トロス・バーグン
両替商でどれくらい待っただどうか、腕時計を見ると4時間も費やしてまだ決められないのか?
やはり行かなくて正解。
きずかって白湯を持って来てくれた店主に、お礼を述べているとアッキーが帰って来た。
「大きな頑丈な剣が手に入ったよ」
そう言って背中に背負っていた大剣を一気に抜くと、幅広な両刃の剣身は輝く研磨仕上げで顔も綺麗に映している。
そしてかれこれ、1時間も剣の自慢話しにふけっていた。
すると表が騒がしい、そしてその原因が店に入ってきた。
「正に赤毛の女だ、どうか俺の嫁になってくれ」
「あんた誰だ。唐突にそんなことを言って、わたしは気にいらないね」
「まあまあ落ち着いて、このドワーフさんも事情があるのだろう」
「申し訳ない。わしの名はトロス・バーグンで、ここの純潔種なんだ。見てくれわしの毛も薄いが赤毛だ」
成る程、薄いが赤毛か?色々と問題がありそうだ。
「長らく赤毛の人間と結婚していないせいか、純潔種が純潔種たる能力が薄れだしている」
「人間と結婚して純潔種なのか?」
「あんたは純潔種を聞き違えている。純潔種は赤毛の人間の女と結婚して出来た子が、高温でも耐える能力持つ者のことを言う」
「この大陸には赤毛は居ないのか?」
「長い旅に出てみたが、居なかった」
「わたしは、ダメだよ。この人と結婚するんだ」
「え!そうなのか?最後の望みが・・・」
「まあまあ、今度赤毛の女の子に聞いておくよ」
「え!この女子以外にも赤毛の女子を知っているのか?」
「サルトス国には居るよな、アッキー」
「ああ居るな、教会のミリーも赤毛だったな」
「紹介してくれ、わしはあんたに付いてゆく」
「え!付いて来るの・・・」
熱心に頼み込むトロスに、俺とアッキーは根負けしてしまい連れていくことになった。
そしてそんな中に3人が戻って来た。
ララは槍を買っていた。なんでも槍先にミスリルの金属が使われていて。
そのミスリルに魔法を流して魔法を発動すると、威力が増すらしい。
シランはナイフ2本を買い、それを使って舞い踊り周りの皆を驚かせていた。
舞い踊る姿にスキがなく、全範囲に攻撃が瞬時に突き刺され斬り付けられるだろう。
ユナは片手で軽量化されて扱えるブロードソードを2本を買っていた。
強化を使って攻撃と防御にも使えると自慢している。
そして、トロス・バーグンを紹介すると、目を丸くして驚いていた。
店の店主にチップをはずみ、休憩室を使わして貰うことになった。
俺が取り出す菓子と紅茶花〇でティータイムしながら、トロス・バーグンの話しを多く聞くことになった。
なんでも地下50階は暑さを通り越して熱いらしい。
どろどろに溶けた溶岩を、熱さに負けないで溶岩をすくい、魔法高炉の入れて長い詠唱を唱えるらしい。
すると溶けた金属が識別されて別々の穴から出てくる。
そのインゴットを20階に運び、色々な物に変わる。メインは武器だが鍋なども作っている。
その熱さに耐えるには、赤毛の人間の女と出来た子が突然変異として生まれ。
その子は、熱に特化した耐性を持つドワーフになるらしい。
突然、アッキーが見てみたいと言い出した。
「アッキーそれは無理だ、ドワーフの秘密が沢山ある所には入れない」
「そうよアッキー、我がままは許しません」
「いえいえ、ワシが長老に掛け合って何とかしてみせる。しかしあそこは熱くて大変な所だから人間ではダメなんだ」
「それなら考えがあるから大丈夫だ」
「何処で泊まる予定だ」
「地上の溶岩の宿に宿泊予約を入れている」
「ああ、あそこなら知っている。明日の朝には良い返事が出来るだろう」
「よろしく頼むよ」
トロス・バーグンは、重そうな体重ですばやく店を出て行った。
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