第1難 それは突然で
会社でミスして憂鬱な午後
何故か海を見たくなり、公園で酔うこともできないチューハイを一つ口に含んで温いとつぶやいた
私の周りにはウミネコやら烏やらが集まってきていて付かず離れずの距離を保っている
もうすでに沈んでいるのにオレンジと紫色の空が禍々しくみえた
「あー、疲れた……漫画やアニメみたいに異世界で楽して暮らしたい…」
生まれ変わったら、シンデレラストーリーみたいに生きてみたい
カップル達は楽しそうに会話しながらディナー食べに移動していく
こんな思考回路だからいまだに彼氏とかできたことないんだろうな
少ない握力で缶を潰すと少しだけ凹んだ
ミャアミャアとウミネコが鳴きまくって移動した
かわりに烏の群れが増えているような気がした
「烏はもう帰る時間じゃ…」
「ここに貴方がいるからですよ」
突然の人の声に辺りを見回しても誰もいない
怖くなって立ち上がると後ろからカァカァと烏が飛び交って必然的に海の方に追い立てられた
どうしよどうしよ目の前には海と柵しかない
私から長く伸びた影がぐにゃりと歪んで知らない人の形になる
「どうせならいっそ死んでください」
そう影が喋ると天地がひっくり返って頭からどぽんと体を打ちつけた後気が遠くなった