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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ヤバい令嬢 (王道に則って)

作者: ユト

「貴様との婚約を破棄する!」

それを聞いた時、私は喜んだ。

喜んで喜んで喜んで、まずは近くにあったワイングラスを割った。

パシャっという音とパリーンっと軽い音が鳴るのは同時だった。

そして、その割れたワインガラスを持って、王太子の後ろに隠れほくそ笑んでいる女の首を切った。

赤ワインよりも綺麗な赤が飛び散った。

悲鳴が上がる。絢爛で美しい音楽が鳴り響いていた場所は、騒々しく悍ましい場所と早変わり。

人々は扉の前でぎゅうぎゅうになって喚いてる。身分の高いものも、そうでないものも。みーんなみんな我先にと逃げようとする。

お陰で、兵士たちはこっちに来れない。なんて本末転倒。あー、楽しい。


青褪めた王太子の側にいる次期宰相候補も、次期軍務大臣候補も、次期書記候補も。さっきまで無い事無い事をつらつらと読み上げて、どっかの張りぼての様に首を上下に動かして、私を意気揚々と喜色満面で断罪していたのに、今は一同揃って蝋人形。


仕方ないから、次期宰相の顔に割れたグラスをプレゼント。羨ましそうに見てたから、次期軍務大臣候補の腰にそこら辺に転がるナイフを力一杯ぐっさりと。おまけで、最後の次期書記候補の腕には、お揃いのフォークをあげましょう。


今まで私はお淑やかで静かな物言わぬビスク・ドールだったもんね。人形が自分の意思で動いたのがそんなに怖いのかな?

王太子は恐怖に満ちた顔をしてるけど、安心してね。貴方は殺さないから。

だって、貴方は観客だもの。


そうして私は自分の首に割れたグラスを突き刺して、最高の淑女の笑みを見せる。


どうぞ最後まで観ていってね。



すっきりしたなー。地獄落ちかなー。まあ、仕方ないよね。でも、地獄って残虐性の塊みたいなイメージがあるから意外と相性良いのかも。

そんな事をつらつら考えながら、真っ暗な中をジェットコースターばりの速さで落下してたら、ポーンと放り出された。

あら、イケメン。


「汝は反省している素振りが全く見えぬ。もう一度やり直してこい。」


蔑む様な鬱陶しそうな眼で見られて、思ったよりも人間味があるのね!なんて感心してたのに、気が付いたらちょっと見覚えるのある公爵家のベットの中にいるんですけど?え、どう言う事なの?

やり直しって、反省出来るようになれと?

いやいや、反省はしてますよ。あの時、自分まで死ななくても良かったよねーとか、もっと上手いやり方があったんじゃないかなーとか。ちゃんと聞いて欲しかったんですけど?

と言うか、私の喋れる言葉がオンギャーってどう言う事なの?嘘でしょ?


そんなこんなで、私の全く望んでない二度目の人生が始まった。


(始まらない)

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― 新着の感想 ―
[一言] これは…無限ループですよね?(笑)
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