魔法ほしい
曰く、万の軍勢を魔法一発で灰にした
曰く、数百年の時を生きる魔女
曰く、王国と深いパイプを持っている
曰く、魔法の神に愛されし者
彼女、魔術師ギルド長ミルバを言葉で飾る際、こういった言葉が用いられる
生ける伝説とまで呼ばれる人物が今目の前に居る。
「 あなたがあの … … 」
「 あのが何を指しているかは分かりませんが、そうです。試験官としては申し分ないでしょう 」
当たり前だ。
この世界の魔法の第一人者が適切ではないとしたら他に適切な人物は存在しない
「 … … それで、魔法の才はどんな魔法をお見せすればよろしいのでしょうか 」
「
何でも構いません。自分の一番自信のある魔法を見せてください。
範囲魔法や炎属性と言った場所を取る魔法を発動させる場合は移動を行いますので申請してください。
」
なんでもいいのか … …
「 場所は取りません。ただ、あまり見られたくないので個室に移動してもよろしいでしょうか? 」
「 大丈夫ですよ。では防音性のある部屋に移動しましょう 」
そう言ってギルド長ミルバは立ち上がった
すごい人なのは分かるんだけど、何でいきなりこの人が対応してくれたんだろうな … …
父上も言ってたけど、魔の気配とやらが見えているんだろうか。
「 こちらです。お入りください 」
「 ありがとうございます 」
中には長机とソファーが置かれているだけの簡素なつくりだった
「 今すぐ発動できますか?詠唱時間はどの程度でしょうか 」
「 今すぐできます。そして、詠唱時間は必要無いです 」
僕はイメージする
ギルド長に見せるのは、転移魔法
場所と場所を繋げる魔法
この世界には無い魔法
僕の体から魔力が溢れ出る。
「 … … これは … … 」
魔法が完成した。
この世の理を塗り替える魔法
この世ならざる魔法
次の瞬間、ギルド長から強烈な気配を感じた。
父上から感じた威圧の気配と多少似ているな … …
「 二つだけ、質問させてください。 」
「 … … はい 」
何かめっちゃ怒ってる … … ?
大人の女性が怒ると怖いんだよな … …
「 まず一つ目、あなたは、この国に対して敵対する事はございますか? 」
「 今のところはないです。今後無いとも限りませんが 」
「 なら大丈夫です。次に二つ目、この魔法はどこで手に入れましたか? 」
「 手に入れたというか … … 自分で作りました 」
「 … … そうですか。分かりました。試験は終了です。結果はすぐ出ますので、ロビーでお待ちください 」
「 … … 分かりました。ありがとうございました。」
席を立つ。
魔法を発動しただけで、実際に使えるかどうか試してないけど大丈夫なのかな?
ロビーに戻ると、受付の人に呼び止められた。
「 ギルド長から話は伺っております。このギルドの詳しい説明を行いたいのですが、今からよろしいでしょうか? 」
「 構いません。お願いします。 」
「
では始めさせていただきます。
当ギルドの大まかな目的は、様々な人から依頼される仕事をこなす、という事になります。
この世界には様々な魔物、所謂モンスターが存在しますが、そのモンスターの討伐依頼や、お貴族様のお子様向けに家庭教師を行うといった依頼が当ギルドには入ってきます。
そういった依頼をこなし、回数を重ねる事でご自身のギルドランクを上げる
といったサイクルが組まれております。
依頼の質によっては、一回でギルドランクが上がるといった事もございます。
ここまではよろしいでしょうか?
」
… … まあ、テンプレだね
「 はい、大丈夫です。ちなみに、最高位のセラフィムは何人いらっしゃるんですか? 」
「 最高位セラフィムは歴代合わせて一人しか存在しておりません 」
「 へえ、そうなんですね。ちなみに何て人なんですか? 」
「 それが、私ですよ 」
後ろから急にギルド長の声がした。
びっくりした … …
「 ギルド長ってセラフィムだったんですね … … 」
「 そうですよ。セラフィムになると同時にギルド長にもなったんです 」
振り返ると、手に茶色のギルドカードを持ったギルド長が立っていた。
「!! 茶色ですか!! … っ … … すみません」
先ほど説明をしていた受付嬢の人が驚きの声を上げていた。
確か、茶色は … …
「
おめでとう。ルイス君
あなたの能力を認め、序列第三位、スローンズのランクを与えます。
」
何で名前知ってるんだ … …
周りがざわめきだした
「 ちなみに、スローンズも世界に1人しか居ません。今日で2人目ですが 」
逆に後の二人が気になるな … …
「
そして、登録初日でスローンズを得たのはあなたが初めてです
ギルドの規定として、ある程度依頼をこなさなければ上位序列に加わる事はできません。
しかし、それを補うに余りある魔法の才を見せていただきましたので、ギルド長権限で任命させていただきました。
」
「 ありがとうございます … … ? 」
「 これは大変名誉な事ですよ!もっと喜んでください! 」
「 は、はい … … 」
この受付嬢、すごい圧だな … …
「 あなたならば、すぐにまたランクを上げられるでしょう。 待っています」
「 ありがとうございます。頑張ります。あ、後、おすすめの宿とかありますか? 」
「
それでしたら、ここを出て右に曲がった突き当りに、王国が運営している
高ランク者専用の宿泊施設がございます。
そこをご利用ください。
」
「 ありがとうございます。それでは。 」
何かいろいろあって疲れたな … …
この後試験もあるし大丈夫だろうか … …
とりあえず、宿に向かおう。




