魔法ほしい
ルリビア王国学園
その施設内に僕は立っていた
周りには様々な年齢の人
ルリビア王国学園の入試に年齢制限の上限は無い
それ故、僕より一回り二回りもいってそうな年齢の人もいる。
「 この試験は才能を見抜く試験なのに、大人になってからも入試を受け続けてる人は哀れよね 」
ものすごい暴言だな … …
ここに居る過半数を敵に回すかのような発言が僕の後ろから聞こえてきた。
「 あなたもそう思うでしょ? 」
絶対に僕に話しかけている … …
この気の強さ、この声、絶対あの子だろうな … …
振り返りたくない。
「 ちょっとルイス!聞こえてないの! 」
諦めるしかないか … …
「 … … 聞こえてるよ。でも敵を作るような発言は控えた方が良いんじゃないかな。カリン」
そこに立っていたのは、家ぐるみで付き合いのある
公爵令嬢である幼馴染のカリンだった。
「 ふん!どうでもいいのよ他の人なんて。そういえば、アンジェはどうしたの? 」
「 アンジェも試験を受けるよ。今日は僕が先に出たから、もう少ししたら来るんじゃないかな 」
「 そう。とか言ってたら、どうやら来たようよ 」
カリンが見ている方を確認すると、アンジェがこちらに向かって歩いていた
「 お待たせいたしました兄さん。そして、カリンさんも試験を受けるのですね 」
「 そうよ。一緒に頑張りましょうね 」
カリンは気が強いが、カリン自身が認めた者には優しい
表面上では分かり辛いが、根はやさしいのだ
「
お集まりいただき、誠にありがとうございます。
早速ではありますが、試験を進めていきたいと思います。
」
どこからか声が聞こえてくる
一体どこからだ … … ?
「
では、カウントダウンを行いますので、カウント後、その場にしゃがんでください。
しゃがまない場合、その場で退場となりますのでお気を付けください。
」
… … 意味は分からないが取り合えず従うか … …
「3、2、1、0」
すると、周りにはしゃがんで居る人は居るにはいるが、ほんの少数で
ほとんどがしゃがんで居ない人で溢れていた
あれ、もしかして間違ったか … … ?
「 ありがとうございます。 」
その声は壇上から聞こえてきた
物腰の柔らかそうなおじいさんがそこには立っていた
「
ただいま立っていらっしゃる方はご退場ください。
しゃがんでいる方はそのままお残りください。
」
本当にしゃがむだけの試験だったのか
なにか不思議な試験だな
「 納得いかねえよ! 」
突然、30代ほどの男性が野太い声を上げた
まあ、抗議しなければ退場との事なので、焦りもあるんだろう
「 何がでしょう 」
「 いきなり数人がしゃがんだと思ったらそいつらが合格だ ? 納得できるわけないだろ! 」
いきなり … … ?
あんなにはっきり声が聞こえていたのに、いきなりではないだろう。
てっきり大多数はわざとしゃがまなかったと思ったが、どうやら事情が違うようだ
「
先ほどは才のある者のみに聞こえる声で指示を出させていただきました
聞こえていなかったということはあなたに才はありません。
ご退場ください。
」
「
ふざけるんじゃねえ!そもそも去年と試験内容が違うじゃねえか!こんな試験聞いたこともねえぞ!
」
「 試験は毎年違います。去年いい成績を残せたのか知りませんが、今年はもう大丈夫です。 」
こんな言いがかりまがいにもしっかり対応するのは流石だな
「 納得いかねえよ! 」
そう言うや否や、男がおじいさんに向かって走り出した
そして、手にはショートソードが握られていた。
あいつ、殺す気か!?
「 そこまでです 」
「 っ ! … … 」
「 それ以上進むのならば、容赦はしません 」
いつの間にか、男を三人の騎士が囲んでいて
男の首筋には3本の剣が添えられていた。
あの騎士たち、動きが見えなかったぞ … …
身体能力でいえば、うちのコバルトをも凌ぐんじゃないのか?
あのレベルに護衛されるおじいさんって一体何者なんだよ … …
「 ご退場ください。また来年に再度試験をお受けください 」
「 … … 二度と来るかよ! 」
最後まで小物臭のする人だったな … …
「 それでは、二次試験を行いますので少々お待ちください。 」
同じようにしゃがんでいた、アンジェとカリンが立ち上がる。
「 何か、すごい試験ですね 」
「 あぁ、そうだね。どんな魔法を使っていたのか気になるね 」
「 でた、ルイスの魔法バカ。過程なんてどうでもいいのよ 」
人類すべてを否定するような言葉だけど大丈夫なのかな … …
まあ、とりあえず次の試験をまとうかな