表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Bと7のエレベーター  作者: あつあげ
2/13

第2話:定例会議と日常の隙間

午前8時、タカはビルのエレベーターホールに立つ。

静かに扉が開き、彼は乗り込む。

7階のボタンを押す指先に軽く緊張が走る。今日も通常通り、定例会議から始まる日だ。

会議室には各部署の代表が揃い、スクリーンには昨日の障害対応の概要が映し出されている。

「今回のトラブル、各部署の確認結果は?」

タカはスクリーンの資料を指さしながら報告を進める。

会計システム、在庫管理、発注システムの担当者たちが次々と現状と問題点を述べる。

「……原因の特定に時間がかかってしまいました」

「判断の遅れが業務全体に影響しましたね」

少し息を詰める瞬間が、会議室に広がる。

会議の合間、タカは頭の片隅で考えていた。

「シンの時なら、もっと速く動いていたはず……」

属人化された決断者が不在となり、今は民主的な意思決定でシステムを回している。

安全性は確保できるが、スピードと確信は失われた。

会議後、タカは一息つくため、7階のカフェへ歩いて向かう。

コーヒーを一口すすり、昨日の夜明け前のラーメン屋での会話を思い出す。

「少なくとも、次は同じ席が空いてる状態で対応できる」

心の中で、自分を励ます。

昼休み、タクシーで外出の用事が入り、運転手に声をかけられる。

「今日はもうシステム落ち着きましたか?」

「ええ、昨日の件は一応収束しました」

運転手はそれだけ言い、ラジオの音量を上げる。ニュースは別の地域の話題だ。

タカは窓の外の街並みを見つめ、普段通りに流れる日常のありがたさを実感する。

夕方、帰宅したタカを妻が迎える。

「今日も長かったでしょ?」

「まあね。でも、やることは順調だよ」

「ラーメンばっかじゃなくて、ちゃんとご飯食べたの?」

「もちろん、野菜もちゃんと摂ってるよ」

軽い笑いが交わされ、タカは肩の力を抜く。

少しずつだが、日常の会話も増え、心に余裕が出てきたことを感じる。

夜、オフィスに戻る。小さな修正作業や次回の障害対応の準備を進めながら、タカは思う。

「昨日よりも、少しだけ判断に自信が持てる」

社内の誰かと相談し、誰かの判断を補いながら、少しずつシステムに安定感をもたらしていく。

今日もまた、地階と7階を行き来する日常が続くのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