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小さき魔女と失われた記憶  作者: 沼に堕ちた円周率
ハーダル村編
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第四話『騎士王ノストラル・オルスタル』


 ハミルとベントはノストラルについて語り始める。


「ノストラルは封闇暦972年、一人で神級上魔物ココタタを討伐した」

「そしてノストラルはオルスタル流を極め、それでいて龍神流の表を極級下、龍神流の裏と天神流の表を極級中、天神流の裏を極級上、そして鬼神流の裏を神級下まで極めおった」


 ベントがそういうが何を言ってるのか分からない。知らない単語ばっかりだ。〜流というのは流派についてなのはかろうじて分かるものの〜級というのは初めて聞く。


「極級とか神級とかってなんですか?」

「階級だな。強さの指標みたいなものだ」


 ハミルに簡単にまとめられてしまった。シーナ的には階級については少し知りたかったのだが今度調べようと心に置く。


「そんであいつはわしらに一から龍神流、天神流、鬼神流をたたきこんだんじゃ」

「仲間の流派を先に自分が極め自分が教える。そして鍛えられたわしら第一騎士部隊は最強の騎士部隊になったのじゃ」

「爺様すごいんですね」


 話の内容はまったく分からなかったがノストラルがすごいことはシーナに伝わった。自分の流派でない流派も高い階級まで極める。まさに剣の天才。それがノストラルなのだ。


「あれは誰も真似できん。できるとして【一等星】か【悪剣】くらいじゃろうな。他国の英雄に関しては分からん」

「悪剣はすでに龍神流の表裏、鬼神流の表裏、海王流の表裏を極級上にしていたと聞いとるぞ?」

「もう死んでおるからな。ノストラルとどちらが強いか」

「ノストラルじゃな。龍神流と天神流を両方使えるのはこの世で一人じゃろう。ノストラルが勝つと見た」


 また二人の世界に入ってしまったベントとハミルに別れを告げシーラとシーナはまた歩き出した。


「母様、悪剣とか一等星とかってなんですか?」

「称号よ。何かを成し遂げた人とか大罪を犯した人につけられるの。お爺ちゃんも持っているわよ」

「え!本当ですか?!」

「えぇ【騎士王】って称号よ」


 シーナにとって自分の祖父がそんなすごい人とは驚きだった。ノストラルはココタタを討伐後、第一騎士部隊を最強の部隊にし、アーザルから英雄として称号を与えられた最強の騎士なのだ。


「魔法学院に入学したら自慢しよう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 一通り村を回ってきた後、シーナたちはノストラルの家に戻って来ていた。そのまま夕食を取ることになり、訓練をしていたヒューズとノストラルが帰ってくる。ヒューズはいつも以上に疲れてはいるがサナスとの訓練後のような嫌そうな顔ではない。ヒューズとノストラルは汗を流すため風呂に行き、シーナとシーラで夕食の準備をすることになった。


 シーラが料理を運ぶ中一際目を引くものがテーブルの中央に置かれる。


ーーきもちわるっ。


「母様…それ何ですか?」


 シーナは若干引き気味でテーブルの中央を指す。そこにはおぞましい魔物の頭が置かれていた。長い顎には鋭い歯。顔全体は鱗なようなもので覆われ、明らかに危険なオーラを醸しだしている。


「あぁこれ。ワグルテっていう魔物よ。お爺ちゃんがかってきたのよ」

「へ…へぇ。いくらしたんですか?」


 シーナは苦笑しながら心の中でノストラルに文句を言う。


「買ってきたんじゃなくて狩ってきたのよ。森にいるから」

「こんなのが森にいるんですか!」

「えぇ、上級の魔物だけどおとなしくて人里には滅多に出てこないわよ。安心しなさい」


 シーナはシーラの説明の「滅多に」の部分が少し気になりはしたが大丈夫だろうと自分に言い聞かせていると


「なんじゃワグルテの話か?」


 汗を流していたノストラルとヒューズが帰ってきた。ノストラルとヒューズはどちらも上半身裸で鍛え抜かれた筋肉が丸見えである。どちらも年齢に似合わない筋肉のつき方。特にノストラルは洗練された肉体美を持っていた。


「明日、僕と爺ちゃんでワグルテを狩りに行くんだけどシーナたちも来る?」

「行きません」


 シーナはヒューズの迷惑極まりない誘いに間を置かず返事を返す。あんなおっかない魔物と会いたくない。


「危険じゃないなら行ってみるのもありじゃない?」

「いやです」

「大丈夫じゃよ。何があってもわしが守ってやるでのぉ」


 「何があっても」なんて普通は説得力などないがノストラルが言うと妙に安心感がある。ベントとハミルから話を聞いたからか、もし恐ろしいことがあってもノストラルがなんとかしてくれる気がした。


「それじゃあ」

「決まりね。明日はみんなで森にいきましょう」

「僕と爺ちゃんがいるから大丈夫だよ」


 ということでシーナたちは明日ハーダル村を囲っている森へ出かけることになった。そしてこれがシーナの命を脅かす出来事になることをまだ誰も知らない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〈等級について〉


 剣の流派は技の洗練さ、魔物、魔道具などは強さ、魔術師は技術力を基準にして等級が定められている。

 それは上から順に


 禁忌級 上 中 下

 神級  上 中 下

 極級  上 中 下

 超級  上 中 下

 上級  上 中 下

 中級

 下級



 の十七等級に分けられる。その中、公認で禁忌級に位置付けられている魔物は現在二十体存在。また、魔道具も複数の禁忌級が存在するが、魔術師、剣の流派に関しては公認で禁忌級に位置付けられているものはいない。


〈等級を認可する機関について〉


 魔術師→魔術協会、魔法学院、メルサリア教教皇 (魔法学院は上級上まで)


 剣の流派→剣術協会、騎士学校、剣術極級以上の者、天族族長、龍族族長、鬼族族長、メルサリア教教皇


 魔道具、魔物→魔物・魔獣対策協会、各国国王、メルサリア教教皇


ちなみにオルスタル流はオルスタル家独自の剣術なので階級はありません。あるとしたらノストラルは神級上、サナスは極級上、ヒューズは上級中くらいの腕があります。

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