6話:首都へ向けて
あっという間に時がたち10歳となり、魔法学校の入試のためにこの国の首都へ出立する日が迫る中、大学や学校の長期休暇でいつもは寮に暮らしている兄や姉たちも帰ってきていて、父や母と一緒にみんな俺を応援してくれている。
俺の兄弟は、アドラク家のあるアノール地方の隣のグレイニア地方にある魔導技術大学で、飛空艇などの乗り物について学んでいる一番上の17歳の兄アラン、アノール地方の一般の学校を来年卒業する15歳の姉のシルヴィアと、アノール地方の軍学校で学んでいる14歳の兄ルークがいる。
アランは父に似て聡明で温厚な性格で頼りになる兄で容姿は金髪茶目のイケメンで、俺が物心ついたころにはもう学校の寮で暮らしていたが帰ってきたときはいろんなことを教えてくれた。
シルヴィアは母に似た怒らせると怖いが普段は優しいよく笑う性格で、いつも俺を可愛がってくれていて、見た目はブラウンの髪に深緑色の目をしている美人さんだ。
ルークは良く俺といたずらをしたりしていた活発な性格だったが軍学校でしごかれているのか最近は大人になってきてしっかり者となっているいる赤茶色の髪で黒目で顔は平凡だが体は訓練をしているから筋肉が多い体形となっている。
そんな3人も俺が飛空士になるということを話したときは、驚いたようだったが今では応援してくれている。
俺は首都の魔法大学に受かったら家に帰れるのは1年に1~2回程度だから、今のうちにしっかりと家族との時間を満喫した。
◇
そしてとうとう首都へ出立する日となり、家族や使用人とあいさつを交わす。
「今までの勉強の成果を見るに大丈夫だとは思うが、この国一の魔法の学び舎だ、油断は禁物だぞ」
「体調に気を付けて頑張るのですよ」
「シエル、頑張りなよ」
「応援してますからね」
「お前ならいけるよ!」
「いままで頑張ってきたシエル様ならきっと大丈夫です!頑張ってください!」
父、母、アラン兄さん、シル姉、ルーク兄、サラから応援の言葉をもらう。
「うん、頑張ってくる!」
そう返事をして俺は家を出て首都への魔導列車がでる駅へ向かった。
◇
駅で列車に乗り込み自分の席に座る。ここから首都まで半日と少しほどかかる。今の時刻は朝の10時だから向こうにつくのは日が落ちてからだろう。入試の日は明後日だ。明日は行きたい場所もあるし、移動の疲れが残ってはいけないから今のうちに眠っておくことにする。
目が覚めると外はもう薄暗かった。窓の外を見ると首都のコエントラコが見えてきた。
「さすがこの国一の街だな…すごい大きさだ。」
コエントラコはこの国で一番人口が多く50万人が暮らす大都市で都市の東側が丘になっていて少し高くなっている。アドラク家のある街は10万人程度の街で、それでも大きいのだがこの首都はレベルが違う。遠くから見ても自分たちの住んでいた街よりも建物の階数が高いことがわかる。
それから都市の中に入って少しして列車が駅に着いた。駅から出ると駅前は賑やかな活気に満ち溢れていた。
「もう日が暮れてるのに人が多いな…」
駅前はおしゃれなカフェやレストラン、魔道具売り場など様々なものが集まっていてそれを求める人も多く集まっている。
「休みの日とかに観光するのも楽しそうだな…せっかくだし宿に荷物を置いて何か食べに行くか」
お金はたくさん持たせてもらっているので明後日へ向けて英気を養うために少し奮発することにした。