え?悪役令嬢の断罪?それ、僕の大根芝居です…。
『え?悪役令嬢の断罪?いえ。ヒロイン断罪の時間ですわ。』に、感想、誤字脱字報告頂き本当にありがとうございます。
感想に共感しか無かったです。
それな。早く逃げろよフリージア。って思いました。(自分で書いたくせに)
王太子目線で、少し謎?がとけるかなぁ……謎深まる?と思います…。
花畑ヒロインちゃんは空気です。
宜しくお願いします!
きらめくシャンデリア。
光り輝く大ホール。
着飾った少年少女。
卒業という一大イベントを祝うパーティ。
そのど真ん中でそれは行われた。
「フリージア・ジェネラル。お前との婚約を破棄する!!」
「……………」
僕は高々とそう宣言した。
すると愛おしい彼女は僕を馬鹿を見る目で見つめ返した。
演技なのに………。
その目は凄い…傷つくな…と、思い、心の中で………泣いた。
*・*・*
「シェレル。貴方はこの国の王太子に決定しました。それと、可愛い婚約者も決定しましたよ」
え…。
王太子?婚約者?
……めんどくさいなぁ。
「シェレル。これは政略的婚約なのです。政略的婚約でも、愛がないのは嫌でしょう?だから、貴方は相手に好きになってもらえるように頑張りなさいね。……彼女は…ちょっと頭のおかしい友人の子供だから…多分一筋縄ではいかないと思うけれど…」
政略的婚約。
好きになって貰うために頑張る…か。
相手が僕を好きになればいいじゃないか。
あと、相手の母上が頭がおかしいってなんだ。僕はそっちの方が気になるぞ。
「母上の頭のおかしい友人の子供ってところがすごく引っかかりますが……わかりました。一応努力します。が、相手がそうでもなければ僕も恋になんて落ちませんからね」
私は笑顔で母上にそう告げた。
「………流石彼の息子だわ……」
お母様はいい笑顔でそう言ったのだ。
あ、申し遅れた。
僕は、シェレル・スターチェス。
この国の王様の息子。
父上と母上、可愛い双子の弟と妹の5人と暮らしている。
ひと月前に8歳になっていきなり王太子になる事と婚約者が決まった。
王太子は、まぁ、長男だからわかってはいたけど、婚約者……。
これから長い付き合いになる予定の女の子。
同い年で、母上の友人の子供らしい。
少し相手の家について調べてみた。
会う前に情報を仕入れるのは普通だろ?
すると、その家のおかしな家訓が目に付いた。
『貴族だからって偉いわけではない。自領民の方々あっての私達。貴族平民分け隔てなく接しなさい。でも、馬鹿な貴族達に舐められないように。私達が馬鹿にされたら領民達も馬鹿にされたと思いなさい。何かやられたらやり返しなさい。タダでやられる事は許しません。夢を見るのはいいけれど、必ず最後には現実を見なさい。』
どういう事だ。
僕が今まであってきたどの貴族とも擦り合わない。
僕が今まであった貴族共はみな汚い笑みを浮かべて自分の娘を押し付ける。
そんなに王族の血が欲しいのか。
だが、そんな汚いやつらを血族にするはずがないだろう。
……それに比べてこの家ときたら……。
面白いじゃないか。
ジェネラル公爵家。
どんな娘が出てくるのが楽しみだな。
*・*・*
「はじめまして。フリージア・ジェネラル譲。僕はシェレル・スターチェスです。これからよろしくお願いしますね」
お母様に連れられて顔合わせの会に来た女の子。
綺麗な水色の髪に深い紫の瞳。
その子はとても綺麗な子で、名前を言った僕をじっと見つめてくる。
その瞳に僕が映っているってだけでドキドキした。
恋に落ちるなって方が難しかった。
彼女が僕の婚約者。
僕の….…僕だけのもの。
それだけでなんだか嬉しくて……。
「フリージア・ジェネラルと申します。
これからよろしくお願い致しますわ。王太子殿下」
声も綺麗だった。
そんな彼女に名前を呼んで欲しくて。
「王太子殿下は堅苦しい。シェレルと呼んでくれて構わない」
「わかりましたわ。シェレル殿下」
早速名前を呼び呼ばれるようにした。
それからにこやかにお茶会を楽しんで彼女が帰宅した後、母上に、
「彼女…フリージアに恋に落ちました。どうすれば彼女に好きになって貰えますか」
と言ったら凄く笑われた。
…変なことなんていったか?
