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01:入学決定!


『あなたがティティック王立学園に入学することを許可します』


「やったー!!!」


 ヴェロニカは、皺だらけの手紙を胸に抱いて飛び跳ねた。合格が決まったのは知っていたが、正式な書類がようやく届いたのだ。


 ここは、王都ティルオンから遠く離れた田舎町、プラルトリ。王都からの手紙は1月かかって届く。手紙がボロボロになるのは仕方のないことだろう。


「あ!こ!が!れ!の王都!荷物をまとめてすぐに出発しなきゃ!」


 ヴェロニカは、16歳の少女である。両親はいないが、優しい祖母に育てられた。

しかし、1年前に祖母は死んでしまい、家族はペットのスライム、モモちゃんだけであった。


 孤独になったヴェロニカは、プラルトリから出ることを決めた。そして、魔法薬師になるという夢を叶えることにしたのだ。


 貧しい貴族でもない少女が学校に通うことができたのは、支援金のおかげだ。ヴェロニカには、勉強と魔法の才能があった。祖母が遺してくれたお金で教本を買い、プラルトリの領主の支援金を得る試験で見事1位を取ったのだ。


 ティティックの特待生となることを条件に、高等部卒業までの3年間、授業料を出してくれる。もちろん、生活費は稼がなければならないが、王都に行けば腐るほど仕事はある。学業と両立して働いても、問題ないと考えている。


「モモちゃーん!!モモちゃんも連れて行くからね!」


 カバンに、少し綺麗なワンピース1枚と動きやすい普段着を数枚入れながら、ヴェロニカはスライムに話しかけた。


「きゅるん」


「ぐへへ。かわいいなぁ」


 ヴェロニカには堪らん、と言う表情を浮かべて頬擦りした。スライムのモモちゃんは、ヴェロニカが産まれた時から一緒にいた、らしい。真っ黒なボディと柔らかな触り心地、まん丸とした赤い瞳、世界一可愛いスライムである。


「きゅるるる」


「へへ、ありがとう……!」


 言葉は通じていない。しかし、ヴェロニカはいつも

モモちゃんと話をしている。出発する準備を再開しようと、手に持っていた資料を見る。


「……必要なものは、教本とー、制服……あ、これはメリアさまがお祝いでくれるって言ってたから大丈夫だね。……魔物?」


 そこには、学校に必要なものがズラッと書かれており、1番下には魔物※と書かれていた。


「なになに?……この学園では魔物と共に学びます。あなたの在学中共に過ごすパートナーです。すでにパートナーがいる生徒は、一緒に連れてきてください。まだいない生徒は、学校側で用意します……ふうん」


 ヴェロニカは、ティティック王立学園に入ることを目指していたが、実際はどんなところか知らなかった。遠く離れた学園であるので見学も行けない、そもそも勉強に必死になっていたので、魔法薬師になる1番の近道がティティックと聞いたその日から、そこをひたすら目指したのだ。


 魔物とともに学ぶなんて初めて知った。


「きゅきゅ、ぷるん?」


「この私がいるでしょ…って?そうだよねぇ。モモちゃんはスライム!ということは魔物!私のパートナーは、モモちゃんにきーめた!」


 だから、ヴェロニカはパートナーにスライムを選んだ。


 ティティックに入る者は、貴族ならば、大金を使い出来うる限りの強い魔物を手に入れ、無理な生徒は入学後の召喚魔法に命を賭ける。


 パートナーはこの学園で過ごす上で、最も大切な要素であることは全く理解していなかった。


 金と才能さえあれば、身分を問わず入学できるこの学園では、表面上では皆平等を掲げている。


 しかし、実際は魔物と身分によって序列が決められていた。


 平民で貧しいヴェロニカ、そして、パートナーとして選んだスライムはS、A、B、Cの魔物のランクがあるなかで、Cの最底辺であった。


 仕方ない。スライムは、幼児でも倒せるような弱い魔物なのだ。


「よし!準備完了!寮の入寮日も迫ってるし早めに家を出て乗合馬車に乗らなきゃ。モモちゃん、明日、領主様とメリアさまのとこに行ってお金をもらいに行こうね」


「きゅるん」


 ヴェロニカとスライムは、これから待ち受ける困難なんて知らないまま、眠りについた。



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