魔法ほしい
魔法とはイメージだ。
今回、二日かかる距離を一日に短縮しようとした場合
どうやっても新しい自分自身の魔法を創造しなければならない。
なぜならば、この世界の魔法は攻撃魔法しか存在しないからだ。
さて … …
最初に思い浮かんだのは、【テレポーテーション】だ。
魔法の工程として、以下の2段階に分けられる。
1. 自分が居る場所と、飛びたい場所の情報を取得する
2. 自分が居る場所と、飛びた場所を直接繋げる
1段階目で最適な魔法は闇だろう。
闇魔法は細やかな調整に向いている。
闇魔法を使い、ルリビア王国の座標と自分が居る場所を指定する
次に、2段階目で最適な魔法は光だろう
光はどちらかというと力業系だ。
おおざっぱだが、強力な魔法が打てるイメージ。
これを使い、無理やり空間を繋げる。
点と点を線で結ぶイメージ
イメージの段階で、僕の体から魔法を行使するために必要な魔力がどんどん無くなっていく
僕の体の魔力が奔流し、うねりをあげ体外に放出される
すると、目の前にルリビア王国の景色が見えた。
とりあえずは成功かな … …
一息つこうかと思っていると、ドアをノックする音が聞こえてきた
「 兄さん?物凄い魔力が放出されていましたが大丈夫ですか? 」
「 大丈夫だよ。とりあえず中に入ってよ 」
ドアが開くと同時に、アンジェが固まる
ルリビア王国の景色が僕の部屋から見えていることに驚いているようだ
「 兄さん … … それはまさか … … 」
「 あぁ … … 完成したんだ。好きな場所に転移する魔法だ。 」
魔法の階級としては天魔法くらいかな?
アンジェはどんな反応をするのだろうか。
「 おめでとうございます!ついに天魔法を完成されたのですね! 」
アンジェはこの魔法がどの位置に値するか即座に見抜いたようだった。
やはり、転生で魔法の才能を与えられた僕よりもよっぽど優秀だ
ちなみに、天魔法とは天使が使っていたとされる魔法で
大体の魔法消費量が一般の魔法使い100人分だ。
「 ありがとう。でも完成はまだだ。これからテストを行うからね 」
イメージは成功したが、本当に通れるかどうかはまだ分からない。
念のため、石を創造しルリビア王国側に投げてみる。
すると、二回ほどバウンドした後、静止した。
「 成功みたいだね。僕も歴史に名を残せるような魔法使いになれるかな 」
「
なれるに決まっています!転移魔法など、軍事に流通にいくらでも使い道がございます!
これは一刻も早く国王に伝えるべきです!
」
アンジェが興奮冷めやらぬ状態でまくし立てる。
「 まあいつか言うよ。それより、アンジェの交通手段は大丈夫なの? 」
「 はい。飛行魔法を完成させました 」
… … やはり天才だ。
他の魔法使いとはモノが違う。
通常、攻撃魔法以外の魔法という概念はこの世界に存在しない。
したがって、今まで生きてきた中で魔法を作り替えるイメージなどしてこなかったはずなのだ。
なのにアンジェはいつの間にか飛行魔法を完成させていた。
「 転移魔法を完成させた俺が言うのもなんだけど、アンジェはすごいね 」
「 … … ありがとうございますと言っておきます。 」
アンジェはやや不貞腐れたような嬉しいような態度を取っていた。
チートなしでそこまで出来るのが素直にすごいと思うんだけど、向こうからしたら僕の方がすごい魔法を完成させているわけだし、素直によろこべないよな … …
難しいところだ。
「 じゃあ、明日ルリビア王国学園で会おう 」
「はい、わかりました。ではまた明日」
アンジェが部屋から退出し、一人きりになった。
部屋の中はとても静かだった。
僕はベッドに身体を預ける。
「 学園 … … か … … 」
正直、上手くやっていける自信はない。
だが、この世界にはどんな才能の持ち主が居るのか気になる
そして、僕自身、どんな魔法を創造できるのかも。
こんなにわくわくする事は無いね。