「あーあ。執着endかなぁ……フリージアちゃん可愛そう……」
母上はそうボソッと言った。
………執着endってなんだ。
*・*・*
僕は学園の中庭からフリージアのいるであろう教室を見つめる。
彼女は今自分の領内で流行っている、『悪役令嬢とヒロインが出てくる夢物語』に夢中らしい。
そんな夢物語に夢中な彼女も可愛いなと思うと同時にその本に嫉妬した。
僕はフリージアに触ることができないのに、その本は軽々しくフリージアに触れることができる。ムカつく。
何無機物に嫉妬してるんだと言われるかもしれないけど仕方ないじゃないか。
嫉妬してしまったんだから。
「シェレル様?どうかしたの?」
フリージアがあの茶会以降一度も呼んでくれない名前を、隣で僕の腕に胸を押し付けてくる彼女は軽々しく呼んだ。
名前を呼ぶことを許可してないのに。
猫なで声で。
鳥肌が立つ。
フリージアの澄んだ声が聞きたい。
僕は現在、15〜18歳までが通う学園の二学年に在籍している。
貴族は勿論、頭のいい平民やお金を持っている平民も通う学園。
『貴族も平民も分け隔てなく』を校則にしているが、結局教師は貴族子息に強く言えないからあまりその校則は意味をなさない。
そして纏わりついてくるこの女。
常識がないのか知らないが婚約者のいる上流貴族の男共に声をかけてたくさん引っ掛けているという。
しかもこの女に王族の血が流れているかもしれない……と。といっても末端の、らしいが。
嘘だろうと思ったけど調べろと父上に言われてしまったから仕方ない。
ちょうど良い機会だとその時は思ったのだ。
母上に『フリージアが名前すら呼んでくれない』と相談したら『押してダメらな引いてみれば?』と言われたら実行したのに。
この女といればフリージアが嫉妬してくれると思ったのに。
フリージアは嫉妬するどころか目が合うと汚いものを見る目で見てくる。
変な扉を開いたらどうしてくれる。
母上の嘘つき。
でも、悲しいことにこの方法が一番フリージアが僕を見てくれるんだ。
そんなの…………続けるしかないじゃないか。
少しでもフリージアの瞳に映りたい。
幸いフリージアの外堀は埋めてある。
大丈夫だ。
フリージアの母上にあったときに『あ、執着end……フリージアあの子何したの……』と言っていた。僕の母上と。
だから、執着endってなんなんだ。
*・*・*
それから一年とちょっと。
冒頭に戻るわけである。
「………王太子殿下?何故、婚約破棄なのですか」
フリージアは僕を見据えていった。
僕の後ろにいるピンクブロンドの女が僕の腕を掴みながらブルブルと震えだした。……なんなんだこれ。
寒いのか?
ブルブル震えるのが可愛いとでも思っているのか?
そんなピンクのフリッフリなドレス着て。
正直言って似合ってないぞ。
それに比べてフリージアを見てみろ。
無理綺麗すぎる。
深い海のような色のマーメードラインのドレス。体のラインが綺麗に出ている。
エロいのにエロくない。どういうことだよ。
でも、演技は続行。
脚本は母上とフリージアの母上。
「何故?何を今更。フリージア お前は、アリーナに嫉妬して、数々の悪質な行為をしだだろう。アリーナが平民で、自分は貴族だからって」
母上。フリージアはそんなことするはずないだろう。
「……嫉妬に、悪質な行為…ねぇ」
フリージアが呟くとピンクブロンドの女が泣き出した。
あ、名前アリーナって言うんだった。
今の今まで忘れてた。
「アリーナ 泣かないで。大丈夫だから」
僕は泣くピンクブロンドを慰める。
鳥肌立ちそう。
フリージアに触れたい。
「ふぇっ。は、はい…。でも怖かったんですぅっ」
猫なで声で僕に言うとポロッポロ×∞涙を流す。
……馬鹿なのかこの子。
僕の服もピンクブロンドの女の涙で濡れる。
汚い。もうきれないじゃないか。
「…………はぁ。殿下。私の家の家訓を、ご存知ですか?」
「家訓?そんなの知るわけないだろう」
もちろん知っている。当たり前だ。
家訓以外にもフリージアの事は調べ尽くした。なんでも知っているぞ。
ちなみに発信源はフリージアの母上だ。
信頼できる情報源……のはず。
「『貴族だからって偉いわけではない。自領民の方々あっての私達。貴族平民分け隔てなく接しなさい。でも、馬鹿な貴族達に舐められないように。私達が馬鹿にされたら領民達も馬鹿にされたと思いなさい。何かやられたらやり返しなさい。タダでやられる事は許しません。夢を見るのはいいけれど、必ず最後には現実を見なさい。』ですわ。
だから、殿下の言うように身分にモノを言わせて彼女をって言うのは不可能なんですよね。そんなことをしたら私が家を追い出されてしまいますわ」
「そ、そんなの言い訳でもなんでもないからな。そんなことで自分のやったことがなくなると思うなよ」
僕は私を冷たく睨みつけて言い放った。
すごい心が痛い。
ピンクブロンド泣くんじゃねーよ。
僕が泣きたいんだよ……。
「そ、そうですぅ。私、凄くこわかったんですぅ。やめてって言ってもやめてくれないし、いくらシェレル様が好きだからって、やっていい事と悪い事があるとおもうんですぅ……」
ピンクブロンドはシクシク泣きならがそう言う。
やっていい事と悪い事?
