第9話:ヒューマンエラーによる提携会社システム連携トラブル
午前10時、タカは地下オフィスに入り、資料の山に視線を落とす。
今日は新規提携会社とのシステム連携作業。ほぼ完成しているはずのシステムだが、外注の設計者と自社チームの認識のずれがそのまま残っている。
チームのメンバーと打ち合わせを始める。
「設計書のこの部分、外注ではこう書いてあります。修正はどちらで行うか、再確認が必要です」
「我々側で修正するしかなさそうです。相手にも迷惑をかけたくないので」
タカは深く頷く。ヒューマンエラーは予測できない。
「よし、どちらの修正も文書化して対応しましょう」
午前中、作業は順調に進むが、微細な不整合で数回テストが失敗する。
「またここか…」
「これも人間の認識の違いですね」
タカは苦笑しながら、仲間と問題の箇所を整理し、どちらがどの修正を担当するか明確化する。
文書化とレビューを重ね、次第に問題は収束していく。
午後、地下オフィスで作業を続け、最終的な結合テストを実施する。
「これで問題なし」
チーム全員が安堵の笑みを浮かべる。ヒューマンエラーは完全に消えたわけではないが、文書化と確認作業でリスクを最小化できた。
タカは深く息をつき、チームが着実に自分以外の部分もカバーできる体制になっていることを実感する。
夜、タカはタクシーに乗り込み、紙コップのコーヒーを傾ける。
運転手は穏やかに話し始める。
「今日も街中の工事が多かったですね」
「そうですね、通勤時間帯は混雑してました」
「株式や為替のニュースも賑やかでしたね」
「ええ、景気の動きが少し見えてきますね」
タカは軽く頷き、街の動きや世間の変化に耳を傾けながら、仕事の緊張を少しだけ解く。
帰宅すると妻が笑顔で迎える。
「今日も大変だった?」
「外注との調整で微妙なずれがあって、修正作業に時間かかったよ」
「ふーん、じゃあ夜はその分ゆっくりしてね」
「君の作ったおかずを味わいながら、修正も済ませた気分」
「それなら安心。あ、でもコーヒーは控えめにね」
二人で軽く笑い、タカの肩の力は少しずつ抜けていく。
地下オフィスに戻った日中の緊張感と、夜の帰宅後の穏やかな空気が、タカに今日一日の達成感と安堵をもたらす。
小さなヒューマンエラーはあったが、チームと連携することで安全に処理できたことを静かに胸に刻む。




