酷白
好きです。付き合ってください。
「ごめんなさい。
あなたとは付き合えません。」
どうして?
「僕は君とは違うから。」
何が違うのか考えてみる。
色も似てるし、指の数も腕の数も同じ。
客観的に見て異なることは何一つない。
「僕は君とは違う。」
ここで改めて、
違うという意味を考えてみる。
僕の君に対する思いと、君の思い?
相思相愛という言葉だってある。
僕と同じ気持ちにさせる可能性だって0じゃない。
何が違うの?
「普通の人ならわかるはずだよ」
普通ってなんだろう。
僕はスマホを取り出して、
普通の意味を調べてみる。
いつ、どこにでもあるような、ありふれたものであること。他と特に異なる性質を持ってはいないさま。
わからない僕は普通じゃないの?
他と特に異なる性質を持ってるってこと?
「そうだ。この告白が普通じゃない。
君は普通の恋愛をすべきだよ。」
普通の恋愛って何?
「社会から白い目で見られない恋愛だよ。
君のこの告白を僕が受諾すると、
君と僕は、社会から白い目で見られる。」
それは僕が学生であなたが社会人だからってこと?
「そんなことじゃない」
それなら僕が少年院で過ごしていたから?
「それも違う。」
その原因が君の両親を殺めたことだから?
「それは許さない、
けどそれは理由じゃない。」
わからない。
わからない。
わからない。
わからない。わからない。
頭がこんがらがってきたので
僕は君を殴った。
好きな人を殴るなんてしてはいけない。
でも僕はきみを殴った。
ああ、そうか。
僕が好きな人はこの人じゃないんだ。
好きな人だったらなぐらないのに。
もっと殴っていい?
「いいわけないだろ。」
だってきみは、ぼくの、すきな、ひとじゃ、ないのに
好きな人じゃないから殴っていい。
そう思った僕の腕は止まらなかった。
動かなくなった、この人を見て思った。
ああ、違う所を見つけた。
そっと僕は、
筆箱の中のはさみを取り出して。
これで普通になれたね。
私はしばらくしてから、
彼と同じところへいった。