魔法ほしい --------- side カリン
私は第一子だったという事もあり
蝶よ花よと育てられてきた。
そんな私が魔法に初めて触れたのは5歳。
貴族の子が魔法に触れる平均的な年齢は8~10歳程度
切っ掛けは父上が使う魔法だった
魔力を莫大に使う上級魔法でも無いし、
見た目が綺麗な魔法だった訳でもない。
ただただ、単なる下級魔法のファイヤーボールだ。
ファイヤーボールとは火の玉をまっすぐ前に飛ばすだけの魔法
私はこの魔法に魅入られた。
この魔法を使いたいと思った。
その旨を父上に伝えたところ
次の日には魔法界で有名な魔法使いが家庭教師についた。
魔法練習初日
私はいきなりファイヤーボールを唱える事に成功した。
普通、最初は体内に存在する魔力を感じる練習で1ヶ月はかかるらしい。
その事を聞いたとき
私は魔法に愛されていると思った。
これこそ運命だと思った。
そう思いながら魔法を練習していたのが良かったのか、
6歳になる頃には中級魔法まで扱えるようになっていた。
この頃はもうすでに天狗になっていたと思う。
そんな時
同年代で私の他にも魔法に秀でた子がいるという噂を聞いた。
その噂を初めて聞いたとき、純粋にその子が気になった
私以外にも魔法に愛された子が居るのか気になった
父上にその子の事を聞いてみると
どうやらその子は私と同じ公爵家の子らしかった。
アポを取る事は簡単だった。
そして
初めてルイスを見た時
ルイスの魔法を見た時
あぁ、
本当に魔法に愛されているのはルイスだ
そう純粋に思った。
ルイスは6歳にして中級魔法を無詠唱で発動させていた。
無詠唱というのはとても高度な技術で、大人でも中級魔法を無詠唱で発動させるのは難しいらしい。
敵わないと思ったと同時に
このままだとルイスには誰もついて来れない
ルイスは孤独になる
そう考えた瞬間
魔法に愛されていなくてもいい
ただ、
ルイスのライバルになってあげようと
そう決意した。
幸い、7歳になる頃には火の上級魔法を唱えれるようになっていた。
ルイスにその魔法を見せた時の顔ったらなかった。
そんな折
私は8歳になり、学園の入学試験を受ける事になった。
もちろん、ルイスとアンジェが試験を受けるという情報は事前に手に入れていた。
試験はつつがなく終わり
試験結果を待つだけになった時、ある噂を聞いた
王都には1000年を生きる魔女が居る
魔女に見定められると力を手に入れれる
噂が真実かどうか分からないが、何か魔法に関することを聞けたらいいな
くらいに考えていた
しかし現実は違っていた。
魔女ではなく、精霊だった。
しかも精霊のトップらしい。
そもそも精霊という存在を初めて聞いた。
たまに理屈が分からない魔法を使っていた人がいたけど、こういう秘密があったのかな。
なんて考えているうちに、いきなりルイスの体が大きく跳ねた。
精霊と契約出来ると知っておかしくなっちゃったのかな。
そしていよいよ精霊と契約する時が来た。
アンジェは風の上位エレメント精霊と契約を結べたみたい
いいな … …
私もすごい精霊を手に入れて、ルイスの心をへし折りたい。
「 続いて、カリン君の精霊を呼び出す。 」
続いて私の精霊を大精霊様が呼び出してくれるらしい。
緊張する。
精霊が呼び出されなかったらどうしよう。
こんな性格だし、大丈夫かな … …
「 彼の者に付き従いし精霊よ。いざここに顕現せよ 」
魔力の奔流が大精霊様を覆う
すると、髪が赤いちっちゃな小人が現れた!
やった!
すると、直接脳内に声が響いてきた。
『 私 … … イフ 』
イフがこの子の名前ね
脳内で喋る魔法の使い方は、自然と理解できた
『 ありがとうイフ。私はカリンよ。よろしくね 』
『 … … うん。 』
それにしてもこの子、可愛い
なんというか、めでたくなる
『 … … 食べない? 』
… …
『 食べないわよ! 』
『 ひっ! 』
『 ご、ごめんね。大声だして 』
『 … … うん 』
まあなんにしても、私は精霊を手に入れる事が出来た。
少しはルイスに追いつけるだろうか?
まだまだ先は分からないが、いつか天魔法だってつかいこなして見せる。
それまで、どうか
ルイスのそばに居れますように。