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プロローグ


 異世界転生、異世界転移。現代の地球から剣と魔法の異世界に呼び出される、あるいは生まれ直すといったその物語群において好まれるものには必ずと言っていいほど付いて回る要素。

 それが「チート」である。それが与えられる要因として、神様のミスに対する償いであったり転生に応じる特典であったり、召喚に伴って与えられる力であったり、地球人の強靭な魂とやらであったり。

 要するに何もしてないのに与えられる超越した力であり、まさにチート(ズル)なのだ。


 だから俺は、創作物とはいえそれら努力もせずに与えられた力を振るって名声を得る主人公達が苦手だった。尤も、自分自身努力をしない人間であることによる同族嫌悪だと言われればそれまでだが。

 どんなに大変だろうと自力で手にした魔力で魔法を放ち、鍛え上げた剣技で敵を下す、そんな異世界体験を放棄する主人公達の姿がわからなかったのだ。


 勿論主人公になりきれば、軍事、政治、恋愛、どれを取っても最強に酔いしれることが出来るし、楽しめる。しかしそれではいくら工夫を凝らそうと、最終的に行き着くのは同じような世界になってしまう。

 マンネリ化は止められない。読者も段々と飽きていくんじゃないか?


 そう思っていた時期が、俺にもあった。だがその意見は傍観者のものに過ぎなかったのだと、思い知らされる。

 チートを得た主人公達を見て、またかと笑っていた俺はもう死んだ。


 レベル制でも無ければスキル制でもない。ステータスを開くことも出来ないし、片腕で軽々とドラゴンを投げ飛ばすなんて以ての外。

 現代日本の科学技術なんかの知識も持たずに剣と魔法の世界に転生した俺は、今日も必死で生きながらこう思う。


 「俺にもチートをくれよ、神様…」

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