お前が言うなよ。
僕も言えないよ。
「やっていい事と悪い事?それ、貴方が言えますの?」
フリージアが僕の思っていたことを言ってくれた。
やっぱり相思相愛なんじゃないかな、僕たち。
「え……?」
何を言っているのかわからないって顔でピンクブロンドは言う。
本当に馬鹿だな。
本当にコレに王族の血が流れてるの?
「貴方は、私の婚約者を好きになって奪ったんですよね?それは、やっちゃいけない事にはならないのですか?
婚約者がいる人を好きになってしまうのは仕方がない事ですもの。
でも、それ以上はしてはいけないのではないでしょうか。それに貴方、殿下だけでなく、他の婚約者がいた男の方にも手を出していましたわよね」
「そ、そんなっそんなこと……」
アリーナはぼろぼろと涙を流してその場にうずくまってしまった。
僕も泣きたい。
フリージアが僕が婚約者って認知していてくれた。やばい嬉しい。
ねぇ母上。
これ、言わなきゃダメなの?
ちらっと楽しそうに見ていた母上を見上げるといい笑顔で頷かれた。
………本当にうまくいくんだよな……。
「フリージア!!お前!見苦しいぞ。そんなにアリーナを虐めて楽しいか!?いくら俺が好きで、嫉妬したからって言っていい事と悪いことくらいわかるだろ!!」
僕はピンクブロンドを抱きしめて睨みつけた。
ほんと無理。吐きたい。何この子。甘い匂いする。臭い。
「…殿下。何を勘違いしているのでしょうか」
「は?勘違い?」
フリージアは上品に笑った。
なにそれ可愛い。
………じゃなかった。
「私、いつ、殿下を好きだなんて言いました?」
「……は?」
いや、うん。
わかってる。わかってた。
フリージアが僕を想ってないことなんてわかってた。一方通行な想い。本人にストレートに言われるの辛い。死にたい。
「殿下は先程から、私の行為は嫉妬による為だと決めつけておりましたが何故でしょうか」
「そんなのお前が俺を好きだからに決まってるだろ」
だからフリージアは僕が好きじゃないって。
なんでこんな馬鹿な男を演じなきゃいけないんだ。
絶対母上のせいだ。
相談する人間違えた。
やり直したい。
フリージアは口元は笑ったまま冷ややかな目線を僕に向けた。
フリージアはどんな顔でもすごい綺麗。
「先程も言いましたよね。私、殿下を好きだなんて言ったことないのですけれど。
何処からそんな自信が来るのでしょうか。
私、殿下のことはどーとも思っておりません。好きでも嫌いでもない。……あ、今は嫌いですかね。こんなに馬鹿な方だとは思いませんでしたわ。それに、そこの…アリーナ、さん。貴方いつまで泣いているんですか。
泣けばいいと思ってるんですか。泣けば、慰めて貰えて許してくれると。それ、偉い方々に通用するといいですね。ま、無理でしょうけど。世の中そんなに甘くないですよ。まぁ、だからと言ってへらへらしても駄目だと思いますけどね」
「……は?」
「……え……?」
あーーー。
無理。無理無理無理無理無理。
泣いちゃう。嫌いって言われた。
でも泣くことはフリージアが嫌う。
もっと嫌われる。
「婚約破棄はこちらからお願いしたく思いますわ。この足で陛下に進言しに行きますので。
これから2人で頑張ってください。
アリーナさん。平民出身で大変かと思いますが頑張ってくださいね。貴族世界で泣きが通用すると思わないように。あと、お勉強も頑張ってくださいね。私、陰ながら応援していますわ。
あ、殿下。私が何故殿下の事をあの茶会でしか名前で呼ばなかったと思います?
