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小さき魔女と失われた記憶  作者: 沼に堕ちた円周率
始まり
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『プロローグ』

2022年4月30日プロローグを少し変更して投稿しました。

 『プロローグ』


 一人の女が走っていた。


 彼女は後悔を残しながら千切れてしまった左耳と右腕を再生する。なんとか体制を立て直し、反撃をしようとするが敵の姿が見当たらない。


 ーーとにかくここから離れなくては。


 また何が起こったのか分からず倒れる。足がなかった。辺りを見渡すと丸く肉の塊のような怪物がそこにいた。彼女の周りを跳ね回る怪物には目も鼻もない。あるのは血に濡れた歯と大きな口。彼女はその怪物に向かって魔法で攻撃する。その魔法は命中し肉が焼けたような匂いがした。


 そんな時、腹の真ん中辺りを何者かから貫かれる。彼女は自分の腹部を見ると血に染まった腕が貫通している。激痛に耐えながら、その腕を切り落とす。


「いったいおまえは何者だ?」


 一人の男がそう口にしながら自分の手に回復魔法をかけると一瞬のうちに腕が生えた。二人の間に緊迫した空気が流れる。


「それはこっちのセリフです。やはりあなたのことは知っています。だけどなぜ……。なぜあなたが誰か分からない……。あなたは誰ですか?」


 彼女は引き攣った顔でその男に尋ねた。それと同時に男からの攻撃に備える。


「俺のことを知っている?どういうことだ?」


 男の顔を確認する。だがやはり認識ができなかった。


 ーー認識阻害魔法の類か?いや、これは……?


「才ですね。相当強い才だ」

「……だからどうした?」

「そうですね。そんなことどうでもいい」


 女の周囲から黒い霧が現れ、それに触れたものはすべて塵となって消えていく。一瞬のことだった。さっきまで森だった場所は荒地へと変わる。


「なんなんだおまえは……?」

「やっぱりこれでは死なないんですね」


 男と女の間にまた緊迫した空気が流れる。


「ーーー」

「誰の名だ?」

「あなたの……。いえ、なんでもないです。でも慣れると認識できるようになるんですね」

「驚いた。初めて会ったというのにもう俺のことがはっきり見えているのか?こんなの初めてだ。やはりおまえは危険だな」


 そう男が言った時、女はもう一度大魔法をぶつける。男は吹き飛び、血を流す。


「やはりこの時代ならあなたに勝てます」


 男は不思議そうな顔をし、一気に距離を詰め、女の手に触れた。


「おまえが何者かは知らないが決着はついた」


 ーーしまった。まさか触れるだけで……。


 女の意識は消えていき、何かから侵食される感覚を覚える。だが抵抗することはできなかった。


 ーーダメだ……。みんな……ごめんなさい……。


 頭に自分の知らない意識が流れ込んでいる。自分では抑えられない破壊衝動。もうダメだと女は確信する。


「意識を保て!」


 背後からもう一人の男が走ってくる。


「ごめんなさい……」


 女はやってきた男にそう告げて、自分の意識が消えていくのを感じていた。


「シーナ……」


 やってきた男は膝から崩れ落ち、女の黒い霧の魔法で塵となった。



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