第4話:外部システムとの連携トラブル
午前9時、タカはビルのエレベーターホールに立ち、深呼吸する。
今日の作業は外部システムとの接続トラブル対応だ。
乗り込むと、7階のボタンを押す手が少し緊張する。
「外部発注システムと下請けシステムのデータが噛み合っていない……」
朝の静けさの中、心を整えるタカ。
会議室では、昨日の夜に発生した大規模障害の経過報告が始まる。
発注データが下請けシステムを経由して会計システムに送られ、銀行システムに誤った情報が届いていた。
「システム自体の問題ではなく、外部要因がほとんどです」
タカは資料を指差し、担当者と確認を重ねる。
「今回、分割化されたモジュールで処理を追えるので、原因は特定できそうです」
タカはふと、シンの時の対応を思い浮かべる。
「あのときは、全部自分で抱えていた……決断も迅速だったが、属人化のリスクは大きかった」
今は複数の担当者が順番に処理を確認し、原因究明を分担している。
時間はかかるが、一人に負担が集中することはない。
午後、タカは外出し、タクシーに乗り込む。
「大きなトラブル、落ち着きましたか?」
「ええ、外部が原因なので、社内システムはほぼ安全です」
運転手はそれだけ言って、静かにラジオに耳を傾ける。
タカは窓の外の車や歩行者を眺め、街の平穏に少し安堵する。
夕方、帰宅すると妻が出迎える。
「今日も大変だったんでしょ?」
「うん。でも、外部とのやり取りが分かってきて、少し余裕は出てきたよ」
「夜食は食べたの?」
「少しだけ。ラーメン屋で軽く済ませたけど、栄養も考えてる」
二人は笑い合い、短いやり取りの中にも日常の温かみが垣間見える。
夜、オフィスに戻ったタカは、外部との調整内容を整理した。
下請けと銀行とのやり取りで生じる例外ケースを、分割されたモジュールでチェックする。
「こうして可視化できると、シンの時の対応状況に近い形で動かせる」
ログや資料を見直しながら、タカは一日を静かに締めくくる。
窓の外に、夜の街の灯が少しずつ明滅しているのを見つめ、心に小さな安堵が広がる。