私、お恥ずかしながらどーでも良いことは覚えていられなくて…。申し訳ございません」
あ"ぁぁぁぁあ"ーーーーー。
なんでフリージアが僕の名前呼ばなかったのか理由がわかってしまった。
どうでもいい事だった。
フリージアにとっては僕の名前はどうでもいい事………。
もう僕のライフは0である。
マジで母上許さん。
絶対に前よりも嫌われた。
どうすればいいんだよ。
フリージアが行ってしまう。
僕の前からいなくなってしまう。
僕の手元に残るのは馬鹿なピンクブロンドの女。
自業自得である。
わかっているそんな事。
もう、どうでもいい男じゃなくて、ムカつく男になってフリージアの記憶に残れればいいかな……。
うん。そうしよう。
「は。ははははっ!フリージア。お前、俺に愛されなかったからってトチ狂ったか」
トチ狂ったのは僕である。
側から見ればいきなり笑い出して……頭おかしい奴である。
「…………はぁ」
フリージアにため息つかれた……。
「俺はな、お前が嫌いだった」
嘘です。
大好きです。
「俺を冷たい目で見て、いつまでたっても殿下殿下殿下と名前を呼んでくれない。何故だ。何故フリージアは俺のことを見てくれないのだ。俺はこんなにもフリージアを見ていたのに!!」
僕はフリージアをずっっっと見てました。
それこそ穴があくんじゃないかレベルで。
あ、冷たい目で見られるのも悪くはありませんでしたね。はい。
「そんな時、暖かく包み込んでくれる彼女と会ったのだ!彼女に惹かれるのは当たり前だろう。フリージアを蔑ろにして彼女と共に過ごした。なのに、何故フリージアは俺に苦言を申してこないのだ!」
彼女に惹かれたことなんてありません。あ、また名前忘れました。
フリージアを蔑ろにしたかったわけじゃありません。
僕が相談する人を間違えてしまいました。
すいませんでした。
「俺は、フリージアの中ではどうでもいい存在…なのか?」
こんな僕を怒ってくれ。
「…………で?殿下は一体何を言いたいのですか?私にはわかりかねます」
「俺を。俺自身を見てくれ」
その、なにかを通した後の目で見ないでくれ。
「はい。見ました。それで?」
うん。見たね。物理的には見てくれたね。
「何か、言いたいことはないのか?」
さぁ!!なんでもいいんだ。
僕はどうでもよかった男で終わりたくないんだ!!
「……殿下は女を見る目がないのですね。
そこの彼女。何人もの婚約者がいる殿方とベタベタベタベタと。見ていて汚らわしかったですわ。都合が悪くなると泣くところも全て。そして、その彼女と仲睦まじくしている殿下も汚らわしい。早く私の視界から消してしまいたいのです。だから、私、帰っていいですか?」
フリージアは冷めきった目をして僕をまっすぐ見て言い切った。
うん?僕は女を見る目はいいと思うよ。
だってフリージアが大好きなんだから。
でもさ、そんなに汚らわしいって言われると傷つくな。うん。ぐっさりと刺されるな。
「そうじゃなくて、」
「御二方。おめでとうございます。晴れて邪魔者である私がいなくなるのです。これからも仲睦まじく、国を守ってくださいな。
まぁ、私は汚らわしい御二方の姿は見たくないので領地に帰らせて頂きますが。
遠くから幸せを願っていますわ」
思い出したように僕たちを祝福したフリージアはニッコリ笑った。
周りからは感嘆の声がする。
笑顔は素敵だけど言われたことは嬉しくない。
ほんと、泣きそう。
もう、泣こうかなぁ。
となりのピンクブロンドは無駄にでかい汚い胸押し付けてくるし。
「フリージア。君はどうやったら俺を見てくれる…んだ」
僕自身をどうやったら見てくれるの?
