第10話:最初の従者
カイザはユエを連れて、道場から離れた古民家へと足を踏み入れた。薄暗い部屋の木の匂いと重い静寂が、彼女の心をさらに締め付けた。
(ここは……?)
心が恐怖で凍りつき、理性の欠片が必死に現実を掴もうとした。
「ここは……どこ?」
ユエは震える声で絞り出したが、言葉は弱々しく、闇に吸い込まれるようだった。
カイザは彼女をベッドに下ろしながら、平然と答えた。
「部下に用意させた場所さ。道場の中でやると面倒だからね。ユエ。君はアイリの親友だそうだね。最初の手駒とするに相応しい」
その言葉に、ユエの心は恐怖に震えた。
喉から漏れる小さな悲鳴は、彼女自身のものとは思えないほど儚かった。
(逃げなきゃ……!)
心が叫ぶのに、足は鉛のように重く、身体は彼の意志に縛られたままだった。恐怖が胸を締め付け、なのに身体の奥で疼く熱がそれを裏切る。彼女の心は自分を裏切る感覚に苛まれ、涙がこぼれそうになるのを必死に堪えた。
「無駄だよ、ユエ。」
カイザの声は低く、まるで彼女の心の奥底に直接響くようだった。
「君はもう私のものだ。完全に染まるまで、そう時間はかからない。」
彼女の心は恐怖で震える、なのに身体は彼の指先に反応し震えた。
羞恥と恐怖が交錯し、胸が締め付けられる。
(やめて……お願い……)
内なる声は懇願したが身体は彼に逆らえない。カイザは彼女をベッドに押し倒し、覆い被さるように近づいた。ユエの瞳は潤み、恐怖と抗えない欲望が混じる。
「怖がらなくていい。」
カイザの唇がユエの耳元で囁き、息が彼女の肌を撫でた。
「君は私に従う人形になる。それだけでいい。」
その言葉に、ユエの心は深い闇に沈んだ。
彼の唇が首筋に触れ、ゆっくりと下へ滑るたび、身体は震え、恐怖と快感が混じる感覚に飲み込まれた。
カイザの指が鎖骨をなぞり、衣服を剥ぎ取るように開いた。白い肌が薄暗い部屋で露わになり、ユエの心は羞恥と無力感で打ちのめされた。
(こんなの……私じゃない……)
内なる声は弱々しく、しかしその叫びは彼の存在に飲み込まれていく。
ユエの身体が小さく跳ねた。
「んっ……」
喉から漏れた声は、抵抗か、受け入れか、彼女自身にもわからなかった。恐怖と彼への渇望が心の中でせめぎ合い、理性が砕け散る。
彼女の瞳は潤み、彼に縋るような光が一瞬だけ宿った。
カイザは一瞬動きを止め、彼女の顔を見下ろした。ユエの瞳には恐怖と諦め、そして彼に縋るような矛盾した感情が渦巻いていた。彼は小さく笑い、彼女の顎を指で持ち上げ、唇を重ねた。
そのキスは深く、支配的で、ユエの心を完全に飲み込んだ。カイザの手が腰を強く掴み、彼女をさらに深くベッドに沈ませた。ユエの指が無意識に彼の背にしがみつき、まるで彼に縋るように絡みついた。
彼女の心は彼に染まり、抵抗する意志が完全に砕け散った。
(もう……だめ……)
カイザの動きは執拗で、ユエの心をさらに深く侵食した。彼の指が彼女の肌をなぞり、唇が首筋から胸元へと滑る。
ついに抵抗を諦めた。彼女の身体は彼に委ねられ、心は彼の異能に絡め取られていた。彼女の意識の最後の欠片を支配した瞬間。
彼女の瞳から光が消えた。ユエの心は完全に彼に堕ち、彼女自身の意志は闇の底に沈んだ。
二人の影が薄暗い部屋で重なり合い、ユエの震える吐息とカイザの低いうめき声が静寂を破った。彼女の心は彼に縛られ、身体は彼に委ねられた。ユエはもう自分ではなかった――カイザの一部となり、彼の意志に染まりきっていた。
夕日が沈み、小屋の扉が静かに開いた。
カイザが最初に現れた。身なりは整い、表情はいつもと変わらない。だが、その目に宿る光は、満たされたような澄んだ輝きを放っていた。彼の心は軽やかで、まるで全てを手に入れたような満足感に満ちていた。ユエを支配したことで、彼の内なる渇きが満たされ、静かな勝利の感覚が胸に広がっていた。
彼の背後にユエが続いた。服は整えられ、顔色も一見悪くはない。だが、彼女の瞳には何も映っていなかった。光が消え、虚ろな闇だけがそこにあった。瞬きはする。視線は前を向いている。なのに、彼女の心は空っぽだった。
(私は……誰?)
その問いは、かすかに響いたが、すぐに闇に飲み込まれた。彼女の心はカイザに奪われ、魂は彼に縛られたままだった。
ユエは無言でカイザの背を追い、まるで彼の影の一部のように歩いた。呼吸は彼のリズムに合わせられ、感情のない人形のようだった。心の奥で微かに響く恐怖は、彼の存在に完全に飲み込まれ、消え去っていた。
ユエの心は彼に縛られたまま、夜の闇に沈み、完全に堕ちていた。




