00話 〜神様という存在に対して異論を唱える〜
ここは東京の某所にひっそりと佇む雑居ビル。そこで、今日もコカなコーラを片手にパソコンに向かう男がいた。
「はあ……相変わらずの低評価、かぁ…」
男は椅子にもたれると、溜息混じりに呟く。彼はとあるブラウザゲームの制作に携わっており、そのゲームが公開されてから1ヶ月である意味異例の記録を打ち立てた事で話題になった。そのゲームの名前は【モンスターアポカリプス】。
その気になる内容は、カリバンと呼ばれる世界に突如魔王が降臨、魔王を打倒すべく世界を統一している【ガライアス王国】が勇者を探し、主人公がその素質を持っており、レベルを上げつつモンスターを倒していくありきたりな内容のRPGゲームだ。話を戻すとして、異例の記録というのは、1ヶ月でレビューでの低評価の数が“500”件を超えたのだ。
「クソッ……!こちとら、制作にかなりの労力を使ったんだぞ…!」
男はレビュー上で好き勝手に言うクレーマーに嫌気が指していた。逃げ場の無い怒りを拳に込めて机を勢い良く叩く。
「あっ……!!」
だが、男は片手にコカのコーラを握っていた事を忘れており、拳を叩きつけると同時にプラスチック製のカップが平面になると共に、黒い噴水が捲き上る。当然、男が操作していたパソコンにもかかるわけで…
バシャッ!!
「あ…あ……」
…パソコンがショートしてしまった。男は眉間に集まった皺をほぐすかのように指を当て、揉みほぐす。
「はあ……仕方ない、新しいパソコンを買いに行くか…」
男は頭を左右に振りながらも仕方ないと割り切り、自らの鞄から財布と携帯を取り出すと、軽くシャワーを浴び、身嗜みを整え、雑居ビルのロビーを抜け、ドアを開ける。
「よし、確か道は……」
男がビッグな電化製品店を目指し、歩みを進める。すると、近くの曲がり角から一台の車が飛び出してくる。男は直前で止まっていた為運良く当たりはしなかったが、車が近くの店に激突したのだろう、ガラスが割れる音がすると、刹那、男の頭に鈍い衝撃が走る。
「な、んだ……」
男は驚き混じりに自らの頭を触ると、そこには先程までは髪の毛しか無かった頭に“何か”が刺さっている。ふと、手にベタベタとした感触が纏わりついている事に気づき、手を自らの目前に持ってくる。
「な……!?」
すると、そこには真っ赤、とまではいかないが、赤黒い液体が手を覆い隠していた。近くから悲鳴が上がる。
「(う、うるせえ……な…)」
男は自らの身に何が起こったのか分からぬまま、意識が徐々にフェードアウトしていった。
♦︎
「この男の処遇は如何致しましょう…」
果てし無い程真っ暗な空間で、二人の男女が何かを話していた。
「ふむ…此奴のソウルは中々良い質だしのう…このまま冥界に、というのも歯痒いしな……そうじゃ、此奴の処遇は少し異例になってしまうが、特別に私の所有下にある世界に転生させてしまおう!」
「……はぁ……」
その空間には、頭を抱え呆れ顔の男と、目に輝きを取り戻した女が居たそうな……
どうも、私です(誰だよ)。この作品は処女作なので、生暖かい目(ヘリウム3の沸点位の温度)で見て頂けると幸いです、ハイ。執筆、大変(現実逃避)。