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3話:魔法と大戦について 地図あり

後書きに大戦時の地図と現在の東大陸の地図があります

次にこの世界の魔法についてだ。


この世界の魔法は大きく分けて2種類あり、そのどちらも自身の魔力を用いることで使用できる。

一つ目は杖などの魔力投射媒体がなくても自身の魔力さえあれば使えるもので、少し炎を出したり水を出したりできる生活魔法である。この生活魔法はほとんどの人が属性関係なく使用可能で、日常生活に使われている。

二つ目は、鉱山などから採掘可能な魔力を持つ石である魔石を加工したものを素材に使った、杖や指輪などの魔力投射媒体を用いて使用するもので、応用魔法と呼ばれるが、一般的に魔法というとこの応用魔法のことを指す。


属性なんかもいろいろあるらしいが、今持っているシエルの知識ではまだわからない。


次に魔力を魔石に込めて様々な道具にして使う魔導具についてだ。日常生活でも食べ物などを冷却するための日本でいう冷蔵庫っぽい魔道具や水を出すだけの魔道具なんかもある。戦場などの兵士の魔力を消耗させたくないときなどはこの水を出すだけの魔石が活用される。飛空艇や魔導列車にもこの魔導技術が使われていてこの世界には欠かせない技術の一つとなっている。


ただこの魔導具技術は物を冷やしたり、水を出したり熱を発するなどの単純なことは適する属性の魔力を充填させれば簡単にできるが、物を動かす動力にしたり、複数の属性を合わせたりするときは複雑な工程が必要になるため、常に使用者が近くで術式を行使しなければならない。

それに加え、飛空艇や列車、大型車などを動かすにはそれ相応の純度や大きさを持った魔石と、使用者の高い魔力量と技術力が必要となる。特に小型の戦闘用飛空艇などはその戦闘用という用途から魔石の操作をほぼ無意識にできるようになるまで訓練が必要となる。


この世界の技術は地球に比べて魔法に頼り切ったいびつな発展をしているためか変化に乏しく、約80年~50年ほど大きな進展がなく今ある技術を応用したり進化させたりしたものが多くなって新しい画期的な技術が少ないらしい。


かといって俺にこの世界を大きく変えるような知識があるのかはわからない。

よくラノベなどである農業改革や技術改革などに必要な知識は、一般家庭に住んでいた高校生の俺にはないしな。それでももしかしたら俺の趣味だったゲームなどから、活かせる知識が見つかるかもしれないが。




最後にこの大陸の歴史と前回の大戦についてだ。


およそ100年前に合った東大陸大戦で俺の住んでいるホルス共和国は拡大している。

その東大陸大戦とは西のストレジア半島とこの東大陸を結ぶ、クライ地峡と呼ばれる交易の要衝を巡った大戦である。


ことの発端はクライ地峡の利益を西のストレジア七公国と東のグリニア王国が二分していたのだが、その膨大な利益に目がくらんだストレジア七公国が、同じストレジア半島にあって交易の恩恵をあまり受けれていない軍国主義のパール帝国の、グリニア王国侵攻を間接的に手助けする代わりに征服後のクライ地峡における交易の税の配分をストレジア有利にするという条約で裏で支援し始めた事である。


周りの国はパール帝国とグリニア王国の戦争で国力の大きいグリニア王国が勝つだろうと予想していたし、グリニア王国もそこまでパール帝国を警戒していなかった。

しかし、その予想は裏切られる。ストレジア七公国の支援もあってパール帝国が連勝していたのだ。


やがてパール帝国がクライ地峡を抑えたところで話が大きく動く。


ストレジア七公国はパール帝国があまり大きく拡大して力をつけすぎると条約を順守しない可能性があるため、クライ地峡を抑える程度までしか侵攻の支援をするつもりがなかった。


しかし、パール帝国は裏で東大陸のガーナール連邦とグリニア王国の東にある小国家群(後のミスト連合国)と手を結んでいた。ガーナール連邦の目的はグリニア王国と友好関係にあるネウディア王国を攻めるためグリニアの援軍を来させないために手を結び、小国家群は弱ったグリニア王国を見てパール帝国の味方に付いたのである。


挟撃される形となり、友好国の支援も減ってしまったグリニア王国としてはどうにか打開策を見つけなくてはならず、小国家群のさらに東に位置する大ハべニアに支援を要請する。要請を受けた大ハべニアに属するラグーン公国はすぐさま軍を進行させたが、同じ大ハべニアのアレクシア公国とハべニア王国は消極的だった。


しかし小国家群はラグーン公国ではなく大ハべニアによる攻撃と判断して、国境を接するアレクシア公国にも反撃をしたためアレクシア公国は止む無く戦争に参戦し、ハべニア王国もラグーン公国とアレクシア公国の支援を開始したのである。


こうしてパール帝国、ガーナール連邦、小国家群対グリニア王国、ネウディア王国、大ハべニア勢力による東大陸大戦が巻き起こった。


そして周りの小国を手に入れたかったホルス共和国は、周辺の大きな勢力が自国の戦争に手を焼いている間に、その高い魔道具技術を活かした兵器で周辺国に侵攻を行い拡大に成功したのである。

このホルス共和国による侵攻の際に東大陸で初めて飛空艇が戦争に使用されたとされている。


この東大陸大戦によってパール帝国は大きく東大陸に勢力を伸ばし、グリニア王国は国土の半分近くを喪失することとなった。パール帝国の影響力が想定よりもかなり大きくなってしまったことで、ストレジア七公国は大戦前の条約の一部修正を余儀なくされ、想定していた利益よりも少ない利益しか得られなくなってしまっただけでなく隣に大きな仮想敵国を抱えることとなってしまった。


大きく拡大に成功したパール帝国は条約を半ば反故にした関係でストレジア七公国に恨まれているためその対応や国内の安定に時間を費やし、さらなる大きな侵攻はなかった。


ガーナール連邦、ネウディア王国は双方被害を大きく出し痛み分けの形で終戦を迎え、小国家群も大ハべニアに対する防衛で手一杯となり、あまり領土を拡大できなかったが、この大戦で一緒に戦った国々で連合を正式に組んで現在ではミスト連合国となっている。

大ハべニアとしてもアレクシア公国とハべニア王国が元からあまり積極的ではなかったため大きな国境の変化は発生しなかった。


パール帝国と同じく大きく拡大に成功したホルス共和国領土だったが、元の3倍以上になった関係で国内の不安定化に伴ってその安定に力を入れたため今日まで大きな侵攻はなかった。

国内の安定化にはその高い魔道具技術を活かした一般家庭向けの魔道具を充実させたことがおおきく影響しており、高い生活水準に満足した国民が多いのか、現在では反対勢力などはほとんど見られなくなっている。



「いや~中々複雑な世界だな…生きていけるのか…?」


そんな不安を胸にもう暗くなっていた部屋で静かに眠りについた。




資料です

赤がパール帝国側、青がグリニア王国側で薄い色は直接戦争には参加していないが、支援などを行った国です。黄色がホルス共和国で黒いのが侵攻された国々、白はあまり関係のない国です。

2枚目は関しては色は関係ありません


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

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