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交渉




ラカン連合国の交渉人は、宰相の部下から1人が選ばれた。


96式装輪装甲車1台と軽装甲機動車1台で、俺と交渉人と俺の兵で連絡を兼ね出発。

バラン帝国のアビラン都市への道は、結構な悪路であったが1日でたどり着いた。

荷馬車なら5日も掛かる距離であった。


道行く途中にある砦での通行交渉が無ければ半日で行けた。


アビラン都市の門で、拡声器を使って叫んだ。

オーランド王国の使者だと名乗って、バラン兵の見守る中を門を96式装輪装甲車でくぐる。


「あれは、オーランド王国の神の乗り物でないか?」と道の端で民衆が囁いている。

それに往々して兵の顔が強張って96式装輪装甲車を見ていた。


城の広間で交渉人が、バラン帝国中から集まった貴族や将軍の前で堂々と国王の言葉を述べた。

そして、ラカン連合国と交渉をしてはと持ち掛けた。

皇太子は、話しの合間に俺の顔を見るのは気のせいか、視線を強く感じてしまう。


ラカン連合国との交渉問題は、バラン帝国の反対意見が多かった。

しかし、交渉決裂した場合にオーランド王国も参戦する意思があると伝えると、一気に意見が交渉するべしに傾き交渉する事になった。


ラカン連合国も施すべき手段・方法がなくて困っていた。

探りを入れる感じで、ラカン連合国は素直に交渉に応じたのだ。

オーランド王国からは、あの交渉人が隠しカメラと盗聴器を服にばれないよう隠した。


ラカン連合国が設置した砦の前で、テントが設置、そこで交渉が行なわれた。

ラカン連合国から3名とバラン帝国2人とオーランド王国1人で交渉が始まった。


「まずは、皇帝と皇族の安否が知りたい」


「皇帝ですか?・・・いずれ知れる事なので言いましょう。城の崩壊で下敷きになって皇族もろとも死にました。これは事故ですな」


「なんだと、皇帝が居ると知って攻撃したのではないのか?」


「そんな事はない。皇帝や皇族が居れば何かと使えますからな?」


「このげ・・・ど・・・う」


「何か言いましたかな?」


俺は96式装輪装甲車内でモニターで見ていた。

オーランド王国の一室でも同じように見ていた。

そのオーランドの様子も、もう1台のモニターでも見ていた。

宰相と国王はこそこそと話し合い、交渉人に向かってバラン帝国とオーランド王国に、全面戦争が望みかと聞くように命令した。


「ラカン連合国はバラン帝国とオーランド王国に、全面戦争がお望みですか?」


「国土を今の状態で譲渡するなら、戦争をやめてもいいと代表は言っています」


バンッとテーブルを叩き、恐い顔をするバラン帝国の将軍が立ち上がった。

そしてテントから立ち去った。追うようにもう1人が席を立ち去った。


「オーランド王国の顔を立てて、本国へ帰って貰えませんか?」


「ただで帰れと言うのですか?」


「そちらの金額で10億トルクを支払いますよ」


「奮発したようですが、桁が1つ違いますよ。100億トルク」


「100億トルクですと、国家予算の10年分ですよ。飲める訳がない」


「ならば結構。我々はあなたの国、オーランド王国を最後まで捻り潰すまでです」


不適な笑いを残して、3人は砦の方へ歩いて去っていった。


オーランド王国の一室では、数名の貴族が激怒して叫んでいた。

宰相は、そんな貴族をなだめるのに躍起やっきになっていた。

国王と王子が話し込んで、王子が皆を大声でなだめた。


「国王と私の意見は一致した、この戦争に参加してラカン連合国を潰す」


バラン帝国には、交渉人から今回の決定が伝えられて、広間の貴族と将軍は喜んでいる。

俺は一室に電信機の設置を、部下に命令して見守っていた。

いよいよ連合国同士の戦争になった。

戦争回避できればと、ラカン連合国が今回の戦争で出費した金額を、ロバート宰相と他の大臣と計算した金額だった。

あの金の大半が我が領土から捻出される予定の金額だったが、ラカン連合国はそれでも足らないらしい。

戦争の勝利が冷静な判断を鈍らしたと俺は思っている。


どうやら設置が完了したみたいだ。

電信機に向かって、我が海軍に命令を下した。


オーランド王国からバラン帝国にかけて、海を24時間監視体制をしろ。

ラカン連合国の船は見つけ次第、撃沈しろと命令を下した。


そして今回の事を、我が国が貿易している国々に伝える任務も任せた。

そして、戦争物資の貿易を止めさせて、その物資を色を付けて買う事を約束させる任務も与えた。

さあ、いよいよ戦争だ。




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