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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ドラえもん女

作者: 溝野魅苑

2004年ごろ、他のサイトに載せて放置してたらいつの間にか消えてしまってたものです。

ごめんな。

俺みたいの、好きになってくれてる、その気持ちは嬉しいんだけど、俺、あんたと一回も喋った事ないし、ってか、顔も今知った? ぐらいでしょ。俺、そーゆーの、駄目なんだよ。


え? 理由って… だから今言ったじゃん?


あ、駄目な理由って… ああ、こーゆーのが駄目な理由か。聞いてどうすんの?


俺の事知りたいからって… だからそれが駄目なんだって! そーゆーのが怖いの! キモいの!


あ!! 泣くなよ。解った。話すから。泣くなよって… もー!!


   *


… あのね。こーゆーとこ、来たからって誤解しないでよ? あんた、泣くし、俺の話も長いし、丁度良いかなって思っただけなんだから。ぜってー変な事しないし。


社会に出たら、ぜってーこーゆーのないと思ってたんだけどな。学校って、ほら、顔知らない奴とかいんじゃん? 会社なら… って、でも結構そうでもないか。俺、休みの日に社長とすれ違っても気が付く自信ねーもんな。


そう。学生ん時の話だよ。中3。まあ、サッカーやってたから、そこそこモテてはいたんだよ。自分で言うのも何だけどね。俺が顔知らない奴から手紙だのプレゼントだのもらったり、告られたりしてたよ。正直、俺もちょっと調子乗ってたね。だからってーか、彼女作るより、そーやってモテてる状況? それが楽しかったから、皆フってたんだよ。可愛い子もいたけどねー。


でさ。確か、中学最後の試合の後かな? 俺ら、インターハイの地区予選、準決勝で負けたんだけどさ。その帰りに、部活ももう終わりだし、受験だなーなんて話してて。俺が何の気なしに

「ドラえもんでもいねーかなー。」

って言ったの。多分、方程式が覚えらんねーとか、歴史が覚えらんねーとかそんな話の流れだよ。俺、いつも課長に怒られてんじゃん? 覚えが悪りーって。


知らない? ああ、そう。まあ、部署違うしね。それからだよ。ドラえもん女が現れたのは。


あ、ここ、笑うとこじゃないから。まじ恐ええんだって。


俺が朝学校行くと、門のとこに何か青い女がいるんだよ。髪の毛も青、服も青。皆、引いてたね。あれは。そしたらそいつ、俺見たら寄って来て。

「ボク、ドラえもん! 未来から君を助けに来たんだよ。」

って言ったの。


だから、笑うとこじゃねーよ。俺まで白い目で見られてさー。終いには、そいつも俺も呼び出し喰らって、説教されて。でも、そいつへらへらしてんの。


はー? 解るの? その気持ち? そーですか… 俺は何だったんだ? って感じだったけどね。でもさ。流石に怒られたし、もうねーべって思ってたんだよ。そしたらさ、そいつ、次の日も、またその次の日もいんだよ。それも朝だけじゃなくって、もう、俺に付いて回る? みたいな。ストーカー? なんだろうねー、今で言えばさ。とにかく当時はそんなのも知らねーし、まじ、気持ち悪りーってだけよ。女の子たちも引いちゃって、俺全然モテなくなるしさ。友達も離れてったし…。


そんで、ある日切れたんだよ、俺。その日も朝いたからさ。

「おまえ、ドラえもんだってーなら、道具出してみろよ! 」

ってさ。怒鳴ったの。そいつのお陰でもう散々だったから、人目なんて気になんねーし。もう、凄げー怒鳴った。女の子にあそこまで酷でー事言ったの、あれが最初で最後だね。


とにかく、そっからは、もう、思いつく限りの悪態ついたのよ。そいつ、最初下向いて黙ってたんだけど、だんだん体が震えてきたのね。さすがに「やべー、泣かしたかな? 」って思って俺も黙った。


そしたらね。


そいつ、笑ってたの。


始めは、声も出さないで、でも最後にはもう大爆笑って感じでさ。ひーひーなるくらい笑ってんだよ。俺ももう、びっくりしちゃってさ。一頻りひーひー言ってたかと思ったら、いきなしスカート捲り上げてさ。


パンツはいてなかった。


俺、初H17だったからさ、お袋の以外で生で見たの初めてだったんじゃん? それが。お袋のなんて覚えてねーしさ。


良いよ。警戒しなくて。そんな話じゃないんだからさ。その女、自分のアソコに手突っ込んだんだよ。指じゃねーよ。手。暫く、こう前かがみで固まってたと思ったら、金属を爪で引っかいたような音がした。

「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」

それ、その女の声だったの。女の腕を血が伝ってくのが見えた。最初は一筋二筋、それがだんだんだくだくと。

「…ああああああぁぁぁぁぁぁぁ! 」

女が叫んで、体起こして、手を前に差し出すんだよ。血だらけの手をね。小さく歌う声がしてた。ドラえもんが道具出す時の曲。ゆっくり、女は、手を開いた。こぶし位の大きさの、血の滴る肉の塊。

「子宮ぅーーー!! 」

かすれた声で女は絶叫してぶっ倒れた。


俺が追い詰めておかしくしちゃったのかもな。道具なんか出せないから、そいつ、子宮を自分でえぐり出したんだよ。間違っちゃいねーよな。子供作って産む道具だもんな。


   *


ごめんな。まじで話だけで2時間経っちゃって。でも解ってくれた? 俺が陰ながら俺に恋をする女が苦手だってわけが。

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