魔法ほしい
「 おーい、起きてるかー 」
僕はアンジェの部屋の扉をノックしながら呼びかける
今日は出かけようと思っていたが、そういえば何時に宿を出るか言い忘れていた
「 起きてますよ 」
が、
アンジェは待っていたかのように支度が整っていた
「 いつ行こうか決めようとしたんだが … … どうやらもう出れるようだな 」
「 当たり前です。私は兄さんと違って朝が強いんです 」
僕が朝弱い設定何てあったかな … … ?
「
あぁ、そんな事より、昨日言い忘れていたのですが
カリンさんも王都に残るようです
」
そんな事なんだ … …
「 … … そうなんだ。じゃあ誘うか 」
アンジェは昔からカリンの事が好きだな。
カリンにアンジェが取られないか心配だよ。
「 その必要は無いです。」
その声と同時に
「 私自ら来たからね 」
アンジェの部屋にカリンがやってきた
「 いつの間に … … 」
「 乙女には秘密がたくさんあるもんなんです 」
「 そうよ。ルイスは黙ってて 」
この男女比だと何も言い返せないじゃないか。
「 まあ、とりあえず出かけようか 」
こうなると早めに話題を転換させるに限る
「 どこ行くかは決めてるの? 」
「 いいや。適当な店を回ろうと思っているよ 」
「 計画性が無いわね 」
うっ … …
今の一言で大ダメージを負ってしまった。
もう動けないかもしれない。
そう思いながら悲しみのエモーションを表現していると、
「 何してんのよ。早く行くわよ 」
毎度毎度強引なんだよな … …
「 カリンは行きたいところあるの? 」
「 ちょっとね。気になるところがあるのよ 」
へえ。カリンが興味を持つなんて珍しいな
「 だそうだ。アンジェもそれでいい? 」
「 大丈夫ですよ。行きましょう 」
こうして、行き先の分からない観光が幕を開けた。
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到着すると
そこはいかにもな豪邸があり
いかにもな金持ちが住んで居そうな家だった。
「 ここに何があるんだ? 」
「 ここにはね、1000年を生きている魔女が住んでいるのよ 」
1000年 … … ?
流石に盛りすぎじゃないか?
「 不老不死を完成でもさせたのか?じゃなきゃあり得ないと思うけど 」
「 うるさいわね。知らないわよ 」
一喝された。
何故か小さい頃からカリンには弱いんだよな。
「 アポはもう取ってあるから、入るわよ 」
あ、取ってるのね … …
「 すみませーん。いらっしゃいますかー 」
入口の門を抜け
玄関の扉を開けながらカリンが声を上げる
すると
「 殺気だ! 」
何者かが僕たちを殺そうとする何かを感じ取った。
僕は慌てて魔力を練り上げ、三人を包み込むように包囲した。
魔力の練習をしている最中、ふと魔力があふれ出た事があった。
そのあふれた魔力のほとんどは空中に霧散していったが、一部、地面をエグっていた
この光景を見て、僕は魔力が他にも応用できるのではないかと踏んだ。
そしてその練習の成果がこれだ。
魔力で人間をつつみ、生半可な攻撃を通らなくする
言わばフィルターを作った状態だ。
「 … … ありがとうルイス。お礼を言っておくわ 」
普段滅多に見れないカリンのデレだ。
録画出来るものなら録画したい。
アンジェは殺気を感じ取り、攻撃態勢に入ろうとしていた。
「 ふふ、いやはや 」
家の奥から
女性が歩いてきた。
「 いやはや、いやはや 」
段々と女性を覆う闇が薄れ、姿を認識できるまでとなった
「 いやはや、素晴らしい 」
そこには、20代としか思えない女性が立っていた。
「 君たちはこの殺気を感じとれ、さらに攻撃を行う事も出来るのか 」
この人が、魔女 … … ?
予想と大分違った。
もっと老婆を予想していたのに … …
「 君たちが精霊と契約を行っていないのはこの世界の損失だね 」
精霊 … … ?
この世界には精霊が存在するのか?
アンジェとカリンの方を見てみるが、どうやら二人とも知らないようだ。
「 あぁ、そういえば人間との間では精霊の事を喋ってはいけないという契約を結んでいたね 」
精霊が存在していた … …
というか、この人の口ぶりからして、
もしかして。
「
あぁ。想像の通りだ。
私は精霊の中でもトップの存在
大精霊の位を授かっている
」
位の意味は分からないが、とりあえずすごい人なのだろう。
「
位の事を説明するとね
精霊の位は上から、【大精霊、上位エレメント精霊、エレメント精霊、上位精霊、下位精霊】の5つに分かれているんだ。
ちなみに、大精霊の席は一人しか座る事が出来ない。
まあ、説明はここまでにして、
君たちには精霊を授けようと思う。
」
「 ちょっと待ってほしい。精霊と契約した場合、何かメリットはあるのか? 」
「
あるとも。大有りさ。
精霊はあらゆる魔法の補助を行ってくれる。
得手不得手は存在するが、位が上がるにつれそんなのは気にならなくなるだろう。
さらに、その精霊固有の魔法を使うこともできる
」
固有の魔法 … … ?
「
固有の魔法は様々さ。
詳細な効果はその精霊によるとしか言えない。
だが、君たちが出会ってきた強者には少なからず精霊がついていたはずだ。
記憶にないかい?
」
… … いや、ある。
十中八九あの威圧の正体だろう。
あれは溢れ出る魔力の性質そのものが違っていた。
何かと思っていたが、精霊か。
「 記憶にある。そして、その精霊を授けてくれるみたいだけど、二人はどうする? 」




