第10話:入力データエラーによる障害とシステム防衛
午前9時、タカは地下オフィスに入り、デスクに向かう。
パソコンの画面には、営業部門や他システムからの入力データが連日流れ込むログが並んでいる。
今日も複数の異常データが検出されていた。微細な入力ミスやチェック不足が積み重なり、システム内で障害を引き起こす。
「ここも入力ミスですね。自動で弾かれるはずが、通っちゃった」
「今度はチェックの網を増やす必要がありますね」
タカはログをスクロールしながら、問題箇所を一つ一つチームに説明する。
「すべての出入り口でデータチェックを強化します。これ以上、社内システム内を守るためには仕方がありません」
午後にかけて、チームは各システムにデータチェック機能を追加し、テストを繰り返す。営業部門や在庫管理、会計、人事の各システムが正常に処理されるかを確認。
昼過ぎ、地下オフィスの空調音とモニターの光だけが動きを示す中、タカは一瞬、窓の外に目をやる。渋滞の列と流れる車が、外の世界の忙しさを伝えていた。
夕方、作業を終えタカはタクシーに乗り込む。
運転手はラジオのニュースを聞きながら、声をかける。
「今日も株価が揺れましたね」
「ええ、円も少し動いてました」
「景気の動向は気になりますよね」
タカは頷き、紙コップのコーヒーを傾け、街灯の下を流れる車列を眺める。仕事のことは頭から少し離れ、世間の動きを意識する時間だ。
帰宅すると、妻が笑顔で迎える。
「夜食は食べたの?」
「今日は軽めにしておいたよ。でも君の作ったおかずで満足」
「ふーん、じゃあコーヒーは控えめにしてね」
「わかったわかった、コーヒーも控えめ。あ、でも君の笑顔はいっぱいもらっていい?」
二人で軽く笑い合い、タカの緊張は少しずつほどける。
夜、タカは明日の定例作業を思い浮かべつつ、今日一日を振り返る。
入力ミスやチェック不足は、いくら機械で防げるとはいえ、限界があることを改めて実感した。
しかし、改善策を積み重ねることで、システムは確実に守られていく。
今日のトラブルは小さな教訓となり、チーム全員の経験値として蓄積されていくのだった。




