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イミルデ・ルシアの夜  作者: Sarah Bun
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7. visconti. 閃狼傭兵団

確実に、迅速に要塞を落とす。

攻城請負人、閃狼傭兵団。

「騎士団直々に討伐依頼? またなんで?」


「それは、あまり考えない方がいいかもしれないわよ。 騎士の持ってくる依頼なんか碌でもないものばかりよ。」


我らが副団長ストレミはそう言って応接室の扉を開けた。


「失礼します。 閃狼傭兵団副団長のストレミです。 傭兵団のマネージメントを担当しています。

こちらは、団長のプラヴェトスです。 主に、戦闘を担当しています。 よろしくお願いします。」


「どうもどうも、貴方方の噂はかねがね伺っております。 確実に、迅速に仕事を終わらせる閃狼、と。 申し遅れました。私は騎士団で事務を担当しているエドワードと申します。 以後、お見知り置きを。」


エドワードはそう言って優雅に一礼すると再びソファーに座り、優雅に紅茶を飲み始めた。


「それで、早速ですがエドワードさん。 貴方の依頼についてですが……」


こうなると、戦うことしかできない俺に出る幕はない。


肩身の狭い思いをしながらストレミの横で黙って茶菓子を食べていた。


「……それではヴィスコンティに出てもらいましょう。 彼の突破力はきっと力になるはず。」


「……へ!? ……あ、はい。俺にお任せ下さい。 直ぐに終わらせて見せましょう。」


ぼーっとする暇はないらしい。

何かわからないが、とりあえず返事をした。

しかし、いつもこうだが大丈夫なのだろうか。

ストレミ曰く それでいいのよ! らしいが。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーー



「団長! 爆破準備完了しました!」


「よし…。 総員!突撃用意だ!」


俺ら閃狼傭兵団の特徴は、攻城に強いという事だ。

ストレミ曰く ニーズがあるのよ! らしいが俺はよくわからない。

うちの傭兵団の工作部隊がとにかく優秀で、俺達突撃組は派手なのに給金は工作部の方が少しだけ高い。

不平不満の声をあげようにも、工作部隊の仕事は高度すぎて文句が言えない。

なんでも石を砕くと魔素がれーき(?)状態になって近くの魔法に一気に流れ込んでなんとかかんとか、らしい。


まあ、俺たちにとってはちゃんと壁に大穴が空いてくれたらなんでもいいのだ。


「爆破ァァッ!!」


ドガァァァァアアアアアアアアッ!!



間抜けな穴だらけの壁が粉々に吹っ飛び、私たちを歓迎している。


「よぉぉぉぉぉおおおしぃ!! 俺に続けぇーーーーー!!」


「「「オオオオォォォ!!」」」


いつも私が魁を担当することになっている。

ストレミ曰く 士気が爆上がり! らしい。

まあ、実際後ろにいても腕が鈍るし、この傭兵団で最強の男を腐らせる訳には行かないからちょうどいいんだが。



「ひぃ! 閃狼だ!」


怯んだマヌケの首をたたき落とし、腰の抜けた攻撃を適当にいなして切り伏せ、どんどん突き進む。

こちらの被害はゼロ。 順調だ。

すると、中央の岩山の洞窟から少しいい装備をつけた奴らがでてきた。

精鋭だろうか。

と、思ったが、すごく酒臭くて鈍かったので他の野盗と同じくらいのスピードであっさり殺されていく。


あっという間に、拠点の中の敵は全滅してしまった。


「騎士団が持ってきた案件にしては随分と余裕ですね。」


否定はしないが、


「確かにそういう考えは大事だが、俺たち突撃組は最後の締めでもあるし同時に盾でもある。 戦闘中に余計な事は考えない方がいい。」


前衛は考えることが逆に命取りになったりする事が多々ある。

このことが中途半端に伝わったのか、突撃分隊長は


「確かに、ストレミさんに任せれば安心ですね!」


そういうことではないが、俺も人のことは言えないので黙っておいた。


「よし、後続部隊は全域を制圧して安全を確認しろ。 無抵抗の野盗は全員奴隷館送りだ。拘束しろ。 突撃部隊、岩山に進行する。 武装を確認しろ。 行くぞ。」


部下10数名を引き連れて岩山に侵入した。









「団長、既に死んでいます。」


「そうか、お前ら、考えるのはあとだ。これは好都合と考えて、首領を叩くぞ。」


既に、何人かの野盗が殺されている。


少し、いや、かなり妙だが、進むしかない。



「団長、突撃準備完了しました。」


「よし。 総員、爆発に気をつけろ。 突入準備だ。」


すっかりもぬけの殻になっていた、拠点を進んでいくと大きな扉を発見し、中から男の怒鳴り声が聞こえてくるので突撃準備をしている。


扉に閂をかけているようだが、閃狼の前では無意味だ。

扉に爆薬を貼り、爆発と同時に盾を持った兵を先頭に一気に突撃して敵を混乱させた状態で殺す。


これが、閃狼が攻城戦のプロと言われる所以だ。


「行くぞ! 3,2,1……突撃!!」


ドォガァッァァァァアアアア!!


扉を吹っ飛ばした瞬間ボウガンによる一斉射が来るが、全て盾によって無力化した。


「行くぞッ!」


いつも通り魁は俺だ。


ボウガンを片手に狼狽えるマヌケの顔に剣を突き刺し、切りかかってきたやつの手首と首を切り落とす。


所詮は野盗。 雑魚ばかりだ。


しかし、1人だけ別格がいた。


「どけどけ! 間抜けども! こいつは俺がやるぅ!」


怒鳴り声とともに、大斧を持った大男が切りかかってきた。


剣で受け止めるが、予想以上に強く咄嗟に流して距離を取った。


「あんたがこのアジトのボスか?」


「閃狼め……。ぶっ殺してくれるわ!」



大男が急発進して、即座に俺の頭を叩きわろうとしている。


が、どれだけ筋力を強化しても技が無ければ受け流して終わりである。


俺は二、三合 男の斧を滑るように流し、大男を挑発した。


「力自慢で戦いに勝てると思ってるのか!?」


「舐めんじゃねぇぞォォ!!」


ガアァ と獣のように斧を振りかぶり振り下ろすのと同時に斧を剣で上から叩きつけた。


すると、狙い通り大斧は地面に刺さって抜けなくなってしまった。


「な、なにぃぃぃいい!?」


「終わりだ! クワル・ドーザ!」


銀粉で鍛えた鋼鉄剣に刹那、稲妻が走り、首領の首を焼き切った。


どうやら、他の野盗は既に全員殺されたようだ。


「団長、敵の全員の死亡を確認しました!」


本当に全員か? まだ残っている気がするが……。

俺が訝しんで周りをキョロキョロしているのを見て、部下達は戸惑いながら警戒を続けた。


「うーん……………ん?おい!そこのテーブルの裏に隠れている奴。 今すぐ出てこないと問答無用で切り殺すぞ!」


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