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カカオの実




今、トニー領都ではチョコレートブームで賑わっていた。

婚前旅行でカカオの実を見つけたのが事の起こりであった。


カカオは1本の木に年間6000もの花を咲かすが、カカオの実になるのはわずか1~3%。

花粉を運ぶ昆虫、果実を食べて種子を運ぶ哺乳類、生育を助けてくれる菌などの、生物環境に支えられて初めて実を結ぶことができるのだ。

実を結んだカカオは半年もかけて熟成する。

カカオの実は大きく、大人の片手で握ってもはみだす大きさで、俺も始め見た時は驚いた。

異世界の本の写真では、小さい物だと思っていたのに、何度も本と見比べた。


堅く厚い皮を割ると、チョコレートとは似てない白い果肉の中に20〜60個の種子がぎっしりと詰まっている。

その種子こそがチョコレートの原料となるカカオ豆の正体。



現地ではカカオ豆を発酵、乾燥、焙炒したものを磨砕してペースト状にして、水や唐辛子などを加えて混ぜた物を飲んでいた。

なので辛くて苦い味がする飲み物であった。

そして、その苦さで俺はチョコレートの原料だと直感した。


俺は商人にカカオ豆を購入して、トニー領都へ運ぶよう頼んだ。

それが、婚前旅行から帰って1ヶ月後にようやく届いた。

工場は建設済みで、チョコレートの生産ラインの機械設備も異世界で購入済み。


機械設備の稼動方法のマニュアルも訳して作成済み。

そのマニュアル本を片手に、作業者に1週間もみっちりと機械設備を教え込んだ。

現物のカカオ豆が無いので、ああだこうだと言いながらやっていた。


それがようやく届いたので、作業者や工場長も喜んだ。

始めてのライン始動は、トラブル続きだった。

あっちを調整すると、違う所に不具合が出てくる。


そのせいで、カカオ豆を2キロ程、焙煎ラインで焦がす羽目になった。

そして上手く製造ラインが回るようになったのは、2日後。


出来上がったカカオマスにココアバターと砂糖と乳製品を加えて、丁寧に混ぜ合わせて型に入れて待った。

試食タイム時に、皆、緊張して一口食べた。


「あ~あ美味しい、これがチョコレートの味なの」


「これは売れますね」


「こんなに黒いのに、おいしいわ」


女性スタッフは我先に食べ尽くしてしまった。

それを見ていて、彼女らの分を別に取っておいて良かった。



工場では板チョコの製造ラインが動き出し、市場への販売を開始をはじめた。

それ以外に小売店の菓子店にも、原料を販売されるようになった。


そのチョコレートブームは、トニー領都から領土に広がり、国全体に広がった。

今では、他国からわざわざ買いにくる商人があとを絶たない。


そして、販売された日がチョコレートの日になって、女性が男性にチョコレートを渡し、愛の告白の日になった。




今、俺は軍の新兵の実地訓練を見学している。


「何やっている。ゴブリン相手に腰が引けているぞ。もっと前にでろ」


今叫んでいたのは、オーク相手に腰を抜かしていたアルバートだ。

人を指導する立場になったのか?


新兵100人で相手のゴブリン50ぐらいの数だから、2対1で襲えば楽勝の筈。


新兵1人が石につまずき転んでいる。ゴブリンはチャンスだと棍棒を大きく振り被った。

俺はライフルで棍棒の手元近くを撃ち抜いた。

棍棒は折れて、ゴブリンの頭に落下。

ゴブリンはふらふらと倒れ込んだ。


ゴブリンの巣穴から、「ガオーウ」と鳴き声が響いて新兵の動きが止まった。


これはまずい、ユニークのゴブリンの威嚇いかくの遠吠えだ。

新兵が畏縮いしゅくして、動けないでいる。


黒い影が巣穴から飛び出し、隣のアルバートまで3メートルまで近づいている。

アルバートは剣を抜こうともたつく。


俺はゆっくりと引き金を引くと、でかいゴブリンの眉間に穴が開き、糸が切れるようにでかいゴブリンは倒れた。


「アルバートしっかりしろよ」


「すいませんでした閣下!」


ユニークが出てくる前にゴブリンを全員討伐出来て良かった。

出来てなかったら死者が出たかも知れない。


「アルバート、爆弾の用意だ」


「A班、巣穴を充分に注意しながら確認だ。B班は爆弾の準備をしろ」


しばらくするとA班が戻ってきた。


「巣穴には、鹿の骨しかありません」


「B班、爆弾設置後、速やかに爆破しろ」


「B班、了解」


タタタタとB班は巣穴へ入って行、やっと出てきた。

メンバーの数を数えだし「人数確認ヨシ」


「周囲に人はいません」


「爆破するぞ」


スイッチが入った瞬間に、爆発して土煙が舞い穴は塞がっている。


「隊長、爆破成功しました」




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