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01

3人称視点の物語を書くテスト

***


世界は神の箱庭である。

神は世界を幸福にするため人々にスキルという名の祝福を与えた。


***




 山の麓にある小さな農村。そこにネリネという少女がいた。生まれたときから今まで両親は薄気味悪いものを見る目でネリネを見ていた。


 この世界には魔法という不思議な力がある。ネリネにも普通の子供と変わらない程度の魔法の力があった。ちょっと水を出したり、風を起こしたりと言った程度の物であるがまぎれもなく魔法と言うべき力である。

 だが、ネリネは他の子と違うところがあった。ネリネの髪は白かった。それは老婆のようで気味が悪いと両親から卑下され、両親とも茶髪であったため父が母の不貞を疑ったこともあり家庭内がギスギスすることもあった。勿論、狭い村の中でそんなこともあろうはずも無く、また白髪はネリネ以外にいないので全くの勘違いであるのだが。

 特に古い言い伝えや風習等が強く残る閉鎖的な村でネリネは忌み子として扱われた。村人達もネリネに関わろうとはしなかった。

 それでも両親は部屋と食事を用意してくれていた。着る物は古着のかなり状態の悪いものだし、髪も伸び放題である。最も農村なのでそこまで余裕のあるものでは無いが、その中でも他より低い扱いであった。

 両親から愛されていない。他の子供達より扱いが悪い。と、なんとなくではあるが感じ取っていたネリネではあるがそれを口にすることは無かった。


 そうしてネリネが8歳の年、町の教会でスキルの恩恵を受けられることになった。


 スキルの恩恵。それはこの世界特有のものだ。3年に1度、教会のある都市や町では、周囲の村の8~10歳ぐらいの子供を集めてスキルの鑑定を行う。


 そのスキルによって、その子がどういったことに才能があるのか、今後の人生の歩み方が決まる。有力なスキル持ちの子は将来の職業が決まってしまったりもする。


 親は子の鑑定結果を基に子供を育て能力を伸ばしていく。スキルによって能力に大きな差が出るからだ。そのため多くのものはスキルに関連する職業に就いている。

 孤児や浮浪者などまともな情報網がなく鑑定を受けず(又は受けられず)にスキルが不明なままだと就業などに苦労し、その立場から抜け出せないという悪循環が起きる。


 ネリネは初めて自分の村を出た。道中両親と会話らしいものは無かったが、周囲には初めて見るものが沢山あり退屈はしなかった。

 スキル鑑定の出来る教会のある町までは徒歩で半日以上とそこそこの距離があるのだがちょうど村を訪れた行商人の馬車に乗せて貰い数時間で町に到着することが出来た。行商人の方もこういったことは慣れた者なのだろう、すぐにOKを出して乗せてくれた。相乗りであり一緒に鑑定に行くのであろう別の親子も乗っていたが特に会話などは無かった。


 辺境の町程度では人口密度も建物の大きさも都会には到底敵わないのであるが、そこで初めて町という物を見るのだがネリネにとっては初めての自分たちの村以外の人の住む集団であり、その人の多さと建物の密度に圧倒された。

 教会の位置は子供を見て目的を悟った門番が親切に教えてくれたため町に入ってから教会まで迷わずに行くことが出来た。

 そうして町の中心付近にある教会でスキル鑑定を受ける。教会という物にもネリネは今日初めて入るため興味が尽きなかった。教会内には既に同じようにスキル鑑定をして貰おうと来ている子供とその親が多数いた。

集まっている人数によっては翌日に回されたりもするが今回はそういったことは無さそうであった。翌日に回された場合ネリネや両親はこの町で一泊しなければならないのだが両親はそこまで考えていない。


「それではこの水晶に触れてください」


 そう言うのは教会の神父だ。教壇に立ち教会内に集まっている親子にそう声をかける。

神父の目の前の机には大きめの水晶玉がある。鑑定を行える能力を持った道具である【鑑定の水晶】だ。これは非常に貴重なもので通常は王都の王城にて管理されている。3年に1度しか鑑定の機会が無いのは、管理上の問題でもある。


 教会を訪れている子供達をシスター達が並ばせて、順に水晶に触れていく。

 それに対して水晶に表示された結果を神父が子供とその親に伝える。その結果に大体の親は相好を崩し子供と一緒に喜んでいた。たまに真剣な表情になっている者も居るが特に騒ぎも無く過ぎていった。


 ネリネの順番がやってくる。

連れてきた両親が両脇にいる。ネリネを疎んでいた両親であったがこういった事に連れてくる程度には親愛の情があったのだろうか。


「水晶に触れてください。怖がらなくても大丈夫ですよ。」


 神父が柔和な笑顔を浮かべネリネに語りかける。

 そうしてネリネが水晶に触れる。


「お嬢さんのスキルは……『指揮官(無機物限定)』です。」


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