ユグドラシル
大きな扉に彼女らは圧倒されていた。
高さ6メートル・幅は4メートルで表面が鏡のように、自身の姿をハッキリと映し出されていた。
そして透明度が凄く、手をさし入れると体ごと入るのではと錯覚してしまう。
シランは自身の姿をジーッと見詰めている。
アッキーは、様々なポーズをとってベストショットを決めている。
ララはカメラでそんな風景を撮っていた。
ユナは変な顔をして笑っている。
【スキャンピー】を照射してもモヤが掛かったように全然見えない。
俺は動画画面で確認した所の前に立ち止まり、魔法陣を見ていた。
【知識保管庫】の大きな扉の横に魔法陣が5つの文字がハッキリと刻まれている。
俺は1つ目の文字を触れる。
1【誰だ】に対して自身の名を答えて魔力を流す
2【何を】に対して知識と答えて魔力を流す
3【なぜだ】に対して探求心と答えて魔力を流す
4【どうやって】に対して知りたいと答えて魔力を流す
5【自我をさらけだせ】に対して深層心理に奥深く潜る
俺自身の中の魔力が一気に開放された気分になった。
すると重厚な扉が左右にゆっくりと開きだした。
「オーー、動いている」
大きな通路へ歩きだすと、通路の壁や天井と床が俺らを含めて5メートル範囲で淡く光っている。
ランドは驚きLEDライトを落とす程であった。
「ランドは、この中で一番長生きしているのに気が小さ過ぎない」
「長い生きと、生きた心地がしないと、どんな意味合いがあると言うのですか?」
「ランドは、言うようになったわね」
2人の会話以外、靴音しかしない通路内は、靴音が反響して複数が近づく風に感じてしまう。
この通路は何か中心を基点に緩やかなカーブ状な作りで、円形状な通路になっている。
遠くまでLEDライトを照らすことで、ようやくカーブしていることが分かる。
俺はこの淡い光りが俺達を追って付いてくるのに興味を持った。
俺達をスキャンして対象物の情報を得ていると思う。
【スキャンピー】を作る際に得た知識が、そう感じさせるのかも知れない。
この光る通路が人を早く移動させないように誘導している可能性もある。
下手な行動で相手に不安感を与えるのも不味い、俺は注意しながら歩く。
そして目的地なのか、突き当たりのフロアには1枚の大鏡が有るだけ。
皆、鏡を触ったり覗いたりしていたが、何も変化が現れない。
鏡に興味がなくなったのか、壁に描かれた壁画を入念に調べだした。
その壁画は、人の人生を抽象的にそして比喩的表現で表していた。
ある物事を、類似または関係する他の物事を借りての表現であった。
怒りに対して殴り合いで表現をしている為に、深く観察する必要があった。
ララはカメラでそんな壁画を入念に撮っていた。
「そのドラゴンの絵って、あのドラゴンに似ていない、あの並んだ牙が同じよ」
「そうね牙の形は同じね」
「こっちのオークも印象的ね」
「この蛇の死骸は何を表現したいのかな」
「これを見て、小さな子が檻に閉じ込められて、可愛そうだわ」
「みてみて、この子、ウサギに追い駆けられている。わたしがいればすぐに助けたのに」
俺はそれらの会話を聞きながら、大鏡の前に立った。
すると体が急に浮かび上がり、大鏡の中へ入ってしまう。
そこは、青い海の中のように、そして周りには小さくキラキラ光る物が無数に漂っている。
そして1つが体内の入り、体を光らせる。
又も1つの光が体内に入る。次も入り輝いている。
そして体内に入る数が増して、全ての光を体内に入れると暗闇になった。
どれぐらい経ったのだろうか?5年10年。長く暗闇に居たせいなのか上下の感覚もなくなり迷っていた。このままだと狂い死にするかも知れない。
そんな時に、体内に1つの光が芽生え、辺りを照らしだした。
俺は大鏡の前で立ち尽くしていた。
「わたしなら、ウサギの耳をガシッと掴んで夕食の材料にする。そして美味しいスープにして食べちゃう」
周りの人間は俺が消えたことも気付いていない。
そして、あの空間が嘘だったと言われると、信じたかも知れない。
一瞬の出来事だったのか?しかし分かった事が1つあった。
古代文明の知識を手に入れた事実。
「ランド、この遺跡を買取ってくれ。いくら掛かってもいい全額払う。お前の腕の見せ所だ」
「その依頼を達成すれば、LEDライトの件をお願い出来ますか?」
「ああ、独占販売契約のことか?達成したら契約をしよう」
「ありがとうございます。必ず買取ってみせます」
彼女らは充分に観光を楽しんだみたいだ。
あの大きな扉も俺らが出ると、自動的にゆっくりと閉まった。
大型ヘリで飛び立ったあとに、外壁の様々な文字を一周して撮り続けて記録に残す。
あの文字は建物を厳重に防御する、結界を張る大掛かりな魔法陣であった。
しかし、あの巨木が内から破った為に、結界が壊れ簡単に侵入できた。
その後ランドをデンバ港に帰し、新たな目的地に向かって飛び立った。
そして、古代文明の知識にあの巨木が世界樹であると記憶に残っていた。
そして、まだまだ小さな果実だが【世界樹の果実】を手に入れた。
その数は8つで、1つ食べると魔力量が大量に増えて、万病に効く【生命の果実】とも言われる。
そしてこの果実、100年経っても腐らない果実であった。
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