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大きな扉




ここリンゼル大陸のリンデンバング共和国はサルトス国と貿易量がもっと多い国。

そして貿易量の多いデンバ港に入港。

オーランド王国の名を使わず、サルトス国で貿易を始めたのも色々な制約を失くす為に行なっている。

オーランド王国の名を使えば、何かとオーランド王国と連絡して交渉をする必要が多くなる。

商売の基本は瞬時に判断して瞬時に行動。これが出来なければ時流に遅れる。


サルトル商館に立ち寄り、追尾爆雷の設定方法を細かく絵入りで説明したノートを渡す。

サルトル商館には連絡した商人が低姿勢で出迎えていた。


「トニーさま、至急に行きたいと伺ってます。わたしの馬車が用意してます。早速、遺跡に行きますか?」


「いや、ここデンバ港を出て人目のない所へ行ってくれ」


「人目のない所ですか?」


「心配するな、お前を殺したりしない」


「本当ですね、本当に間違いないですね」


よっぽど貴族に酷い仕打ちにあったのだろう。金に困って商人を騙す貴族は居る。

俺がそんな貴族に見えるのか?そうか、商人にすれば長年の信用も裏切られる世界かも。


「トニーさま、ここでよろしいですか?」


「この馬車はなんなの、凄く上下に揺れて腰が痛くなったわ」


「奥方様、申し訳ありません」


「まあ、奥方なんて」


「アッキーは、何を喜んでいるの」


「まあまあ話しはそこまででいいだろう。ランド以外デンバ港へ返してくれ」


「やっぱり殺すのですね」


「殺さないと言っただろう。これが報酬だ」


金貨が入った小袋を手渡して、中身を見た途端に愛想よくするのは商人のさがか。

馬車2台が遠くまで行ったことを確認して、大型ヘリを取り出した。

本当は大型ドローンを取り出したいが、大型ドローンはこの世界の物なのでボックスには入らない。


「何ですか?・・・これは」


俺らが乗り込んで、アッキーはランドを引張って行き助手席に無理やり押し込んだ。


「ランド、絶対にこのスイッチ類に触ることは許さない。触ると指1本へし折るから」


「絶対に触りません」


「じゃー、飛び立つよ」


高度が上がるとランドがギャーギャーうるさくて仕方ない。

手書きの地図を見ながら、迷う前の道の所までスピードを上げて行く。


「ここからどっちに飛ぶの」


「もう少し下げてくれませんか?景色が違うので下にいけば分かります」


「そうなの、はやく言ってよ」


「ニーナの短気がアッキーにうつった」


「何をバカなことを言わないで、あとで痛い目に合わすわよララ」


「ここの切れ目の道です」


「この道で間違いないのね」


「はい、間違いありません」


木にぶつからない高度で、木に隠れる道を探しながら進むこと1時間で見えてきた。

2階建てのビルに見えるが、外壁が様々な文字を飾られるように書かれている。

そして建物の一部を破壊して育った巨木が印象的であった。

建物中央に長いポールが3メートルも伸びているが、途中が破断しているのでもっと伸びていた可能性がある。

建物上は平坦へいたんで下りられそうだが、強度があるか問題だ。


今回の遺跡探索用に持って来た魔道具【スキャンピー】。


「ララ、この【スキャンピー】を建物上に照射してくれ」


「分かったわ」


タブレットに写し出される画像は、透視されて柱の数や壁が見える。

巨木付近以外は充分に強度を保っている。


「巨木から離れた所なら大丈夫だ」


「了解、下りるわよ」


建物上に降り立つと、清清しい風が吹いている。


「入口は何処だ」


「入口と言うか大きな亀裂なんです。あの巨木付近に亀裂だ入ってます」


足元を注意しながら巨木に近づき、外壁の地上から5メートル上に大きな亀裂が入っている。

ヘリから持って来たヘリ用はしごをフックで固定して、LEDライトを光らせて下りて行く。

周りを照らして危険がないか調べる。


「皆!下りて来ても大丈夫だ。ランドを先に下ろせ」


「何故、わたしなんですか?」


「あんたが逃げると目的地に着くのが遅れるからよ」


「わたしは逃げませんよ。領主さまにそんなことはしません。神に誓って」


「じゃーはよく下りて」


シブシブ下りるランド。


全員が下りてきたので、ランドに予備のLEDライトを渡すと真剣にLEDライトを見ている。


「これって取引きしてますか?」


「取引きする訳ないでしょ」


「お願いです。独占販売契約をして下さい」


「あんたもりないね」


「お願いです」


そして願うように俺を見詰めてくる。

乾電池が沢山売れるかな、そんなことを考えてしまう。


「今回の働きを見て考えよう」


「本当ですか?一生懸命働きます」


結構複雑な迷路で小さな扉も有るが、やはり開かない。

【スキャンピー】を照射しても肝心な所はモヤが掛かったように見えない。

使っている材質が特別なような気がする。


そして一番奥の大きな扉に辿り着いた。

そして古代文字で【知識保管庫】と扉の上に書かれていた。




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