「...やっ、やっぱり、私にも、すっごく鬼畜...」


「いや、だからそんなに鬼畜じゃないって...」


「やっ、やりますっ...! 言われたことなら、どんなっ、キツいことだって、なっ、なんだって...なんなら、よーー」


「いっ、いいから早くやれぇ!!」


 なんか変なことを言い出しそうだったので、止めてさっさと練習させた。


 残るは、剣士組か...。


「じゃあ、お前ら二人は俺と昨日の続きだ。二人がかりでいい。ほれっ」


「...先生、さてはボクたちのことすっごい舐めてるね? いいよ、じゃあ見せてあげる」


「ああ。...勝つって言ったんだ、死ぬ気でこい」


「分かりました、先生。では、」


 早速二人は構えをとった。


「ふっ!!」「はっ!」


 あれ、そう言えば、リンは支援魔術適性が高いんだっけ。


「リン、お前は支援魔術を使っていいぞ。本番は、どうせ使うことになるからな」


「ありがっ、とうっ、ございまっ...すっ!」


 リンは、一瞬後ろへと下がった。でも、まあ避けづらいのはルイだけだし、あんまり変わらないけど。


「ルイ、ちょっと待っててっ。 接続(アクセス)- 界域画定(リアクター・セット)ーー『アクセラレート・シャフト』-『パワード・ブースト』-『アクセラレート・レイ』」


「先生、ボクからっ、目を離してると、痛い目っ、あうよっ!」


「へいへい」


「ーーごめん、ルイっ」


「全然いいよっ」


 さて、どうなるかーー


「ってっっ、うぉっ?!」


「ふふっ」


 なんか早くなってる? 嘘だろ、おい。普通は、剣士が二人いたらやりづらくてしょうがないはずじゃ...。


「へっへーん、先生っ、ちょっとっ、びっくりっ、してるで、しょっ! 私達はねっ、昔っから、ずっと一緒にっ、練習してきたん、だからっ」


「...ほう」


 なかなか面白いじゃないか。剣士二人でのコンビネーション、ね。

 まあ正直、剣士二人なんか要らねぇって思ってたけど、結構悪くないじゃん。


「はっ!」


 攻撃が絶えることなく続くのが、一番の強みか。

 攻撃が、交互に繰り返されている。一人だと隙だらけだったところを、二人いることでなんとかもう片方がカバーしている。


 なるほど、いいじゃないか。


「でもね、まだ物足りないな。これだと、まあ1+1で2みたいなもんだ。お互い干渉し合わずに戦っている。まあ、それができるのもいいけど、もっと追求できる。...二人で、3にでも4にでもなれる」


「なにっ、言ってんっ、のっ?」


「つまり...あー、コンビ技みたいなのを作ってみるとか、かな。死角から攻撃したり、絶対に避けられない体勢にさせたり...」


 やっぱ、剣士二人ってのも面白いな。考えたことなかった。あのパーティーは普通に人数不足だったし。


「ちょっとっ、攻撃されてっ、んのにっ、平然と喋られるとっ、ボクっ、傷つくっ、んだけどっ」


「じゃあ、俺の余裕がなくなるくらいまで頑張るんだなっ」


「くっ......はぁぁっ!」


「あと、エーレ」


「ひっ、ひゃぃぃっっ! なんでっ、ししょうかかっ」


「もうその結界はダメだ。もっかい貼りなおせ」


「えぇぇ〜...わ、わかりました、よぅ...」


「っっ...またっ、普通に喋って......ぐおぉぉぉおっ!」


 まあ、何が引き金でも、燃えてくれて嬉しいね。

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