第四部 「赤銅の航海者」 37
Ⅰ
後のフッドとの面会も終わり自宅に戻るときにはすでに日が赤く染まっていた。
木枯らしの吹く夕焼けを歩いていると見知った顔と出会った。
「大和さん。病院の帰りですか?」
学校帰りの菜月だった。
もう一人の高校生の伊織は一緒ではないようだ。
「良く分かったな。菜月も今日は一人で帰るなんて珍しいな」
「ですね。一人はすっごく久しぶりです」
困った顔で菜月は笑う。
しばらく歩いていると様子をうかがうように聞いてきた。
「あの、すべて終わったんですか?」
「トレントの決断を待たないといけないし、ビスマルクが退院してからの住処も用意しておかないといけない。他にもいろいろあるけど……。フランスでの戦いはもう終わったよ。先の長いトゥルーエンドでな」
「そうですか」
しゅん、と縮こまる。
菜月がハッピーエンドを望んでいたことは分かっているが現実でハッピーエンドを簡単に見せてくれるほど神様は優しくない。
「なにシケた顔をしているんだよ。フランスの戦いは終わったんだ。終わったんだよ」
終わりがどうであれ戦いは終わった。
それだけで榮倉は十分だった。
「だったら、言わないといけないですね……」
「何を?」
「いつも言っているじゃないですか。帰ってきた大和さんを迎える言葉です」
菜月が、いや、菜月だけではない伊織もアリシアも三人の少女たちがやらないといけないことはそれだった。
何があっても彼の帰る場所にいること。
「おかえりなさい」
section4 END To the German Voyage`s