王太子じゃない、只のシェレルを。
「………まぁ、そうですね。
皆様が認めてくれる素晴らしい方になったら…(皆さん殿下を見てくれるんじゃない)ですかね?」
「……そうか」
皆んなが認めてくれる。
つまりは賢王……か。
「……はい?」
わかった。
なってやる。
フリージアの認める男になってやる。
「では、皆さま失礼致しますわ」
フリージアの笑顔はとてもキラキラしていた。
なんか傷ついた。
とりあえず、まずやることは、このピンクブロンドをどうにかする事。
こんなのに、王族の血が流れてるなんて認めない。
これは只の馬鹿な平民。それでいい。
あとはこの馬鹿に唆された僕の側近候補だった奴ら。
愛してくれる婚約者を蔑ろにするなど万死に値する。愛してくれるなんて羨ましい。
フリージアが僕以外と結婚する子など許さない。勿論男を知るなんて絶対に許さない。
幸い僕の母上とフリージアの母上は仲がいい。見えない深い絆で繋がっていると行っても過言ではないレベルで。
その母上にお願いすればフリージアを僕が迎えにいくまで独身でいさせる事だって容易い。今回の件を上げれば頷くしかないだろう。僕のせいではあるけれど、今回のはほぼほぼ母上が悪い。次からは父上に相談する。絶対にだ。
まっててねフリージア。
皆んなが認める王になって必ず迎えに行くからね。
君が言ったんだ。
君が認める王じゃなくて、皆んなが認める王になれば、と。
そんな事朝飯前だ。
君が認める王にと言われたらどうしようかと思ったよ。
そんなの難しいからね。
5…10年しないうちに迎えに行くからね。
今は18歳だ。
28歳までには迎えに行く。
そうと決まれば早く父上に相談して王位を譲ってもらわないと…だな。
父上には母上を与えればなんでも頷くからな。
賢王と言われながら中身は只の母上大好きなケダモノだからな。
………僕も一緒か。
*・*・*
それからきっかり10年後。
僕は独身を貫いていたフリージアを迎えに行った。
フリージアは男を経験していなかった。素晴らしい。
勿論、僕も女は知らない。
僕の初めてはフリージアのもの。
フリージアの初めても僕のもの。
フリージアは、覚えているかな。
あの、お茶会の時、僕たちはキスをしたんだよ。半分以上事故だったけどね。
触れるだけのキス。
僕も君も真っ赤になったのに。
フリージアも多少は僕を想ってくれているんじゃないかと期待したのに。
その日以降名前すら呼んでもらえなくて、瞳にすら映してくれなくてどんなに傷ついたことか。
でもね。もう大丈夫。
僕から目をそらすなんて許さないから。
覚悟してねフリージア。
………まずはその、純潔でも捧げ合おうかな。
そうすれば、もう、僕から逃げられないでしょう?
僕は固まる綺麗になったフリージアに微笑んだ。
もう、絶対逃がさない。
シェレル母上…転生者。フリージア母上と友達になる。が、王様に愛されて手篭めにされる。
割と自由に生活している可愛い人。
私、可愛い王太子育てるわ!!と意気込んだが、ほぼほぼこの人のせいでシェレル拗らせる。
フリージア母上とともに、あのシェレル執着endはヤバイよね。見てるぶんにはいいけどやられたらなんかやばそうと話していたことが自分の娘と息子がする事になる。といってもゲームでの執着endはヒロインを卒業後即監禁。死ぬまで外に出さない。最後のセリフは『やっと、俺だけをその瞳に写してくれるんだね。君には俺だけがいればいいよね。大好き。愛してる。一生逃がさない』である。
シェレル父上…非転生者。シェレル母上大好き至上主義。シェレル母上より大切なものをなどない。凄い執着して溺愛する。シェレルの性格はここよりやってくる。『既成事実を作ればいい』と教えるのはこの父親。
フリージア→BAD……END?
シェレル→Happy END
アリーナ→BAD END
フリージアはきっとシェレルのキラキラに慣れれば……多分Happy END?
…………絶対に逃げられないけど。
アリーナさんは自分の何が行けなかったのか絶対わかってないですよね。
多分死ぬまでずっと王子様が迎えに来てくれると思ってると思います。
両親組は頭おかしい人の集まりですね。
フリージア、シェレル母→生で断罪シーンを見たかった。どうせ何があっても2人は結婚す…させるしいっかなって、思っての今回の行動。
シェレル父→シェレル母がする事なら基本何でも許可しちゃう。身体から始まる関係もありだと思っている。シェレル母とは想いあっての結婚だとは知らない。
フリージア父→非転生者。一番の常識人。本編に全くでない。この断罪劇の時は丁度仕事で遠征していた。
帰ってきて愛する娘に起きた(原因の片棒を自分の妻が背負ってた)事を知って、フリージアの為に唯一泣いてくれた。因みに母はずっと笑ってた。
シェレルはきっとフリージア父に相談していれば拗れずに上手くいったはず……。